第15話 こねこねこねこね こねこねこねこね


「レベルアップで、ステータスがあって、スキル制、ねぇ……」

「嘘じゃないぜ、レベルアップすると頭の中でファンファーレが鳴るんだ、魔法だってほら、ファイア!」


 ハルキ君の手のひらから火がぼーっと吹き出ましたああぶねええええええええ


 バチィン!!


「家の中で火を扱うんじゃないわよ馬鹿!!」

 思いきり頬をひっぱたく私。しっぽもげきおこぷんぷんまる。

「ご、ごめんなさい」

「火事になってないから今回は許すよ。本当に火には気を付けてね、木造なんだから」

「は、はい。……じゃなくて、ああわかった。」

「強い子ぶっちゃってかわいいー。でもですます調のほうがおねいさんうれしいなー」

「こ、考慮するます」

「しかしまあ、本当にそういう加護なんだねえ」

「はい、ステータスも見えますし、レベルアップすると頭の中に直接魔法が刻まれます。スキルは脳内で選択する感じです。振り直しもユロルがあると出来るみたいです」

「振り直しもあるって現金な」


「そ、そうかもしれません。でもこれで最強に!」


「んー、それで、開墾スキルってあるの? 大工スキルとか。あー鍛冶屋スキルとかあると良いなあ」




「えっ、なんですかそういうの」




「えっないの?」



「えっ」



「えっ」



「今使える魔法とスキルは【基礎戦闘魔法】と〈槍適正I〉〈ブレイブI〉ですね……」


「せ、生活系の魔法は?ほら、【マッチ】とか【ウォーターキュア】とか」


「ないですね……」


「うーん、戦闘特化なのかなあ。いわゆる【生活系の魔法】もなし。勇者様って感じだね」

「お役に立てずすいません……」

「いや、守衛というお仕事があるよ。でも見た目16歳前後、精神年齢18.5歳に殺しをさせるのはなあ」

「いえ、出来ます! 殺せますよ! レベルだってモンスターを殺して上げたんですから!」

「でも童貞でしょ?」

「どどどど童貞ちゃうわ!」

「確定っと。うぶだなー」

「ちゃうわ!風俗の経験があ……あ……」

「ウフフフ」

 ニヤニヤニヤニヤ


 ハルキ君いじるの楽すぃー。



 ――――


「で、殺したのはゴブリンと」

「はい……」

「ハンタ、ハルキ君が跡を残さずその場を立ち去ったと思う?」

「全然全く。ここまで足跡が付いているのではないでしょうか。ゴブリンの規模によっては報復があるかもしれません」

「す、すいません」

「馬鹿小僧が」

「すいませんキッコリーさん……」

「こうなったらしょうがないよ。そもそも逃げるのが非常にうまい野生動物を、素人の人間が殺せるわけがないし。そうなるとモンスター殺すしかないよね。よし、労働者は全員木こりの手伝いをして早急に木の壁を作ろう。麻と綿花、モロコシはハリコーとモロッコシーだけで収穫してもらおう。行動開始っ!!」


 ウィッス!!




 みんなが木こりをする中、私は一人で錬金術。成果物や素材を売って、武器や道具を購入しないとね。早く他の収入源が欲しい……。


 こねこねこねこね こねこねこねこね

 こねこねこねこね こねこねこねこね

 こねこねこねこね こねこねこねこね


 ふう、6日かけて錬金素材を6個作ったぞい。今の質だとこれで150ユロルくらいかな。武器……じゃなくて農具や伐採及び製材道具、石材道具とかを買おう。一応、武器になるし。そもそも基本武器は木槍だし。

 干してあった薬草を磨り潰して丸薬も作成。全部合わせて200ユロルくらいに、なるといいなあ。


 コヤヤに乗って一路ルーデルへ。コヤヤさすがモンブツって感じで全然息切れすることなく走ってくれて、2日ほどで到着。

 ベルベルベ商会に錬金素材を全部売却。予想通り200ユロルに。これで農具等を買おう。


 ああ、その前にレンさんに事情を話して知恵を借りてみよう。レンさーん。


「かくかく」

「しかじか。なるほどなあ。傭兵を連れてくるのが一番展開としては楽だが、200、300ユロルじゃあ雇えないからな」

「ですよね、なにかないですかね」

「うちで爆発物を買ってみないか? 爆破すればビビッて逃げるかもしれないぞ」

「うーん、それもありですねえ。というか、レシピないんですか?」

「あるが、作れないと思うぞ、火薬を使うからな。魔法爆弾もあるっちゃあるが……」

「むー。何個いくらなんですか?」

「3個で60ユロルと行きたいが、サクラの開拓地がピンチなんだ、50ユロルでいいぞ」

「さらなる値段交渉は」

「無理だな」


 ぐぬぬぬぬぬぬ。農具等も買うので50ユロルで3個買いました。


 残り150ユロル。うーん、農具の鍬を買うか、木こりや製材に使う斧やノコギリを買うか。武器を兼ねるなら斧だよねえ……

 迷いに迷って、木こりの斧とノコギリ数本ずつにしました。木こりの斧って大きいから、振り回せばゴブリンに当たるでっしゃろ、その後も使えるし。農業より家の需要の方が高いのだ。


 ルーデルで買う物は買ったと思う。コヤヤに買った道具などを乗せて、歩いて帰還。コヤヤいなかったら運べなかったなー。よかったよかった☆しっぽぽよよんぽん☆



「かえってきたどー!」

「おかえり市長、成果はどうだ?」

「んとね、爆弾と木こりの斧、ノコギリを少々。出来ることはしたと思うよ」

「それはいいな、今は木の壁を作ることが最重要だし、家を作ることも必須だ。伐採がはかどれば早く出来上がる」



 道具を購入したのが結果的に当って、4月上旬に木の壁がほとんど完成したよ。ばんざいばんざい、しっぽぽんぽんぽん!



「さて、と。受け身に回るときは終わったよね。槍の訓練も順調だし、こちらから仕掛ける番だと私は思う!!」


「その言葉が聞きたかったですぜぇお頭ぁ! さっそくあっしと一緒に巣を焼き払いに行きやしょう!!」

「いや、まずはハンタと一緒に偵察するから。ゴブリンの生息場所や巣がどこまで大きいかとかなんかを特定しないといけないしね」

「そうでやすか……」

 明らかに落ち込むモロッコシー。君ら私争奪戦が分かりやすすぎるよ。


 さてさて、まいりますか


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