　本当はもっと早くやるはずだった。気の早い人々が春の日差しの中少しずつ厚い上着を脱ぎ捨てていっていたあの頃に。それなのに気づくともう蛙（かわず）鳴き紫陽花の咲く梅雨時に。このままだと梅雨時の寒さでまた長袖を着なくてはならなくなってしまう。だからその前に叫ばせて欲しい。

「僕の前腕筋群は美しいーーー！」

「おまえの話かッ！！」

「だって見てごらんこの絶妙な筋肉のバランスを。筋張って一目で筋肉が分かるけれど一切の無駄はない。これがTシャツの袖から出ていたらうっかりときめいてしまうよね。」

「まぁ筋肉っていいよな。ときめくかはおいとくけど。筋トレっていうと上腕二頭筋とか鍛えるイメージあるけどモテたいなら袖から見えやすい肘から先鍛えるのもいーかも。」

「だろう。しかもこの筋肉は手を握ったり開いたりでも使うから魅せやすいぞ！」

「そーかそーか、じゃ力持ちの成瀬ちょっと土運ぶの手伝えよ。遊歩道に水溜まりができてんだ。」

「おっと、しょうがないな！お嬢さん方の靴を汚すわけにはいかない！」

「いいやつだな、おまえ。」

　半袖の男の人の腕に筋肉あったらいいなぁってなりません？あ、あと今後不定期更新になります。

植木「そんなついでのようにッ！」

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