第19話 差し出口された

わぁわぁと自転車にテンション上がってる周り。

何やら怒鳴り声が近づいてくる。

「何事だ!」

また赤い顔してる。

「それは何だ?」

「自転車」

すうっと走って見せる。

「まだ色々してない基本の形よ」

東南アジアみたいな自転車タクシーや、荷車用、メッセンジャー、子供乗せ、もちろんお買い物用も頭にはある。

鼻で嗤ったな。

「やっと聖女らしき真似をしたな」

何だとぉー!いや、こんなことで怒ると疲れる。

「そんなことならウチへ帰して」

「帰し方なぞ知らぬわ」

それが本当か。腹立つ。

侍従長がフォローのつもりか口を挟む。

「聖女としての務めを果たされましたなら、帰れるやもしれません」

やも。やもか。すンごいアテにならなさだ。

いいさ、することもないんだし、好きにさせてもらう。

それじゃ早速改良だ。

「テルト、ナント、金属部品増やせない?」

「強度のことですか?」

さすが職人だ。

「そうそう」

騒がしい理由が分かったんなら、睨んでないで自分の仕事しに行けば?

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