第3話

 動画の投稿数が増える毎に、再生数も増えてきた。

 古い動画もそれに合わせるように再生数が増えている。古いものも含めてというあたりに、いろいろと希望を感じる。数は力というのは動画の収益でも有効のようだ。

 しかし、動画のコメントに否定的な意見が書かれるようになった。


 再生数が少ない間は、「面白かった」「待ってました」といった肯定的なものばかりだったはずが、「くだらない」「時間を無駄にした」という否定的なものを見るようになってきた。幸いにも数は少なく、大部分は肯定的な意見だ。

 それでも気にかかる。

 全員に好かれるはずはない。仕事の頃の客先相手のように、嫌いでも折り合いをつける必要もない。具体的な要望が書かれているわけでもない。

 そんな人もいると割り切って、コメントを無視するべきなんだろう。


「ただいまー」

「おかえり!」


 コメントで悩んでいるうちに結構時間が経っていたみたいだ。

 帰ってきた妻を迎えてから、夕食の用意に取り掛かる。

 お米は炊いてあるから、後はレトルトのカレーを温めるだけだ。


 シンプルな家具や文房具がメインだと思っていたお店に、いつの間にか増えていた食べ物コーナー。ここのレトルトカレーは種類も多く、値段は少しするものの、値段以上に美味しい。買い置きしておけば、その時の気分でカレーの種類を選べるのも良い。

 カレーくらいなら作ることは出来るものの、材料のジャガイモやニンジンを余りなく使おうとすると一食分というわけにはいかない。特にニンジンは固いから、ジャガイモの食感を邪魔しないように小さく切ると、一本使い切るのに結構な量のカレーを作るハメになる。だから一食分だけで選べるレトルトはとても便利だ。


 副菜のサラダは、パック入りの大根サラダを買ってある。カット野菜と同じコーナーに置いてあるサラダシリーズは、複数の野菜が詰め合わせなっていて、大根サラダの他にはレタスサラダやコーンミックスなんかもあって、野菜を増やしたいときに重宝する。


「用意できたぞー」


 部屋着に着替えている妻に声をかけて、食卓に並べる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る