第13話 荷役動物を雇おう



 私の開拓地はあぶれ者(といっても悪者や悪漢のほうの意味じゃないですよ、仕事にありつけなくて社会からはみ出してしまった人)そういう人の集まりなんだよね、だから荷役動物もあぶれ者を探そうじゃあないか!!


 ――ルーデル探索中――


 ――ルーデルで交渉中――



 ケンタウロスのケンさんが開拓地の仲間として加わりました。ばんざいばんーざい!

【強弓】という、魔法で弓矢を強化し凄い威力の矢を放つツワモノ。狩猟がはかどりますね。ゴブリン対策にもなるかも。ばんざいばーんざい、しっぽぽよよんぽん!




 ちゃうわーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!

 ケンさんが仲間になったのは僥倖だけど、欲しいのは荷役動物!!しっぽフンガー!



 えー、ケンさんの紹介でうら寂れた牧場にたどり着きました。なんでもここでは良い性能なんだけど、人気のない動物が飼育されているとか。どういうのだろうねー。

 牧場主はじじぃ……おじいさん。マッドサイエンティストって感じがする。



「もん、すたー、と?」

「うむ、わが牧場ではどう見ても一般動物なのにモンスターに分類されてしまっておる悲しい動物と、普通とされている動物を掛け合わせた生物、通称モンブツを扱っておるのじゃ」

「そうですかかえりますありがとうございました」

「まあ待てまあ待て。荷役動物が欲しいのじゃろ?ならコヤが適役じゃよ。ロクビとウマを掛け合わせたモンブツじゃ。扱いやすいし乗りやすい。荒地山道にも耐えるぞい」

「ほお。それって騎乗動物ですよね。私は荷役動物が欲しいのですが。まあ、まずは見せていただくところからお願いできますか。変なのだったら帰ります」

「ほほほい。こっちじゃきておくれ」


 牧場主のじじぃ……おじいさんの後についていくと、そこには狐にしてはかなり大型でたくましい狐っぽい動物が。尻尾6本というのがちょっと不気味だけど。

 見た目は地球でいう妖狐に近いかな?


 ジロジロ。「ふーむ」じっくり見定めます。


「コャァン!!」


「ん、しっぽが欲しいの?」狐の仲間なのか、なんとなく言葉が分かるというね。嬉しいのか悲しいのか。

「ほれ」しっぽポイ

 はむ。

 くいおった!?!?

 はむはむはむはむはむはむはむ


「ちょあああぁぁぁあぁ!!」




 数分後、そこには腰砕けになった私と、勝ち誇ったようなコヤがおりました。


「負けた、負けたよ。じじ……おじいさん、このコヤはおいくら?」

「1500ユロルじゃの」

「たけーよハゲ性能普通のポニーが2000ユロルだぞ足元見るんじゃねえジジイ」秘儀、【恫喝技術】発動!

「ひいいいい、うそじゃうそ、50ユロルでよいぞ」

「下がり過ぎ!? それなら残り200ユロルでいくつか〈荷役〉動物が欲しいんだけど。この子は私が乗ることにする。同じきつね同士、乗りやすそう」


 そんなわけでミノタウロスと牛をかけわせたミノウシ――2足直立歩行している牛――、ゴンゴーン(金属の身体で出来ている牛のモンスターでありんす)とウマをかけあわせたウマーン――飼料は石や金属等――をゲットしたよ。

 ……こんなの普通のところに売れるわけがないわ……うちみたいな困窮している開拓地じゃないと使わないわ……。普通の馬と牛がいいわ……。


 ま、まあ、なんとか荷役に耐えられると思う。うん。力は凄そうだもの。賢いのは賢いし。



「毎度、じいさん。もう金輪際来たくないけど、また荷役動物が必要になったら来るかもしれないわ……」

「またの来店をお待ちしておりますぞい」


 もうこねーよと思いつつ牧場を後に。


 次に、人材のリクルートしに行ったよ。労働者ってやつだね。あぶれ者じゃなくても、一発あてようって人はルーデルにもいるし、困窮してる人もいる。そういう人らを雇おうと思って。

 こういう人らは給料がないとだめだけど、錬金術販売は軌道に乗ってるからね。何とかなると判断したんだ。

 結果だけ言うと岩塩採掘労働者を3名、農作業労働者は5名ほど雇ったよ。

 岩塩採掘はもっと大規模にやりたいし農作業は正直もっともっと人数欲しいけど、まずはここから。


 リクルートが終わったのでベルベルベ商会に。錬金基剤とか丸薬を売却。質がさらに上がったということで売却額も値上がり。340ユロルげーっと。

 でも採掘道具や農作業道具、コヤの鞍なんかを買ったので手持ち資金は180ユロルしか残らなかった。

 しかも労働者一人当たり10ユロルは毎月支出するだろうし……南の開拓地テリアルブが平均給料35ユロルくらいだっけ?くそっくそ。

 お金ってすぐ減るなあ。

 え、メインメンバーにもお金? ナンノコトカナ?



 ハリコー一家も拾って、帰る最中にコヤたちに名前を付けたよ。コヤはコヤヤ、ミノウシはハラミ、ウマーンは馬刺し。センスがないとかいうな!!!!



 帰りの森の中大丈夫かなーって思っていたんだけど、馬刺しが岩をバリボリ食べてみんなが引いた以外には特に何も起こらなかったかなー。

 あ、コヤヤの乗り心地はとってもよかったなー。同じ雌同士仲良くやりたい。ちなみにコヤヤはちょっとしたポニーくらい大きいです。



「かえったどー!!」


「姐さんおかえりなさいっす! あー夫と子供たち!会いたかったっすー!!」

 みんなで抱き合ってうれし涙を流すハリコー一家。いいなあ家族の再会って。


「お前らが新しい戦力ですなあ!! まずはランニングからですぜぇ!! 夏場は体力増強の時期だぜぇ!!」

 あ、これやばい上司だと思って絶望の顔をする農作業労働者。うん、筋肉つけば何とかなるよ。


「市長、ちょうどいいところという感じだが、一棟目の家が建ったぞ。平屋だがまあ6人は住めるな。誰を住まわせるんだ」

「そうだねキッコリー、……ハリコー一家だね。家族だんらんさせるのが一番。今後の家は8人住みくらいの平屋で作って、労働者を先に入れるよ、暴動おこされたらたまらないし……」

「メインメンバーは給料なし、サクラの家で雑魚寝の生活でも文句言わないしな、わははは」

「申し訳ないです……」

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