3-4

 リスクは承知。


「何にせよ、まずは相手の出方を見たい」

 これに尽きる。人魚が次に目覚めた時、どんな反応を示すか。それからだ。


『では、せめて素性の分からない相手の横で寝るのはどうかと』

「しばらくは眠っているはずだろ?」

『人間なら、です』


 レイヴンが警戒するのも無理はない。

 彼女を広場の上から確認した際に生体反応は確認できなかったらしい。

 それだけでなく、手当の際には人間と同じような心拍や脳波を感知できた一方で、血液や体の構造などの解析はエラーが起きていた。


 だが、手当の際は一刻を争うと判断。治療の一環で脱水症状や栄養失調対策などの点滴等も行った。人間なら鎮痛剤等で翌朝までは眠っているはず。

 ただ、それも人間基準。彼女の容態は落ち着いたが、それが人間と同じ仕組みかは分からない。それらを含めて相棒は警戒しているのだろう。


 私が彼女を警戒できないのは――やはり人の姿をしているから?

 あるいは、私も御伽噺おとぎばなしにロマンを感じるタイプだったのか?



 穴から覗く星空は遠い。だが、綺麗だ。

博士ドクターならどうする……?」ふと呟いていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る