第13話
病院に着くと、出迎えてくれたのはお義父さんだった。
「おじさん、南十星は…?」
「一般の病室に移ったよ。案内しよう。」
そう言って少し急ぎ足で病室に向かった。たどり着いたのは、最上階の個室。初めて私が南十星くんと面会したところ。緊張して大きく息を吸い込む。
「いいかな?」
お義父さんの優しい声に凛久くんと頷いて中に入った。
「あら、急いで来てくれたのね。ありがとう。南十星、星来ちゃんと凛久くんが来たわよ。」
そう、少し涙ぐみながらお母さんは言った。
そしてベッドの上には…。
「星来…。凛久…。」
少し驚いた顔で起き上がってる南十星くんがいた。それを見ただけで涙があふれる。
「南十星…!」
「良かった…良かった…!」
私たちが口々にそう言うと、南十星くんは私たちを見て言った。
「お前ら、制服ってことは、その、学校…。」
「仮病で休んだ。」
「仮病ってお前らな…。」
「学校より、南十星のことのが大事なんだよ。全く、どんだけ、心配したことか…。」
そう言って凛久くんも泣き出す。南十星くんはそんな私たちを見て気まずそうにしていた。
「星来も、休んだのか?」
こくんと頷くと南十星くんは「そっか」と言った。
「ありがとな。来てくれて。お礼にほれ、ぎゅってしてやる。」
そう言って南十星くんは腕を広げた。もう、我慢なんて出来なかった。
「南十星くん!!」
そう言って胸に飛び込むと、優しく包んでくれるあったかい腕。ああ、戻って来たんだ。そう思うと余計に涙が出てくる。笑顔で迎えようと思ってたのに…。
「ごめんな、心配かけたな…。ごめん。」
そう言って苦しいほど抱きしめられる。帰ってきてくれただけで十分なのに、それを言葉にできず、私はずっと首を振っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます