第22話 試乗会

付いたとはいえ、ブレーキの扱いは慎重にする。ワイヤーロープじゃなくて、ただのワイヤー、針金だからね。

粘りとか低くて、伸びきったらブツンと行きそう。

「エーちゃん、ブレーキは後ろの車輪、左からね」

「どうしてですか?」

「固定されてるから、安全に速度を落とせる」

そこまでスピード出さないだろうし、たぶん考えなくてもいいけど、念のため。バランス取るための前輪ロックしたら転ぶよー。

下り坂も乗ってけないことはないが、ブレーキ引きっぱなしになるのは避けたい。だから二人で街の入り口まで押して下る。

「街のみんなに練習の成果を見せてやろう!」

そう言って、エーリーズの肩をぽんと叩く。

練習、頑張ったよね。

ちょっとはにかんだように笑うと、エーリーズは颯爽と走り出した。走るコースはエーリーズにお任せ。後ろを付いていきます。

あー、いいなぁ、絵になるわぁ。

なんとなくヨコシマなことを思いながら、続いて自分も走り出す。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る