第169話 弾ける香り

中華鍋っぽい両手鍋に油を引く。煙が上がるくらい熱くなれば…いいかな?

茶碗から一粒、投げ込む。

ポンッと弾けたのを確かめて、残りを投入、フタをする。立て続けにポンッポンッポポンッと音がする。鍋を揺すって、火から下ろす。余熱でまだ音がする。

「カラメル、出来た?」

「これでいいかな?」

とろんとした、飴色。

「うん、オッケー」

鍋を火の上に戻して、カラメル投入。甘い香りが広がる。ササッと木べらでかき混ぜて馴染ませ、お次はザルの中へ。ザルを軽く振って冷ます。

一つ摘まんで口の中へ。悪くないんじゃない?

「ほい」

マリアネの前にザルを突き出す。

「醤油で味付けても、いい感じになるよ。もちろん塩だけでも」

マリアネの横から、同僚の料理人が手を伸ばす。

「おお、柔らかくて甘いなぁ」

「でも、馬の餌…」

「粟や稗も鳥の餌だけど、食うよな?」

そうそう、雑穀も食べるよね。

他の料理人も次々と手を出す。ゴーネストもやって来て食べてった。

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