第101話 誰がための

ちょっと後ろを振り返る。

エーリーズと目が合う。

「付けていただいた彼女は、とても優秀です」

最近じゃ、司祭様にも侍従長様にも丸投げされてるのに、きっちり役目をこなしてる。

自分だったら、たぶん無理。こんなババアの相手、間違いなく途中でキレてる。いや、途中どころか、きっともっと早々にキレてる。

でも、それがエーリーズにとって最適な仕事か?と考えたら、色々やらせてみたいでしょ。王様の秘書でも勤まると思ってるよ。

この世界は優秀な人間が多い。一を聞けば十を知るって奴だ。

なのに何でか、新しいことを思い付かない、工夫が出来ない。それを見ているだけでも、イラッとする。

こっちゃアナログからデジタルの移行期間に、人生のほとんどがある。スマホ握りっぱなしな生活してたけど、無けりゃ無くてもそれなりって。

ここじゃググれないんだから。

「経験は多岐にあった方が、応用や別視点が持てます」

経験を持ち寄れば、問題の解決にも当たりやすい。

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