第23話フェリオ・フェブラーシェ

アリエス様はフェブラーシェ家の長女として山奥の人里離れた場所でひっそりと生を受けた。

不自由はなかったと聞いてるけど、嘘だろうね。


それを言ってる時は決まって暗いもの。

聞いて下さい。って顔に書いてあるってのはああいうことを言うんだよきっとさ。


私はアヤも知っての通り研究対象として研究室に招かれた。


当時の私は荒れていて協力しようなんて微塵も考える隙はなかった。


それでもアヤとアリエス様の姿に私の残り少ない人の部分が刺激されて、

ちょくちょく研究のサポートをするようになっていった。


それまで深くは考えないようにしていたんだ。

けど、いつだったかアヤのいない時に昔の話をされてさ。


彼女、パソコン触りながらこっち向かずに言うんだ。


自分は山奥でひっそりと生を受けたって。

他にも兄弟にはイジメられ、親には煙たがられ、と独り言のようにね?

それを妹が親に命令される形で山に置き去りにした。


普通じゃない!

捨てられてるようなもんじゃないか!と怒った記憶があるよ。


それでも彼女は言った。

おかげで助かった。ってさ。

そん時はわからなかった。

でも、今ならわかる。

そうされたことでそれ以上傷を広げることもなかったんだ。って。


私に火がついたところでアヤが帰ってきたから、アリエス様は話をやめて、、


「私には一言も、、」


違うよ?アヤ。

言わなかったのはアヤが考えてるような理由じゃない。


アヤには知られたくなかったんだよ。

嫌われたくなかったから。

わかって。

「だって、、」

ダメ。私はたまたま話して貰えただけでアリエス様はアヤに重きを置いてる。


私は所詮助手じゃなかったんだ。

実験動物相手だからホントのことを言えた。

それがたまたま人の姿をしていただけ。

ペットに独り言をいうようなもん。

だから気にしないで。


「さぁ着いたよ!ここが未代の新天地の最重要、、アレ?ない?」


最重要のものが丸ごとなくなっていた。

そんなはずは、、私はあの岩山に直接描いたのにキレイに、、

どうやればこんなにキレイになくなるのか。

それらしいものがないかまずはみんなで探すことになった。

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