第5話地脈の発見と調査と海の魚竜

 さて、色々とやっていくかな。水掛け論は議論的にはやるだけ無駄。故に相手側の能力の真逆の効果の能力を攻略方法と言っても仕方がない。まあ、例えば相手に力をぶつけて強制的に何かを起こさせたり、制御したりする力なんて、相手側に力を付与するのが前提に有るのだから、要はデバフ潰しの能力が有れば良いのだが、水の生成の遠隔使用と操作、水蒸気に威力付与。この二つが出来れば霧でも創れば領域内全てにダメージを発生させるのが出来る。只の近接相手には結構行けるか?剣圧で散らす?只単に霧を発生させているならともかく、制御するのだから制御力で上回れば関係ないか。例えば空間シャッフルされたら制御圏外とかに制御している奴を切り離されそうだけど、それは近接攻撃とは言わないな。まあ、色々と試しますかね。理論純水、それは要するに水からできうる限りの不純物を取り除いた物だけど、理論純水は普通の水に戻ろうとする性質を持つ。つまりは他の物から物を奪う性質を持つ。その性質を増強出来ればかなり使えそうだが、一定量取り込んだら只の水に成るので、物質変換で理論純水に戻すのも平行してやらないと長時間その効果は維持されない。霧にダメージ付与は理論純水による霧に色々と補助効果を乗っけた物を先ず今は出来る様にしよう。補助効果を乗っけ無いと空気中の塵でも水に戻りかねない為、只の理論純水を用意するだけじゃ禄に威力出ないが、検証を行っていく。空間把握と白菊の力を使って、通常は見えない物を見る。なんでもかんでも見えるなら、要は小さい物を見るための倍率を上げても、見える範囲が狭くならない顕微鏡を使っている様な物だ。その結果として空間上の塵芥や、空間上の気体が見えてしまう訳で、ん?前に他の場所で見たのと違う管らしき物が有るな?空間上に有って不思議では無くて、気体や塵芥では無い物。地脈とか、召喚システムの大元の一部だったりするのか?手を加える前に、補助の効果を進化させて貰おうかとも思ったが、取り敢えずその管らしき物に触れてみる。実際には冷静に考えれば迂闊な行動では有るが、その結果として俺に大量にエネルギーが流れ込んできた。そして体中が活性化した。どうやらこの管らしき物は地脈だったらしい。つまり、召喚システムとは別枠のエネルギーな可能性が有るって事だ。なので、他の人に無線機器で連絡し、今居る場所へと来て貰う事にした。待つ間に召喚システムへ対抗するシステムを産み出せるかも知れないのだから、エネルギーを確保出来る限りはしておこう。俺は、実質上今は魔法生物だ。エネルギーのキャパも上がっているだろうし、

「……何をしているのかしら?」

「要はエネルギーの補給だよ」

 全ての水が海鳴の体だと言うのなら、……要するに俺はその一部が変わった物な訳で。エネルギー許容限界が来たとて、海鳴が何とかしてくれるだろうさ。

「はぁ。エネルギーの取り込み過ぎは止めた方が良いわ。ウィンディーネなんて古典も古典なのだから色んな創作で攻略なんて何度もされている存在でしかなくて……」

 それは盛る前の元ネタの話で彼女の話では無いが、少し話した所で他の人が入ってくる。

「……なんの話をしている?」

「そんな事より、先に連絡した事が先です。此方が見せられるようにした方が良いですか?」

「いや、それが無くとも君のエネルギー保有量が一気に増えたのは解る」

要は魔法生物が成立する前提を破壊すれば倒せるよねと。そりゃそうだろと。要は殺せば死ぬよねと言われただけだ。そして地脈の使い道を検討する事に成った。個人的には速くエネルギーの対策をしたい。まあ、地脈を見つけたのが俺な以上、居た方が良いのだから話し合いの後にやれと言われ、渋々話し合いに参加することにした。

「今回のエネルギー溜まり、定義上は地脈とするが、これは召喚システムの物か、そうでないのかが重要。という事は理解しているとして、それをどう判別するかが重要だ」

「地脈のエネルギーを持ったままで、召喚システム外に出れば良いと思います。但しそれで生まれた人達の同伴は不可ですが、不都合が起きなければ地脈で良いはずです」

「ふむ。では誰が行こうか。少なくとも発見者には来てもらうが」

「……分かりました。只、個人的な実験もやらしてもらいますね」

「つまりそれが参加の条件か。それくらいなら構わない。だが何をする?」

「自分が操るエネルギーが召喚システム外でも制御する事が出来るかどうかを試します」

「確かにそれは重要だな。結果報告を頼むよ」

「これが仮に失敗したら、俺の命はシステム側に握られていますし、成功したらしたで、方法次第で召喚システム外への強制的転送が可能になりますね」

「対策は必要か。魔法産の物も持つようにしてくれ。召喚システム外で消えるかが見たい」

「分かりました。そうしましょう」

そして更にいくつかの実験や検証の為の準備に移る事に成った。

「だが、仮に地脈だとして、他の人が見付けて無い物だろうか?能力で出した物と言う落ちは勘弁してくれよ?」

「地脈を見付けている奴がそれを公開する必要が無いですよ」

「エネルギー溜まりを永世中立国は公開したが?」

「それは額面通りの意図とは思いませんよ。永世中立国が永世中立国で居られるのは武器を一番大量に持つからですしね」

「武器の貯蓄量が売りなのに、周りに武器を造る様に促すのは確かに可笑しいな。公開しない結果の流れよりも公開した結果の流れの方が良いと判断したと言う事なのだろうが」

「横槍で悪いけど、オンラインゲームで考えれば簡単よ。ゲームプレイヤー全員が対処に当たる様な事がこの先起きないとは限らなくて、下手したらレベルが足りている奴らが圧倒的に足りない強制的集団レイドバトルが起きない保証は無いし、そんなのは嫌だもの」

