第108話 地域振興のために

話しながらムカムカが止まらない。自分自身に対し、人の手柄の横取りをして、自慢気に話してるような、そんな不快感。

でも、まだ言わなきゃならんことがある。

「まずは地元の人達と、よく話し合って」

そう、環境アセスメントってやつ。便利になればいいってもんじゃない。

「道を通すと、動物にも植物にも影響するからね」

何なら絶滅する可能性さえ。その場合、将来有益かも知れないモノまで含むかも。

「そこまで考えているとは…」

いや、考えてないから。問題多発からの常識になっていったものだから。

本来この世界の住人が、一つ一つ経験して積み上げて、辿り着くべきなんだ。

本当この世界の神はボケナスだ。過保護過ぎて、聖女召喚なんぞを許してるんだろう。ただの一般人には、いい迷惑。

「お話しはこれで終わりですか?」

傍らの次官と、やや興奮気味に話し出した宰相に、一声掛ける。

「おお、これは失礼した。では」

そそくさと部屋から出ていった。

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