第10話
もう遅いからと、お義母さんたちに言われて、私は家に帰った。
「おかえりなさい。どうだった?」
お母さんが出迎えて、いきなりそう言った。その顔には「成功したでしょ?」と書いてあるのが見えた気がして私は顔をそらした。
「お母さんには関係ない。」
そう言って二階に上がろうとするとお父さんが降りてきた。
「ただいま。」
そう言って横を通ろうとするのを、止められた。
「まあ、待ちなさい。母さんから聞いたぞ、彼氏の手術だったんだって?結果くらい話してくれてもいいんじゃないか?」
「お父さんたちには関係ないでしょ?一人にしてよ。」
私がそう言うと、お父さんはため息を吐いた。
「何を言ってるんだ。私たちは家族じゃないか。何があったんだ?」
「関係ないって言ってるでしょ!」
そう言って私は階段を駆け上がった。
部屋に入るとそこで張りつめていたものがプツンと切れて泣き崩れた。
「南十星くん…南十星くん…!」
そんな時、ドアが控えめに叩かれた。
「だれ…?」
「光星だよ。星来、どうしたんだい?」
光星は私の双子の兄。
「ごめん、お兄ちゃんでも、話せない。」
「なんで?」
なんで?なんでなんだろ?なんで誰にも話したくないんだろう?分かんない、わかんないけど、話したくない。
「ねえ、お兄ちゃんには、話してくれない?」
「いや…。いやだ…。」
そう言って私はまた泣く。ドアの向こうのお兄ちゃんの気配が遠ざかっていく。
そんな時、スマホが鳴った。愛良ちゃんからメッセージが届いたんだ。
『凛久から色々聞いた。星来大丈夫(。´・ω・)?』
凛久くん、愛良ちゃんに話したんだ。
『あんまり大丈夫じゃないかも…。』
『そっか…。その、あんま無茶しないでね。』
『うん、ありがとう。』
そう言って私はスマホを置いた。
もう寝よう、そう思った。多分、泣き疲れたんだと思う。それに、明日からのことを思ったら寝ないと持たないと思った。
おやすみ、南十星くん…。
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