「周りも強くさしとかないと、戦力外を多く抱えたままで不味い状況に成る可能性が有る……か。確かに必要か。自衛くらい自分でしろと言う事でもあるが」

「そう言えば行くのは外国ですよね?パスポートとか要らないのでしょうか?」

「要らないと言いたい所だが、明らかに人目に付く場所へ行く訳だからな。強制送還されてもつまらんから、念のため入国審査は受ける形で行く方が良いだろう」

「金の無駄遣いでは?ばれないだろう。亡命者が尽く捕まる様な環境でもないし」

「隠密で最初から最後まで行くならともかく、行く場所は行くと明らかに目立つからな」

 そして一部の人だけで召喚システムの圏内ギリギリの場所に行く事に成った。の、だが、問題点が一つ。一応俺は魔法生物みたいなものなのだから、飛行機への搭乗を拒否されてしまったのだ。まあ、ですよねー。としか言えない。仮に何の魔法生物か詳細に説明しても嫌だろう。実際全身が武器みたいな物だから、異能を考慮しない通常通りのハイジャック対策では効果が無いからだ。なので、海鳴に俺のエネルギーを一部運んで貰う事にしようとしたのだが、一見、ミサイルを撃ち込んで居る様にしか見えなくなるので、止められてしまった。一先ずその場を離れ、話し合い、出た結論は、公海上に有る召喚システム域の境界線の場所へ行く事だった。国外に出るのは変わらないが、それなら不法入国だのなんだのと言われる可能性は低い。公海とはいわゆる排他的経済水域の外で、どの国の物でもない海域なためだ。公海上でも有効な禁止行為も有るかも知れないので、確認出来次第咎められる前にさっさと引き上げる事にしよう。問題を挙げるならば、外海に出られるサイズの船が必要な事。脱出手段は有るが、海の中に巨大生物が創られているらしい事。嫌だな。完全にフラグじゃないか。海中は海鳴の独壇場な気もするが。そう言う事を大っぴらにやるのは流石に不味いだろう。それをしたら色々な国が介入してきてもおかしくない。何故なら、海洋資源を気分次第でごっそり取り尽されかねないからだ。とりあえず上の方に伺いを先に掛けて置こう。召喚システムについての取り決めがもし有るとしても、国際的な強制力を持つ様な物はまだ制定はされていない段階なはずなので、出国許可さえ取れれば後はどうとでも成るはずだ。軍隊蟻とかで、散々法律がまだ決まってない事で苦汁を飲まされている立場でも有るため、少し複雑な気分でも有るが、元の身体に戻らない限りは出国なんて通常の手段では出来そうも無いので、それには目を閉じておく事にする。

 他の人が上の人達にお伺いを立てている間に此方は大型船の手配だな。え?装甲船を上が融通してくれるだって?理由を聞くと、貸し出す為の条件が、ウォータージェット推進の一定以上の加速実験を追加でするのが条件で、通常やらないレベルで超加速する場合の検証がしたいらしい。……何かとぶつかると不味いはずなのだが、何故そんな話に?……ああ、海を渡りたい人が大型海獣に対抗出来る人しか居ない訳じゃないから、転移抜きで海域を誰でも簡単に抜けられる手段を確立する必要が有るそうだ。物を運搬するのに海路を使っていた物全般が面倒な状況に既に成って居る為、海獣に見つかろうが、捕まらないスピードを出して逃げてしまえと言う訳だ。伺いを立てて無かったら事前情報無し的な条件で挑む羽目に成る所だった。海鳴が口出しするのは力を隠す流れ的には難しかったのと、具体的な海路がまだ決まって無かった為、詳細に口出しするのもまずかったためだ。なんか前にテレビでやっていたけど、室内を水で満たしその中に居ると、真面目に衝撃吸収してくれるのか。……風系の人が空気のクッションを造るといって居たが、航海中ずっとそれを起動しておく必要が有り、尚且つその術者に命綱を預ける事に成るので、両方とも採用し、二重に備える事に成った。……恐らく数時間力を使いっぱなしに此方は成るのに、そちらはスルー?それで不味く成った場合の話だから、話が別?ああそうですか。海獣倒せば有名に?海獣を出したのが召喚システムの開発者側だった場合、召喚システムの開発者側に早期から目を付けられる事に成るし、ただでさえ地脈の件も有るのだから、流石にそれに手を出すのは早計としか言えない状況なので却下ですね。そう言えば俺はともかく、水で満たした部屋に数時間居るとか、酸素足りるか?ああ、ダイバースーツと酸素ボンベ使う?ですよね。そう言えば陸路や空路で運べば済む様な気もする。ええと、空にモンスターが居ない訳ではないが、魔法的に完全に依存した一定以上高速な空中のモンスターは、要は飛ぶ為の力を潰された場合に事故リスクが高い故に対処出来る奴には充分対処可能な様だ。……だが、だからと魔法抜きで空を飛ぶ生物で、一定以上のサイズの存在となると、歴史上の翼竜等を除けば創る上での必要な資料が無さすぎる。まあ、いわゆるサイボーグをドローン的に飛ばす奴は居る様だし、空にモンスターが居ない訳ではない。だが、大抵の場合は出せる奴は早々と処理されるために、一定以上のスピードは出ない奴しか居ない場合が殆どな様だ。空路においても、海路に置いても、一定以上のスピードの出せる乗り物は多少の障害はある物の、通常通り運用可能な訳だ。要は想像力の限界と言う物な訳だが、あくまでそれは現段階ではという話に限る話でしかなく、これから先もそうだとは限らない。そう言うのが跋扈する環境は勘弁して欲しいが。そして装甲船を見に行くと、中型船が港に有るのが見て取れた。それなりに大きな船でやれないと目的的に意味が無いのだが、場合によってはこの船を壊す事に成るのにこんなにあっさりと。準備に入ろうか。

 そして諸々の準備が整い、直ぐに帰れるとは言え最低限の物資を揃えて、先に小型船で練習した後に本格的に始める事にする。最初は抑え目にしてのんびり噴出力を上げて行く。その方が一気に最大出力を出すよりも最終的には加速出来るし、最初は調子も掴みたいしね。そして暫く順調に進んでいると海鳴が衝撃に備えろと言い出したかと思えば、“海が割れた”。モーゼの真似事かよ?そして装甲船は海中に落ちながら突入するが、そもそも装甲船の中は衝撃対策として水で満たされて居る場所も多く、防水加工くらい前提としてなされている為、海鳴の指示で早々と海上に戻れたのだが、……何の能力も無しの船なら完全に詰み検案だろこれ……潜水艦では無いのだから水圧に其処迄耐久性が無いのは仕方ないのだが、大丈夫かこれ……其処に海鳴から警告が来る。

「今回は倒さない方向で行くのよね?ナビゲートするから、早く離脱するわよ」

「おう。頼む」

 そして何者かからの逃走が始まる。基本的に此方は高速で動いているのだから、広範囲を一気に攻撃するのは流石に費用対効果が悪すぎるはず。その結果、装甲船は空を飛んだ何かに打ち上げられたのだ。

「ふざけんな!でも、それでもここは押し通らせて貰う」

装甲船の硬さに任せて墜落時に衝撃を水圧で軽減しない。……と言うか、それをしたら船のスピードが落ちて本格的に敵に補足される事に成る。

「水中にはさっきの水中地雷、より正確に言うと、異常な量の超凝縮された水の塊に此方が触れることで解放されているみたいね」

 何度も船が空中に投げ出されては着水を繰り返す。それは良いが、超高速なのも有り、衝撃がでかい訳で、装甲船に掛かる負荷が凄く大きいのに壊れない。普通なら有り得ないくらいこの船頑丈だな。相応な量の水の中に居れば能力無しでも高所から落ちてもまあ生き延びられるらしいのだが、装甲船に掛かる負担は流石にやばそうな気がする。流石に何らかの能力で補強されているのだろう。このまま逃げ切れるならば良いのだが、そうは行かないだろうな。高速で動いている以上小回りが効かないのだからと、進行方向の海水が盛り上がり始めた。曲がり回避しようとするが、間に合わない。その山に捕まる所で海鳴が一気に横方向に水を大量噴射して逃れる。水の制御ではまだまだ敵わないか。海鳴は此方が時間を掛けて発生させられた推進力を一手だけで簡単に上回られたのだから。でも問題は其処じゃなくて、目を付けられるレベルの事をしてしまった気がする。でも、こうしないと実質詰みだったのだから仕方がない。

「出し惜しみして切り抜けられる状況では無かったもの。仕方ないわ」

「とは言えこれは何処まで逃げ切れれば良い?」

「援軍を見込める所まで逃げ切れれば良いのよ。要は国の排他的経済水域の中に逃げるの」

「おま、それってつまり強制的に厄災を他に押し付けるって事じゃ?」

「陸上に侵略するつもりが有るのだったら、今迄にこいつは大きなニュースに成って居るはずだけど、そう言うのが無いから、多分一定以上迄は追って来る事は無いはずよ」

「そこまで逃げ切れれば良い訳か。さて、そろそろ相手はどんな奴か教えてくれるか?」

「大きなラティメリアが厳つく大きくなった感じ……と言っても解らない人の方が多いけど、シーラカンスなら知っている人は多いと思うわ」

「ああ、生きた化石って呼ばれている奴ね。……生存力が高すぎる結果遥か昔から種として殆ど変わらないのに今日も生存している種がベース……タンクをこなせる魔法使いとか盛り過ぎであるはずなのだが……」

「それは違うわ。要は今回のラティメリアについては既存の生物に魔法的強化を加えた種と言う解釈で良いのではないかしら?それなら海洋生物学者辺りなら人によっては頑張ればやれかねないわよ」

「……海洋生物学者なら、海洋生物の詳細説明をやれかねない……か。それに魔法的なアイディアを付け足して召喚すれば良いだけだからな……」

「システム的に説明が詳細であればあるほど強いのなら、専門的な知識を持つ人達が、それらをベースに召喚して、付け足す魔法的強化がそれと噛み合いさえすれば、システム的にそりゃあ強いのも産まれるわよね」

「召喚のコストさえどうにか出来れば確かにそうか……くそ。まあいい。今は逃げ切……、おい、あんなにでかい生物が何で空を飛んでいる?しかも何匹も」

「人が乗っているわね。領海まで来られたのかしら?」

 空を見上げれば骨に魔法的強化が纏われている直径十メートルそこらの骨だけの翼竜がぞろぞろと居た。

「全身骨格が化石として残っている恐竜なら、いわゆるボーンスカイアンデッドを創る際の基本的な情報としては充分って訳か。骨をシステムに飲み込ませたのでも無ければ多分アンデッドの見た目なだけだろうが、国単位規模の組織なら簡単に作れやがるか、くそが」

 不法侵入で捕まるかも知れないから慎重に対応しないと。そこでスピーカーか何かで、数か国の言語を使って呼び掛けられ、此方は念のため止まらずにメガホンを使って応答する。正直相手側に国旗が無いのが不安なので、スピードは落とすにしても、港に迄行く事にする。本物の人達が来ていたならそれでも問題は無いし、騙そうとしている偽者ならそいつら側が逃げるか、港に着く前に仕掛けて来るか、だが、そのまま港に着いた。どうやら本物だったかね。近場に翼竜も降りて来る。港に居た人達が近付いて来るが、その人達は少し離れた場所から話し掛けて来た。あ、そう言えば、此方だけしか相手を警戒していない訳ではないのだ。海の状況を把握しているなら、そいつらの関係者な可能性を考慮しても可笑しくは無い。と言うか、対策無しの船なら簡単に沈められる奴が居る所を突破したと解釈するよりも、沈めて来る奴の仲間で関係無く突破出来たと考えた方がそれっぽい。つまりこの人達が海の奴とグルと言う展開は無くて済みそうで有る。警戒の原因が先の奴と味方なら有り得ない物だ。一先ず誤解を解くには、クルーズログ、つまり、ドライブレコーダー的な物の録画記録を見せれば良い。問題としては、あれだけのゴリ押し巡航だったのだから、もうそれが壊れている可能性がある事だが、カメラを装甲船の外に付けた物では無かった為、取り出し口が壊れて居た事以外の問題は無くて済んだが、その結果、ドン引きされた。まあ、装甲船が完全にメタ仕様だったのだから、あんなのが居ると先に解って居たと取られて、なのにわざわざゴリ押しで其処を突破した人達と取られた。平たく言えば危険に自分から進んで挑む変人集団扱いで有る。別に事前に知って居た訳ではないが、地脈の関連は話す訳にも行かない為、はぼかしてそういう事だと主張する事に成った。

 翼竜が気になったので、近くで見せてもらう事にする。この行動は先の主張と大した乖離もないはずだ。……骨格の動きが少しバラバラな様に見える。要は合体ロボの要領な様だ。骨格のパーツを別々に召喚し、後から統合するための個体を用意して、一つの個体になるように組み合わせたのだろう。攻撃手段がどのような物かは分からないが、……そもそも直径十メートルクラスの飛べる奴何て居るのか?スマホで調べる。……比較的簡単に出て来た。ケツァルコアトルス。召喚システムを考慮し無いなら、史上最大級の飛翔動物として紹介されている奴らしい。翼竜か。プテラノドンくらいは知って居たし、創るのを提案してみるべきだったのかも知れない。さて、一先ず他の人も出て大丈夫っぽいので、出て来て貰う。その際に口裏合わせと打ち合わせを行う。さて、一先ず彼方にも連絡を入れよう。通信機器を起動する。

「連絡が遅くなり申し訳ありません。水霧です。例の件は魔法生物に邪魔されたため、一先ず他国の港に来ています」

『……ふむ。今場所を確認した。予定の海域から随分移動しているな。魔法生物はそこまで移動しないと不味い奴だったと言う事か』

「はい。通常の何も魔法的強化がされていない船なら簡単に沈むレベルの奴ですね。機動力に関係無く当ててくるのが無かったので何とか逃げられましたが」

『前提条件上、少なくとも創った奴はそれなりにそれを理解出来ている必要が有る。詰まる所、それには何らかのロジックが無ければ成らない。でなければ召喚システムに入力したカタログスペックがいくら高くとも雑魚しか生まれない』

「それについてなのですが、召喚する奴はいわゆる合体ロボ方式と言う物が可能な様です」

『その手が有ったか。要は、召喚システムは個々判定ではなく、総合評価方式と言う事か?』

「その可能性が高いかと。と言うか、そうじゃないと、魔法的能力で一定以上の性能を実現出来るのを創れるのは召喚システムが無くとも魔法を使える本職の人だけに成るので、強い奴なんてそう簡単には生まれなく成りますし」

『……設定厨歓喜設定だな。これは』

「設定が膨大な量有っても召喚システムに文言が書き込めないと意味が無いですよね」

『故の合体ロボ方式だろう。集合体だの、結晶体だの、群体だの、結集体だの、一定以上の奴らが集まって一つの奴に成る奴なら、現状の条件でも強い奴は創れる訳だな』

「そんなに都合が良いのがありますかね?」

『別に都合が良くは無いが。ロジックをちゃんと組まないで自動生成に任せるとか、要は仕様書を全部把握せずに精密機械を制御するのが有りだとしないと成らないし』

「うわぁ……相手がメタを用意していてもそれをメタだと事前に把握出来ないのは不味いですよ……でも造られた奴自身に聞けば良いですよね?」

『そうだとしても、それは造られる奴の種類に依るし、何よりも能力を召喚システムに頼らず得る場合には流石にシステムサポート外だろう』

「おぅ……そうなりますか……ま、まあ、検証すれば良いですよね」

『その場合は戦闘で足りない新しい戦力を即座に召喚して増やすのがあれに成るな。いや、やれなくは無いが、検証不足の力を即実戦投入する形に成ると言うべきか』

「要は既存の手札を増やすのは有りでも、足りない手札を即席で創って勝利が無理ですか」

『別に無理ではないだろうが、未検証の奴の使用だし、どんなリスクや対価が来るか分からんからやらない方が良いだろうな』

「簡単なので何か無いですかね?」

『シンプルで尚且つ有名で、有効なのは身体強化か?要は全身をエネルギーで保護して、自力で全力を出せる様にすれば良いだけだからな。エネルギーで体の保護をする事で、自分の力を出す事での体の負担を消して居るだけだし、純粋な強化と言えるかは微妙だが』

「……あっさりと言いやがったよこの人。超強化はその理屈では無理そうですが」

『其方は流石に教えられないな。自分で使うし』

「まあそれもそうですね。では一度通信を切りますね。また連絡します」

『おいおいどうするか聞くために連絡した訳じゃないのかよ?此方から追加で人員補充とか必要が有る奴が有れば追加で連絡な。何も無ければ夜までに連絡してくれ』

「解りました。それでは」

 連絡終わり。他の人の所に行くか。さあて、どうしようか、翼竜の偵察によれば、海の中に更に水中地雷が増えている様だ。表層側がメインで、深い所は然程無い様だが、先程のそれに然程意味が無かったのは水中地雷の水の解放迄のタイムラグで、結果的には水流に後ろから後押しされている形であったからだ。つまり、一定以上の加速が出来ない船になら充分な妨害を果たしてくれる物な訳で、ラティメリアがそれを増やした理由は当然此方が其処を無理矢理突破したからで、君らが来たからこうなった。だから君らがなんとかしろと言われてしまった。別に無視して帰る事も出来るのだが、彼方側からすれば此方を不法入国で通報しても良いのだ。倒すのに海鳴の力を全力で使えば色々な国からの介入を受けるだろうし、倒さないのも結局は国に介入される。要はある程度の縛りプレイで撃破しないと此処からは面倒事にしか成らないのだ。意見を求め、話し合う事にすると、ある事に気付く。既に翼竜と言う空を移動する代替手段が有るのに、わざわざ海を渡る必要性が有るとは思えないのだ。海産物が取れないのは確かにそうであろうが、水中地雷が大量に既に設置されて居る場所に魚が残っているとしたら、そいつもまたその環境でも大丈夫な奴なはずで、簡単に捕獲出来る様な物では無いはず。海藻類等の海底側に有るのに関してなら問題無いにしても、メインの水中地雷が有るのは海面近くのみ。一部の水中地雷帯を突破さえ出来れば問題無いはずだ。だからその手段さえ提供出来れば倒す必要性は無いと言う事に成る。そして出た案はと言うと、要は水中地雷の水圧に耐えられる程度の結界を使うことで、一部の区画を隔離した上でその中で水中地雷を解放させ、ある程度取り除いた上で結界を海底側迄届くように再度展開し、ラティメリアが介入をして来る迄に回収してから離脱しようと成る事に成った。つまり、自由なサイズ変更が出来る一定以上の硬度の結界を張れれば何とか成るのだ。流石に何度もやれば対策されるとは言え、頻繫にやる必要性は無いので問題無いはずだ。なんかな、他の海域ってどうなっているのだろうか?海の中を生息域とする以上水の制御が何らかの形で出来る奴が多い気がする。海中を泳ぐなら泳ぎのスピードを上げる為の能力を持つと言うのは小魚的には欠かせない。と言うか、それを大型海獣側だけ持つとか成るなら、食物連鎖のバランス崩壊検案だろう。狙われたら基本的に逃げるのは無理なケースが多発するだろうし。群生して食べ尽される事の無い様にするにも限界が有るし。でも、そう言えば、既存の小魚とかが召喚システムを利用出来る余地なんかないよな。魚類とかの他の生物にも専用のシステムが仮に有るならば、召喚システムの作成者は大量の絶滅なんて望んで無い事に成る気がする。何故ならそのシステムを導入しない事で、鯨等の魚を大量に食う様な奴らが創られ、大量に放し飼い(御せない場合も含む)なんてされたらね?むしろ生物を大量絶滅させるには都合が良すぎるし。これ、国が動く検案としては充分なのではないだろうか?上に掛け合って貰うか?

