第11話 はながよじれる、くっせー。ごぶりんくっせー


 決行まで4日かかっちゃった。モロコシの収穫期を迎えちゃったので、みんな総出で収穫したから。


 討伐がちょっと遅くなっちゃったけど、炭水化物が取れたことで力がみなぎって逆に良い結果になったみたい。久しぶりの主食ってやつはうまいなあうまい、文化の味がします。

 4日間の間にも合間合間に訓練して、さあ討伐のお時間です!!


 ハンタの【地図魔法】を頼りに15名で進軍。武器は先のとがった木槍、防具は無しとちょっと心細いですが、数で何とかしましょう。槍は重めに作ってあるから、槍でなぐりゃー良いんだよ!!


「お館様、もうそろそろです」

「そっか、じゃあ……みんなでわーっといって混乱させて、1匹に2人以上絡む感じでどかーんとやろう!」

「擬音語で言われちゃよくわからないが、市長の命令だ、やるぞ!」


 ウィッスッ!



 よし、集中!!


 視認出来るところまでゴブリンの開拓地に近づき、一気呵成に突撃!


 ワーワーワーワー!!


 うん、乱戦です。ゴブリンは多分5匹くらい。こっちは15名なので、まあまあ数の上では有利な状況で戦えてますね、これなら死者も出ずに終わりそうかな。死人が出るのが一番厄介ですからねえ……


 とりあえず私も棒をもってここのキングっぽいゴブリンに突撃!チャージアタックは外れましたが後ろは取れました。

 ボスゴブリン、ボスゴブですね、そいつに取り付いているのは私とキッコリー、そしてなぜかハルキ君。

 ボスゴブはハルバードみたいな矛武器を持っています。うーんリーチ差が活かせない、人数差で攻めるしかないか。


「【周辺身体強化魔法】!! これでちょこっとだけ身体能力あがったよ!! さあつっこめ!!」

「嬉しいが市長が一番いい位置取ってるんだぞ!?」

「クワレテ タマルカ!」


 ボスゴブリンの矛振り回し突撃!

 ブンブンブン!

 これはキッコリーが槍で牽制して抑えました。ボスゴブ身長高いけど、それでも私より低いもんね。矛もそんなには長くない。


「うおらぁ!!」


 キッコリーの振り上げた槍が無慈悲にもボスゴブの頭めがけて振り下ろされる! 木こりをやっているからぶれずに頭に吸い込まれる槍!


 ガゴンッ!!


 当った! と思ったのですが、さすがはボスゴブリン、矛を巧みに使ってやり過ごします。


「うああああ!」


 ハルキ君のよくわからない攻撃!


 グサァ!


 あ、腹部に槍が刺さりましたね。


「ハルキ!そのまま!槍おいて撤退!」


「わ、わかりましたサクラさん!」


 言うが早いが私が棒で脳天を割りに出ます! そう、りゃ!!


 ドゴン!


 振り下ろされた槍……じゃなくて木の棒は見事にボスゴブの頭に命中! 手応え的には脳を割った気がするのですが!! 

 とどめに魔法だぁ!〈とびっきりの魔法で頭を穿てぇ!!〉


 ボンッ


 お、なにやら空気で出来た砲弾がボスゴブの頭に吸い込まれて行って



 バァン!!



 内部で空気が爆発してボスゴブの頭が破裂しました。飛び散る脳髄、そして目玉。首元からあふれ出す血潮。わーぐろい。


「よし、ここは終わった、二人とも他のグループを助けに行くよ!!」

「え、レベルアップ……? ステータス上昇……? スキル配分……? これってもしかして……」

「なにブツブツ呟いてるのハルキ君! 日本出身のボーイでビビッてモンスター殺せなくても、槍で殴るふりするだけで有利になるんだから! ほら早く!」

「え、あ、はい!ブレイブに1ポイント……! よっしゃあ! いけるぞ!」


 なんか急にハルキ君の度胸が付いた気がします。なんでぇ?


 ――


「重傷者が3名いるが、なんとかかんとか死者は出ないで済んだな、市長」

「そだねえ。私の【技術】で治せそうな感じだし、何とかなりそうでよかったよ。 奴隷さんとかはどうした?」

「安楽死だ。精神がいかれちまってる、生きている方がつらいだろう」

「…………そっか。鉄製品とか、戦利品あるだろうし、回収してからここを燃やしちゃおうか。【炎魔法】は一応使えるよ。【基本生活魔法】はみんな使えるし、それの【マッチ】で火をつけてもいいけどさ」


「ああわかった。そういや市長は集中すると目が綺麗なオッドアイから、これまた綺麗な……淡いピンク色に変化するんだな」

「?? なにそれ。目の色が変わるの?」

「ああ。綺麗な色だ、うっとりする程な。見たことのない色だぜ」

「んん……色に名前つけよっか。………………サクラの色なんでサクラ色ってことで。てへぺろ」

「安直な。まあ市長らしいな、がははは」



 ということで、ゴブリン居住地討伐戦は我々の圧勝に終わりましたとさ。


 勝利!!


 ――


「はぁー臭い臭い。返り血で服が緑色だし凄い臭いよー。ハリコー何とかならないの?」

「革は水分吸いこんじゃうからどうにもならねえっすねえ。インナーは洗ってしまえば大体臭いも血も取れるっす。姐さんの下着は特別性なのかめちゃくちゃ頑丈なんすよね、ショーツですら頑丈っす。洗うの大変っすよ」

「あ、そうなんだ。へー。まあよろしくお願いします。革はハンタに任せるかぁ。最近タンニンが集まってなめしができるようになったみたいだし、鹿革で作ってもらおう」

「姐さん【生活魔法リフレッシュ】とか使えないっすか?あれなら繰り返しかければそこそこ綺麗になるっすよ」

「使えると思う! りふれーっしゅ!! おお、少し取れた!! ばんざいばーんざい、しっぽぽよぽよぽーん!」

「またかわいい行動を。旦那がいればもう一個上の【クリーン】が使えるんすけどねえ。早くここに呼びたいっす、ルーデルに行って連れてきてくださいよ。もう主食には困らないっす」

「そだね、ルーデルに行こう。錬金材料いっぱい作って売り払おうっと」








「これは……もしかして……僕……いや俺のチートは……」

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