第168話 直前に言われても

後ろの席でゴーネスト達が、和気あいあいと食事を始める。

聞くともなしに聞こえた話に衝撃。

ゴーネスト、伯爵家の四男坊!?

え、お生まれは貴族様だったの?うわ、信じられん。

どっからどう見ても元ヤンな男なのに。

耳がダンボになりかけたところで、マリアネが横へ座ってきた。暗い表情。

「何?」

「ポテト、他所でも出すって」

「そうなんだ」

祭りは明日からなのに。次に聞かれそうなことは想像が付く。

「別の何かなんて、もう無理だよねぇ」

ああ、クソ、だから名前覚えるほど親しくなりたくなかったんだ。

「トウモロコシなんてあるかなぁ?」

「馬の餌だよ?」

あるんだ。

「お茶碗一杯ぐらい持ってきて?」

「だから、馬の餌なんだよ?」

「人も食べられるから」

「分かったよ、もらってくる」

不承々々な顔はしたが、席を立った。

米でポン菓子より、祭りならポップコーン!

砂糖で甘いのにするか。子供受けはいいだろう。本当はバターがあると正統派なんだが。



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