第17話アリエスのアトリエ?

アリエス様はここにはいない。

たぶんこの時代のどこを探してもいないことだろう。


しかし、アリエス様はここに戻ってくる。

私のところに必ず!

「コラ」


チビッ子クマさんに頭を叩かれた。

_よく届いたな。


クマさんは私の身長ほどの高さまで跳び上がりまっすぐ私を上から叩いた。


_何がいけなかったのだろう。


「私はリリアだ。クマなんかじゃない、、くま?」


とうとう観念して語尾に「くま」を。

「違うよ!何か勝手に出るんだくま!」

口元を押さえる仕草も可愛くて思わずよしよし。


「そんなことより誰がアヤのところに帰ってくるくま?」

アリエス様は必ず私の胸に飛び込んでくるはず!

「それはないくま」


もう諦めたのか特に口元を隠すこともせずにクマ、、リリアさんは、

「自分でも言ってたでしょ?この時代のどこを探してもいないくま」


だから私はこのアトリエを目印に向こうから来るようにしようと思ってさ。

「どうやるくま?」

見ててよ。

まずはアリエス様の好きそうなエサを作るからさ。


言った私はデマの情報を作るためにアトリエを一度捨てて、勇者達の一団がくるように差し向けた。


野宿が続いた私達は生活するため、絵画を描いて路上で販売していた。


そこを人に見つかり、その人は絵を買いたいと言ってきた。


その絵はアリエス様のモザイク画で、ハウザウネ鉱石を砕いて色をつけたものだった。


_実はそれしか材料がなかった。


クウィウルは在庫がなかった。


しかし、アリエス様を渡すワケにはいかなかったので、他の絵画を見せる。


すると一発OKだった。

実は複雑な事情があるらしいその人はある絵を描いて欲しいというのだ。


「私でいいんですか?「キミじゃなきゃダメなんだ!」


食いぎみにきた男を私は押し退けながら、事情を聞くと、


ことの発端は国同士の諍い。


_あぁこれ面倒くさいヤツだ。


意地の張り合いやそうしたもので各国身動きがとれなくなっている中、その内の一つ神聖ロズベルグ帝国がある提案をしてきた。


ロズベルグはこれが全部魔王軍のせいだということにした。

反対意見は勿論あった。

しかしそれ以外にこのこじれた仲を取り持つことはできなくなっていた。

戦争だけは避けたいという表向きの理由で反対派を治めた。



たしか簡単にはしょるとそんな話だった。

それからもつらつらとヒドイ裏話を聞かされたが、それを知らずにやらされてる中学生の女子は可哀想に。


「少しは可哀想と思って頂けたなら、この話を絵画にして下さい!

勇者達に真実を伝えたいのです!」

_何か急に勧誘みたいになってきたな。


それまで口を開かなかったリリアさんが、

「そんなん伝えてどーすんのさ」

どーせあれでしょ?

アヤを選んだのだって、捨て駒にできるからでしょ?

何ですか?このクマは?

「アタシのことはいいんだよ。

そんなん伝えたら余計ややこしいでしょうに」

「要するにあれでしょ?各国のいざこざを全部魔王に背負って貰おうって?

表向きは勇者vs魔王ってことにして。

そんなんどう脚色したって一緒じゃん!

アンタわかってんの!?」


それしたところで何も変わらないんだよ?

各国の上層部を何とかすんのが先でしょうが!

それやんないで絵だけ広めても、国民に知れ渡って余計ややこしくなるよ?

クーデターやテロじゃ済まないかもしれない。


下手したら国民と争うことになるかもしれない。


「わかりましたやります」

「おぃ!」

アヤ!アンタ今何聞いてた!?

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