第103話 どんなふうに見えてる?

城の北西側に練兵場がある。

軟禁されてる部屋からは見えないが、廊下に出て、西の端のバルコニーからなら、丘の下にかなりの広さがあるのがうかがえる。

西側にも門があり、王様からの新年の挨拶や誕生日の声明の時には開放して、その練兵場へ国民を入れるのだそうな。

城の地下に直結してる通路でもあるのか、南側へ回って来る兵士の姿はあまり見ない。

「エーちゃん、今度バンゴーが来たら、あそこへ行くよ」

連れてってとは言わない。むやみに好き勝手あちこちふらつくよりは、先に言っといた方が都合がいいでしょう。ねぇ?

色々と動くのは、自分のため。掃除も洗濯も食事の支度もしなくていい生活だけど、不自由。

不便というより、不満が多い。毎日のログボが途絶えたことの方が痛いし、その憂さ晴らしといったとこ。

「…何か企んでます?」

「え?なんで?」

企むとか、心外な。

「わかりました」

小さくため息をついて、エーリーズはそう答えた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る