『……暴食する奴を大量に用意して、海洋生物資源を食い尽くさせる……か。食糧難の方面から攻めるなら確かに有りだが、少なくともそれは作成者側の意図ではないな。それは怪獣を大暴れさせるよりも確実で、尚且つ表面化もしにくい方法なのだから』

「……なら作成者の思惑って何なのでしょうか?」

『神の道楽とかの可能性も有るし、考えるのはもっと後で良いだろう。それはともかく、召喚システム産の海獣を処分していかないといけないと提唱したとして、国にやらせるのは他人任せ呼ばわりされるだろうが、個人でやるには明らかに限界が有る。でも、前例は作るべきだ。そういうのをローコストで倒せるって言うな』

「なんでそんな話に成るのですか?」

『コストを大量に掛けて倒すにはまだ無理がある。まだあくまでそれはかも知れないでしかないのに、膨大なコストを掛けないと倒せない奴を大量に倒せと言われて、それに掛かるコストを負担しろと言われても無理だからな』

「考えれば解るじゃないですか」

『損害を防ぐためにその損害と似たレベルの損害を受けるのでは意味が無いよ』

「試しますか?今回の奴は召喚システムの作成者側の意図からは外れているのですから、召喚システムの作成者側からの妨害を受ける可能性は低いので、倒しても問題無いはず」

『……ふむ。なら交戦データを寄越せ。考えてみよう』

そして録画データを転送し、見てもらう。

『こいつの能力は水系だけではなく、重力系のだな。見る限りは全部それで説明が付く』

「重力ですか……重力干渉の奴ありましたよね?それでなんとか成りますかね?」

『問題は恐らくこいつが海底付近からやっている事だろう。追うのを止めたのが海の深さが一定以上浅くなる場所に行くのを嫌がった結果だとすれば説明も付く。つまり、こいつの海上への釣り出しは無理だと思う方が良い。後、深海適応能力か、深海迄届く威力か、射程圏辺りは欲しい所だが、威力ゴリ押しは海生生物の大量虐殺に成るから、やめとけ』

「自分が深海適応なら有りますが、他の人には持たせられませんね」

『なら君と君の召喚した奴で上まで移動させられるか?』

「強制的に相手を移動させる奴を使うので無ければ、それが出来るなら普通に倒せますよね?」

『まあ、そうだな。そいつに逃走させているのだから。だが、射程距離で行けるか?ふむ。ちょっと調べ……成程。約四キロの射程が有れば平均的な海底付近迄余裕を持って届かせられるな。なら充分な奴が居るな。罪の軽減措置の材料として出させれば協力も問題無いはずだ』

「それで無理矢理海上に持って来させる訳ですか。解りました。それで行きましょう」

 そして件の奴を一時的に呼び出す事に成った。

「軽減措置の対価の一環で実質のただ働きかよ。まあ、多少の協力は吝かじゃないしね。オーダーはなんだ?」

説明をする。嫌そうな顔をされながら、

「転送自体は可能だろうが、流石に試した事の無い内容だ。せめて事前に練習と、どいつがそのラティメリアかを示して貰わないと流石に無理だが」

「まあ、それは仕方ないか。つまり、先に戦闘状態に成って貰わないと無理か」

「顔が割れてれば違うぞ。これはあくまで今回の場合に限る話だしね。深海で専用の装備品無しでまともに行動出来る奴は欲しいが、転送範囲をある程度逃げられる前提で広くするなら、今回の目的以外の奴も引っ張って来てしまうと思うが」

