第6話 かいたく、なう。
かーいたく、かーいたく、がんばれ、がーんばれ。私は市長の椅子でのーんびり。
などといったことはできるはずもなく。
私も1戦力として作業に当たってます。
季節は春。
今やっているのはボロ小屋を改築すること。一応象徴だからね。終わったら家を作っていくよ。
それで、木を切り倒して製材しているときにキッコリーさんに聞いたんだけど……
「伐採してすぐに完璧な木材になるわけではないのですね……」
「ああ、水分を抜かないとだめだ。まあ、今はそんなこと言っていられないから伐採したらすぐに製材(木の板や角材等にすること)して木材にしてしまうぞ。製材所がないから時間はかかるができないことはない。道具もある。製材系の魔法があれば楽なんだがな」
「製材系の魔法ですか」
「ああ、読んで字のごとくの乾燥魔法と、ノコギリをジグソーのように動かすことができる金属制御魔法だ」
「む、加護の力でそのどちらの魔法も知っていますよ」
「さすがは市長。ただ、製材をする、乾燥させる、どちらも結構な量の魔素、つまり魔法の原材料が必要だぜ。木材一つ一つがデカいからな。今の市長じゃ扱った瞬間に魔素切れを起こしてぶっ倒れちまうんじゃねえかな」
「く、訓練しておきますね」
木材って難しい。
斧で木を切り倒して丸太にするわけだけれども、古代からの方法なんで時間がかかるんだよー。いくら鋼鉄製の斧でも時間がかかるのは時間がかかる。
チェーンソーやジグソーがあると楽らしいんだけど。あるんだそういうの……。
それで、切り倒して出来た太い丸太は製材して家の材料に。
細い丸太は四角い板に製材して、互い違いに刺した木の長い杭の間に差し込んで木の壁にしてるよ。この壁は野犬対策だったりする。それでも1m50cmくらいの高さで作るつもりらしいけど。
覆うのは小屋とその南東の集落建設予定地で一つと、開墾している農作地に一つ。農作地のほうは害獣対策の木の柵だそう。
さて、小屋を改築して木の壁を作る以外にもやることがあるんだよねえ。それは……。
「どっこいしょ、どっこいしょ、クワを片手にどっこいしょ」
開墾でっす。麻、綿花、モロコシの農地を作らないといけないんだよー。
開墾するのは私、ハリコー、モロッコシー、石屋軍団6名。総勢9名で開墾します。
「いくら何でも9名で開墾は無謀すぎる……」
「魔法で開墾するから出来るっすよ。【土制御魔法】!」
ハリコーさんが地面に触れてその魔法を唱えると、ズゴゴゴゴ! っと地面が振動し、一気にふかふかな土が出来上がりました。
「すごいー!これすごいー!」しっぽぶんぶん
「あっしもこれくらいは出来やすぜえ!! 【土制御魔法】!!」
ズゴゴゴゴゴ
「すんげえーー!! わたしもやる! わたしも!」
地面に触れて、【土制御魔法】!!
スコ 、バタリッ。
前方50cm四方位の土がふかふかになりました。私の意識と引き換えに。
目が覚めるとそこにはハンタさんの姿が。
ここは改築中の私の小屋にあるベッドの上かな?
「ああ、起きたのですねお館様。魔法の使い過ぎで魔素切れを起こしたときいて、看病しておりました」
「ああ、ありがとハンタさん。でももうだいじょうぶいっ!! なんか全部回復したみたい」
そういって起き上がり綺麗なしっぽダンスを披露しました。いつ覚えたんだこのダンス。
「お、お綺麗ですお館様……」
顔を真っ赤にしながらそう答えるハンタさん。うぶ? でもうれしい。
「そうかな綺麗かな?やったーやったー♪しっぽぽよよんぽん☆」
わーいわーいと飛び跳ねながらしっぽをぽよよんぽんしてます。
そんなことをしていたらモロッコシーさんがやってきて。
「お頭ぁ!! 水汲んでから魔法で精製水にしてきやした! ぜひ飲んで……ぬあ!? ハンタ! 抜け駆けは許さねえぞ!」
などと申しており。
ハンタさんもワーウルフの力をみなぎらせてしまってるぞぉ。
「あるぇ?なんかちょっと雰囲気がおかしいね。みんなで開拓をしていくはずなんだけどな」
「……あっしとしたことが。すいやせん、なんでもないんでさぁ。まあこの水を飲んで下せぇ、生き返りやすよ」
「……申し訳ありません、お館様」
「みんな仲良くとは言わないけれど、それなりにやっていこう?」
「「はい」」
そんな事件もありつつ開墾開墾。
深く根を張った草の排除とか、農作地にどうしても引っかかってしまう低木の切り倒し、及び根っこの排除など、大仕事をしながら開墾すること10日くらい。ついに麻と綿花、そしてモロコシを植える土地を作り上げたよ!!
今すぐ植えればどれも収穫できるみたいなのですぐに種をまいてもらったよー。
ああそうそう、根っこの排除には【土制御魔法】がうまく噛み合わさってくれて、地球での手作業における困難さとは比べ物にならないくらい楽にできたと思う。
土制御魔法の技術向上もあるけれど、
現在の主力食物はお肉と果実。偏った食生活だけど、モロコシがそだって実がなるまでの一か月の我慢。
そのお肉は狩猟によって賄っているよ。私とハンタさんがバンバン狩猟を行ってお肉を供給。資源が豊富ってエメラルドの石が言っていたけど本当なんだねえ。鹿系動物とか猪、うさぎとかが凄いいっぱいいる。
逆にいないのは虫。虫が存在しない世界みたい。私虫嫌いだったしらっきー☆しっぽにノミダニたかられてもまいっちゃうしね。
私がどうやって狩猟しているかというと、ハンタさんが持っていたとどめ刺しナイフを一つ借りて、中小型の獲物を鼻と耳で探し出し、バっと飛び出して勢いよく食らいつきナイフでずどーん。
元々きつねは狩りをするからね、私だって狩りがやれる。しかも【市長権限の加護】で大きな力(犬には負けかけたけどあれはあれ、これはこれ。)を手にしている。短距離なら逃げ切れる動物はそうはいないよ。えっへん。
ただ、中型大型になってくると本当にでかいんだよねこの星の鹿は。さすがにそれは無理なので、ハンタさんの出番。
魔導銃という銃が存在するので、それで撃つのがセオリーなんだって。
ハンタさんも魔導銃で仕留めてるよ。ワーウルフなので戦闘力は高い気がするんだけどね。
ハンタさんのは旧式で威力が出ないし精度が悪いんだって。
狩りが下手なの銃のせいじゃないのかな……?
魔導銃は持ち手の魔力を吸収して圧縮、魔法の弾を生成し魔力で押し出してどかーんと発射する銃。
銃が魔導、さすが異世界、さすが超古代文明……!!
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