第2話

 辛い授業が終わり、待ちに待ったお昼休み。いつも南十星くんと一緒に屋上で食べてる。

 いつも南十星くんが迎えに来てくれて、一緒に行くんだけど、今日は遅いな…。

「南十星、来ないな。」

 凛久くんもそう言って入り口を見ていた。

「そうなんだよね。何かあったのかな?」

「凛久、様子見てきてあげなよ。」

「そうだね。ちょっと見てくるから、星来ちゃん待っててね。」

「ごめん、ありがとう。」

 そう言って凛久くんは行ってくれたけど、すぐ戻って来た。

「南十星、今保健室にいるって。」

「ほ、保健室?どうしたんだろう…?」

「分かんないけど、一個前の授業中に行ったらしいよ。」

「そうなんだ…。」

 心配だな…。でも、行って休んでる邪魔しちゃダメだよね…。

「星来、行ってきなよ。」

 愛良ちゃんはそう言って肘で私をつついた。

「え?で、でも…。」

「そうだね。南十星、星来ちゃんの事大好きだから早く元気になるかも。」

 凛久くんもそう言って笑った。そんな簡単に元気になるにかな?

「ほら、行った行った!」

 最後に愛良ちゃんに背中を押されたので保健室に行くことにした。


 保健の先生に挨拶してから南十星くんのいるベッドに向かった。カーテンを開けてみると、南十星くんは気持ちよさそうに寝ていた。苦しそうじゃなくて良かった。投げ出された手にそっと触れると、南十星くんは目を開けた。

「あ、ごめんね。起こしちゃって。」

「いや、大丈夫だ。」

 まだ眠そうな顔でそう言ってくれた。優しすぎるよ…。

「誰からここにいるって聞いた?」

「えっと、凛久くんがね南十星くんなかなか来ないからって様子見に行ってくれてそれで聞いたよ。」

「そっか…。凛久が…。」

 そう言って少し心苦しそうな顔をした。何かあるのかな…?

「悪いな、心配かけて。ただの貧血だから、気にしないでくれ。」

 そんな表情をかき消し、笑顔でそう言った。

「ほんとに?」

「ほんとだよ。」

 そう言って起き上がると、私の頭をぐしゃぐしゃに撫でた。

「ちょ、やめてよ~!」

 こうしていると、元気なんだなって分かる。

「ちょっと寝たらすっきりしたし、教室戻るかな。」

「ほんとに大丈夫?」

「ああ。」

 私の心配をよそに、南十星くんは靴を履き始める。そのタイミングを見計らって保健の先生が来た。

「天羽くん、もういいの?」

 天羽とは南十星くんの苗字。かっこいいよね。

「はい、大丈夫です。ありがとうございました。」

「若いっていいわね。じゃあ、しっかりお昼を食べること!いいわね?」

「はい。」

 そう言って私たちは保健室を後にした。

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