「仕様上そうなるか……だが、最初の案よりはだいぶましだし、それで構わない」

「ゲーム的に言えば、レイドボス数体と同時に戦う可能性が有る案がマシだとか……」

「戦力の比率的には実際にましだからな」

「何か?深海適応出来る奴が少ないか?何故それで挑もうと思うよ?」

「此方にも事情が有るって話だな」

「へいへい解りましたよ。危なく成ったら此方は逃げるからな」

「まあそれくらいはしょうがないか。何分有れば良い?」

「直ぐに終わるさ。しかし、問題は練習を何処でやるかだ。他所でやるにも他の奴に喧嘩売る形になりかねんからな」

「……よし。そんな事を言うなら、上空に行こうか。要は地上から四千メートルの場所から地上に力を届かせれば良いのだろ?翼竜に乗り、飛んで貰おう」

「待て、地上でも試せるって……深さ四千メートルの穴を掘る許可が必要だが……」

「……そう来るか。なら、地下水脈探しなり、温泉掘るのもついでにやれるよな。それをするならそれで交渉出来るから、その案で行こうか」

「……藪蛇か。だがまあ四千メートルの大穴を掘る許可の為の対価なら仕方ないか。じゃあ交渉くらいそちらがしろよ?」

「解った。そうしよう」

そして交渉を行う。一先ず許可は取れた……。と言うか、此方は彼方に交渉している立場で、此方が払うより、むしろ此方が彼方に更に払う事に成ったとしても良いくらいなのだが、仮に巨大な地下水脈を見付けた場合、其処に既にヤバイ奴が居る可能性も有る。見付けた地下水脈が毒で汚染されていました。と言う事も有り得る。あ、いや、目的が単に世界を滅ぼしたいならともかく、占領して其処から利益を得たいなら、此方の資源を潰す様な戦法はゲーム的に言えば、勝利時の報酬を自分から減らす様な物な気がする。例えば滅ぼしたいだけなら水爆を世界各地に乱射すれば良い。……。まあ、それだけでは全部は終わらないし、原理知らん奴にはまともな威力の物を作れないだろうけど、滅ぼしたいだけの流れとは違う気がする。そう言えば、空間シャッフルの奴のコードネームは明空流星あかぞらりゅうせいになったそうだ。ネーミングの理由は家屋投げと言う事が明白だな。まああれは投げる物が家しかなかっただけだろうが。そして明空は練習をしに港町の外に出て練習を始めた。……その間に話し合いで幾つかの案が出たが、俺は俺で貧乏くじを引かされる案が場合によっては来てしまう様であれではあるが、そうは言って居られないか。他の準備を済ましておこうか。そして船を数隻借りて、其処に赴く事にした。まず、水中地雷を大量に起爆させていきラティメリアへ挑発する。……来た。凪だった海にいきなり荒波が発生し始める。海岸で見る波とは違い、規則性が無く、ひたすら此方に荒波が向かって来る。空中に船が投げ出されてはウォータージェットでなんとか海面へ押さえつけていく。水中でも海上でも空中でも陸地でも機動力を提示可能で、しかも静音性も高い。但し現象のエネルギー変換効率が低く、それを補うために一定以上の水力噴射をやれる物がセットで有る事が推奨される。だが、それさえクリアしてしまえばかなり便利な物だと言えるだろう。ラティメリアの位置の割り出し迄一先ずは耐えねば成らない訳だけどね。大して大きく移動しなかった結果一隻の船がいきなり半分程潰れた。マジで重力干渉してきてるよこれは。だが船は即座に修復された。修復系の能力を持つ奴が直した様だが確かあれは直す為には相応の素材を必要とする。つまり、修復の為の加工をスキップし即座に終了させる能力で、直したい部分を跡形もなく消し去られたら必要な素材を集めるか同量投入しなければ直せない訳だ。まあ、明らかに後方支援用的な能力で、ゲーム脳的な能力では有るが、打撃や潰す系の能力に対しては船が壊れ切らない根拠には成るはずだ。やけに専門的な能力だな?って?そりゃあそれ用に用意する時間が有った訳だし、そう言うのが有ったって別に良いだろう。まあ、後出しじゃんけん有りの所で種明ししたら、なら攻撃の種類を変えれば良いで終わる話だが、今迄の相手の手札にそれは無かったので問題は無い。まあたぶんこれがあったから大丈夫だったのだろう。能力のみが勝因なら、今回のラティメリアが誰かの手で管理下のままなら追加で対策として全く別の新手を打てる余地が有る。つまり、そうでないなら根本的な意味で追加の手札なんて無い。だから手札を増やしていけばいずれ勝てる。対策の対策を撃つのに能力その物を増やせる奴でも無ければそいつの所有能力全てに勝てればそれで終わりなのだしね。と、余裕をこいていたら、辺りの海水が一気にどかされ、海底へ向けて船を重力加速付きで叩き付けられそうに成るが、重力干渉をこちらも行い、勢いを軽減し、海水の中にアクアジェットで無理矢理入り、其処から海面へと浮上する。重力で船が押しつぶされそうに成るが修復能力で逐次修復されていく。一瞬で終わる修復を時間が掛かる様に敢えてする事で、継続的ダメージを継続して修復している訳だ。能力の出力を敢えて劣化させる事で、むしろ有能能力になって居る。こんなの有るのかよ……海面に上がるが、海面が下がっていく。嫌な予感しかしない。辺りの海水の量が減り始めた。流石に天丼はしないだろうが?其処で海鳴が水膜を作りながら、警戒を促す。どうやら水中地雷の特大サイズの物を創って居る様だ。ははは、威力ゴリ押し方面で来たかー。それは一つ二つ何てレベルではない。皆が防備を固めながら妨害をして行く。……が俺には無理だろう。明らかに水の制御で上を行かれて居るので、此処で水を使い攻撃をしたら、水を供給して相手の準備が加速する未来しか想像出来ない。遠隔操作の習得を後回しにしていた事が裏目に出てしまった。本来であれば此処は水の制御を遠隔の水の制御で妨害出来る場面だったのだから。笑えないな。皆が近場のそれらに攻撃を加えて行き、少しでも多くの水圧縮爆弾を育ち切る前に潰して行く。自分はそれに参加するよりも防備を固める側をする事にする。制御力で負けている以上は焼け石に水であろうが、やらないよりかはマシなはずだしね。生成するのを途中で邪魔したとしても、途中まで圧縮されたそれが開放されてしまう。相手の術式の強制終了も、要は威力増強を途中で終わらせる程度の結果にしか成らない。何故なら輪ゴムを伸ばす力や、パチンコや弓を引き絞る力を限界までする前に消すような物で、威力補助は消せるかもだから、結果して十全な威力は出せなくとも、ある程度の威力は発揮されてしまうのだ。さて、練習をすればそれを俺もできるかもしれないが、今はそれよりも、其処で音響弾が上空へと撃たれる。攻撃手段ではなく、これは見付けた事を知らせる合図。大技を使って来たのだから、探しやすくも成る訳だ。何故ならエネルギーが大きく動くエリアが出来るのだからな。海上に引きずり出せ、無い?何やっている?役目だろ?……空間シャッフルをやる力に対して、多大な重力干渉をされて妨害をされている?なら俺と海鳴を其処に転送して、妨害の妨害をして来い?いやそもそも制御力で負けているから無理、……重力干渉兵装大量にぶちかましてこい?それならやれます。どちらにせよやらなきゃ逃げられるしね。そして支部長の転送能力で近場に転送されて兵装を大量にぶちかまし、水上へと引き上げる事に成功したのだった。……さて、此処からだよ。俺も海上に転送されたのだが、見た目はラティメリアをベースにした、三十数メートルクラスの魚竜かね?攻撃を加えようとするが、攻撃が途中で失速する?重力干渉でそれっぽいのは、斥力とか、別地点に向けての重力加算で此方の攻撃を引っ張るとか?……後者で無いと最悪の場合攻撃を通す為には毎回のある程度の重力干渉が必要に成りかね無いのだが?流石に攻撃をする度に重力干渉してそれを崩して……なんてやれるほどはほぼ間違いなく無いし、有るとしても目的にそぐわなくなる。は?意図的に丸吞みされて食われて、体内から攻撃をしろ?海鳴なら出来そうでは有るが、流石にそれは自殺行為なので無理です。水の制御で負けている関係上体内に入れた所で簡単にやられます。……さて、重力装甲か……それの攻略法自体は既存の手札に既に有るのだ。まあ、それをやると戦略的目標が未達成に成る訳だが。はぁ。兵装が無駄に成りかねないが重力系の能力持ちを召喚システムで召喚しなければ成らない様だ。足りない手札を増やすのが出来るのが勝因とは、既存の手札では勝てなかったと言って居る形にも成りかねないが、今回の場合、攻略法自体は既に有るのだから勘弁して欲しい。座標攻撃をやれ?空間干渉に対抗出来るから先に俺が深海に行き、妨害の妨害をした訳で、望み薄と思われますしね。

「能力を奪えれば良いのにね」

「前提となる仕組み次第だろ。エネルギーを奪えば全部能力ゲットは能力その物全てがエネルギーのみで成立している必要が有るし、そうじゃなくて身体に専用に器官があっても奪い、そして相手の器官を潰すとか、要は器官移植をしている訳で、普通に問題起きそうだが。ってか、器官強制移植をもし仮に出来るなら、そもそも奪うまでもなく殺す用途には充分過ぎないか?」

「……それをやれるなら、そもそもそれをやる意味が……ですか……」

「さて、召喚する前に重力装甲の仕組みを暴かないとだ。で無いと召喚した奴の物が通用しなかったらアレ過ぎるしね」

 そして攻撃の加勢に他の人が入り俺は防壁を作りながらそれの観察に撤する。重力装甲については見る限りは、

一、空間の重力を普通に増加させ、攻撃を逸らし、海面側に抑え付け誤爆させる。

二、空中に重力の基点を別に設置し、攻撃に重力を加えて攻撃の推進力を潰す。

三、空間上のエネルギーに重力を加えて、座標攻撃等の点攻撃を発生させる為のエネルギーをそもそも自分に近づくのを潰す。

 要は屈折能力と、斥力能力を重力制御能力で発生させて居る訳だ。幾つもの能力を一つの能力でやれていると聞くと凄いが、それは逆に言えば重力さえ如何にかしてしまえば、今回の場合は三つの能力が潰れる訳では有るが、制御力的には海割りなんて真似をしている相手な訳なのだから、真正面からゴリ押しで突破は難しい。いや、出来る奴には出来るかも知れないが、どちらにせよ水の制御力で負けている以上は攻撃面ではやれる事はそんなに無いのだけどね。

