第106話 聞きたくない、答えたくない

部屋の前で宰相殿が待っていた。

回れ右しても行ける場所もない。

「お待ちしておりました」

「何か?」

「相談に乗って頂きたい」

おー断ーりーだーっ!で、通りゃいいんだがな…

エーリーズがドアを開ける。

手を向けソファーに座るよう促し、対面へ腰を下ろす。

「で、どのような?」

早く帰ってもらおう。

「我が国内の格差について」

ああ、あるだろうね。

「北の山間部の国民は冬の間、仕事がなく、南部の方まで出稼ぎに行くことが多い」

「雪が降るの?」

「かなり深くなります」

へー。

「仕事自体が少ないので、冬となればなおさらに」

「炭鉱?鉱山と牧羊ぐらいかな」

「なぜお分かりになるのか!」

ハイジがユキちゃんとスキップしてるのが浮かんだのと、炭鉱節がーとは説明出来んな。

「せめて通年、安定した収入を見込めるような施策をと考えておるのですが、なにぶん山奥でありまして」

何にも思い付きませんっと。イラつく。

「炭鉱なら蒸気機関が完成したら、イヤほど忙しくなるから、今はそこへ至るインフラかな」

「インフラ、と言われるのは?」

「道、道路」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る