第107話 同族嫌悪

テレビ点けっぱなだけで、情報は浴びるほど。

どこの村起こしドキュメントだったか、地元の牧場の集客イベントはたしか…。

「道が出来たら、往き来は楽になるでしょ」

「しかし、何も無いような所には商売人も行かないでしょう?」

「夏も冬も観光」

「は?」

だよね。ここの感覚ならそうだろう。

自分から臨んで得た知識じゃないし、自分で考えて出た知恵でもないから、披露したくない。不愉快。

でも、この不愉快さは通じないのも分かる。

「夏の観光は、牧場の仕事の一部を体験させる」

臭くて汚くないとこだけ、ね。

乳搾り、可愛い子牛か子山羊のエサやり、代金を頂戴して。

「おお、それは楽しそうだ」

さいですか。

「冬は雪だね」

北海道の雪まつり。巨大な雪像。雪の中の生活だって、非日常感があって、観光旅行にはいい。

そんな話に宰相殿の食い付きっぷりは、はんぱない。

「最低でも二三泊するのを前提に、宿屋がいる」

宿屋じゃなくてロッジでも建てれば、その関係の仕事も出来る。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る