 さて、要は重力を潰す能力が有れば良いのだが、揺れる海上で召喚なんて邪魔されるのは目に見えて居て、だから陸上に一度転送して貰ってから召喚する。これは良いとして、海割りなんて出来るレベルのそれを潰す程の奴を引けるか?……いや、ラティメリアをベースにした魚竜が召喚システムの作成者の敵対者扱いに成って居るなら、ヤベー奴が召喚される可能性は高いか?それはシステム作成者側に取ってもメリットに成るのだから……。よし。此処は召喚する価値は有るね。アイディアを煮詰めなければ……。一先ず離脱するか?それとも内容を見た上でガンメタ仕様にするか?……明らかにヤベー奴が召喚されるタイミングで一回きりしか使えない奴を召喚?有り得ないな。なら何が良い?……一度離脱して調べよう。そして転送して貰い、調べる。……よし。重力が発生するのは空間上に一定の重さが加えられた時に。では空間シャッフルがあれだけぶっ壊れなのは、空間を切り離す為に相当なエネルギーを発生させる様にしていたから。でもそれは運ぶのには過剰だった結果、その過剰分が効果範囲拡大に作用して、あの範囲を実現した……と。つまり、空間その物全てを調整する力が有れば良いはずだ。それで空間歪曲だってやれるはず。……召喚システムを使う前に書く内容を整理しよう。

 例えば片方だけ幾らでも後出しして良くて、それに対する相手の追加の応手は一切考慮しないなら議論的には最早机上の空論でしか無い。それを考慮しないと只々単に俺の勝ちと言いたいだけ的な構図に成る。それでは最早無根拠と大して変わらない。それが有りならどんな能力が出てこようが普通に勝てるよ。要は将棋で片方だけ駒をずっと動かせる様な物だし。今回は恐らくはその追加の応手を出せ無いはぐれ個体が相手なのですけどね。今回で必要な物で、今回限りに成らない補正は……あった。ゲーム脳的に地形ボーナスを得られるようにして、海関連の場所で高い結果を出せるようにする事。それなら今回限りには成らないはずだ……。問題なのが補正値上限とか有るとあれに成るが仕方ないか。ええと、例えば通常の補正値を全て百扱いにして、海や空間系の奴以外の補正値を二十下げ、海や空間に対して他を下げた分だけ上乗せする。項目を細分化すれば、それだけ必要な物に載せられる補正値も上がる。十二項目でも作れば海と空間に対しての威力は二百パーセントに成るが、項目を細分化すればするほど、一気に強制的に移動させる奴や、天候等の環境を変える奴に対しては厳しい。独自の状況にされてもアレだから、書かなかった奴の場合は一律に百扱いで良いか。空間調整でゲートを開いて移動可能にして、後天候も項目に入れるなら天候の変更も積んで置きたい。そして考えを纏めて、召喚システムを起動する事にした。後から考えてみれば、召喚補助をしてくれる奴が居ない状況での召喚なので、割と分の悪い賭けだった訳だが、焦りからそんな事は頭に無かったのだった。そして召喚を行い、召喚エフェクトが発生する。一度空間が砕かれまた生成され、彼女は其処に居た。

「私はアルコーン・リノベート。偽の神の名前を付けられた者です。微力ながら協力させて頂きます」

「いや、そうだとしても、それは神格が低い神の総称だろ?リノベートだって、えっと、俺が召喚した理由としては合致しているし、そこまで自分を卑下しなくとも……」

「では私に何をして欲しいのですか?」

「仲間が魚竜と戦っている途中でね。君の空間調整の力を使ってそいつの重力の力を潰して欲しい訳だ。と言うか、低次のだろうが、神の召喚が出来た事が驚きだよ」

「恐らくは特殊なエネルギーを使用して居たのが理由では無いですか?」

「……やらかしたーぁーまだそれは検証の途中なのにぃー」

「あんたなんか要らないと言いたいのですか?」

「あ、いや、そう言う訳じゃない。でも、待遇的に少しアレな事に成ると思う。求めている事としては、重力干渉で、要はコストの削減と言う名目に成るからね。でも、前提と成る能力を別の物にしてあるから、別の使い道を提示出来れば良いはずだ」

「要は急場凌ぎの増員役ですか。……でも、仕組みを変えたのは感謝します。同じ仕組みのみでは軋轢が起きるのが分かり易く予想できますしね。では場所は何処に行けば良いでしょうか?直ぐに行きましょう」

「解った。と言いたい所だが、戦闘場所は海上でね。まず地図の此処に有る港に行けるか?」

「解りました。ではゲートを開きます」

 そしてゲートをくぐり、まず港に戻った。……システム作成者側から干渉が無い。干渉するにもラティメリアを倒した後か。港が荒れている。此処で戦闘が有ったのか?魚なら陸揚げしようとしたのだろうか?それが成功したのなら此方にも連絡が有るはずだが?

「あんた魚竜はまだ倒せてないはずじゃ?此処で何している?」

「戦力が足りないので召喚しに来ていました。今何処だか解ります?流石に向こうの状況も分からずに連絡するのも躊躇われまして」

「なら今戦っているのは此処を西にある程度行った所の灯台付近なはず。重力で自分を引っ張り空中機動とは反則染みておるな」

「それで復帰された訳か。分かりました。そちらに向かいます。それでは失礼いたします」

「重力が多大に発生している場所は解るか?」

「分かりますが、行くのは誰がそれをやって居るか把握した後の方が良いと思います」

「解った。まだ味方との顔合わせもしてないしね。じゃあ近場に行こうか」

 そして灯台付近にゲートをくぐり移動する。地形が地図で見たのと変わっている。岩が、テトラポットが、舗装に使われていたコンクリートの塊がある程度は直線的にでは有るが空を舞い、それを様々な攻撃で対処しているが、陸揚げさせれば勝ちと思い、陸上近くに移動させた結果、むしろラティメリアが重力制御能力で制御する物が増えてしまった様だ。其処に通信機器から連絡が入る。

『隣の美人が件のか。なら、此方は一分後に一時的に重力干渉を止めるから、存分に力を発揮してくれ。聞かれているとアレだからこう言う。奴は膨らんだ風船だ。頼んだぞ』

 そして通信が切れる。膨らんだ風船。つまり、穴をあけると空気が漏れ出す?なら。

「あの魚竜の身体の一部分だけに対してだけ重力装甲を崩して欲しい。出来るか?」

「お任せあれ。では行きますよ」

 そしてラティメリアの一部分だけに対して空間調整を彼女は行う。ラティメリアは身体の周りに重力を大量に展開し身体に負荷を与えさせている。それのバランス崩壊を起こさせて、自壊させようと言う訳だが、一部に裂傷を与える程度に収まった。要は外骨格なのだろうか?これは一度しか出来ない訳ではない。更にこれを防ぎたいなら重力装甲をこの攻撃の対処以外に使っては駄目だ。何故なら重力装甲のバランス崩壊がこれの前提に成るからだ。なら攻撃を重力装甲でガードするのは隙になり兼ねない。ふう。最低限重力装甲を使えない状況には成ったかな。これでも使って来るならそれはそれで良い状況だ。

「奴は此方に攻撃に来ます。此方を倒せばまた使えますからね」

「解った。気を引き締めて行こうか」

 壊し方の手法はともかくとして、要は相手が操っている前提に此方も介入しただけだ。同じ物を制御する能力なら対抗可能と言うだけのつまらない回答ではある。まあ、総力として拮抗する必要の無い攻略法が有ると言うのはアレでは有る。テトラポットを大量に飛ばして来るが、「空間調整:干渉難度低下」その言葉と共にテトラポットが空間にトランポリンが有るかのように跳ね返って行く。……ええと、空間側にテトラポットが当たる様にして、空間が元に戻る力を元に跳ね返した。……だったか?空間がトランポリンの様な役目をするのか?とは思うが、此処は一先ず壁にボールを投げたら跳ね返る的に空間を壊そうとした反動が来ただけと言う解釈にしておこうかな。

「掴まって。移動するよ」

「お、おう。て、おいおい!空を走るのか」

「跳ね返すだけが能力じゃあない物。じゃあ行くよ」

空を駆け足で移動する事に成った。空を不自由無く自由に走れ過ぎて靴自体が足場に成り、飛んでいるのかと言いたくなる。理屈は違うが神話のロキの空飛ぶ靴みたいな感じだ。

「空を走れるのは良いとして、なんでまた?」

「ゼロ距離はこれじゃ防げないよ。あくまで間にある壊せない別の物にぶつけただけだし」

「ああ、そう言うね。なら硬度を上げていこう。火力を上げれば突破可能って事なのだし」

 そして空間が更に調整される。……ラティメリアの動きがだいぶ鈍化した。当然だと言えば、当然だとも思う。今は周りの空間全てに障害物を設置された様な物で、空間に対しての重力に依る干渉でなんとか動いている感じなのだろうしね。あくまで動きを封じただけで、重力に依る攻撃は普通に行って来る。あくまで行動その物全てを封じた訳ではないので、此方からの攻撃もそれを仕組んだ彼女以外が通せる様にやると、ラティメリア側からの攻撃も通る様に成るからアレなのだが。

「取り敢えずこの状態で時間を稼げるか?流石に深海に元は居た以上、肺呼吸は出来ないはずだから、このまま時間を稼げば酸欠でやれると思うし」

「やってはみるけど、今も少しずつは動かれているし、このままだと多分海に戻られるよ?」

「砂漠か何かの水呼吸が無理ゲーな場所に転送して、其処で足止めしよう。出来るよね?」

「解った。なら魚竜の転送をする前に他の皆も転送しなきゃ」

「それは此方に適役が居るから、大丈夫だ」

「でも肺呼吸が出来ないとしても余裕が有るって事じゃないとそもそも空での戦闘なんてしないと思うよ?後、水も制御出来るなら水の生成も出来るかも」

「……一先ず試してみよう。話はそれからだ」

「それよりも、こうするね」

 彼女は自分で色々な物を特定の場所に飛ばして、空間を引っ張り、解き放つ。つまりはパチンコか。重力波である程度潰されるが、撃ち漏らしが出て当たって来ている。まあ、本来ならば重力装甲が防いでいたのだから、重力波は熟練度合いが低いのかも知れない。さて、これならダメージを蓄積させて行けれそうだが、時間切れか。其処に国が介入して来た。これだけやれば流石に来るのは解るのだが、このタイミングで来るのは戦果を自分達も協力して得ましたと言うハイエナ行為である。まあ、港町の人に船を借りたのは確かな為、それの全否定は難しいし、最初に想定していたのよりも明らかに強かったので、此処で協力していますよと言い張るなら、面倒な後処理をぶん投げられるかも知れない。事前に話していた事だが、死体は残る形での勝利が望ましい。主に死体を精査して、それを元に召喚すれば今回の奴と同種の奴の召喚が可能になる可能性が有るからだ。ネクロマンサー的な感じだ?いや、そもそもあの翼竜のアンデッドは、要はスカイボーンズアンデッドとか言うらしいのだが、ああいうのがセーフな以上は問題無いはずだ。仮に彼らがラティメリアを作り出した側だとしても、彼らはラティメリア側には協力はしない。何故なら此処でそうしたらラティメリアを作った主犯側扱いにされかねないからだ。もし本当はそうだとしても、協力をしない事で、適当な個人をスケープゴートに今ならまだ出来るのを、此処でラティメリアに協力すると、国がやった事に成ってしまう。だから、倒す事自体は邪魔されるのは無いと言える。まあ、召喚レシピが残っているなら、最悪の場合はまた召喚すれば良いだけだからな。だから、敵対者の場合は死体を抹消する為に介入しているはず。此方に死体をされるのを防げれば此方が似たのを召喚するのを防げるのだしね。なので、そうしない様に釘を刺さねば成らない訳だが、っておい!ラティメリアが消えていく。そんな馬鹿な。そもそも転移が使えるなら使えるタイミングが何回かあったろうが!増員されたから撤退された?いや、そんな馬鹿な。召喚した奴に今の状況でそれをするメリットなんて有るはずが無いはずだ。まさか別の奴の介入か?あ、召喚システム作成者側が回収した奴か、これ。くそが。状況はかなり不味い。追跡も失敗した。此方としては介入をして来た国が怪しいと思うのは当然だが、彼方側からすれば此方を八百長扱いにしてきそうだ。何せ此方の力の説明なんて詳細は言えないからな。さて、どうしたものか……。

 状況について整理しよう。問題なのは、此方がある程度の陸地を滅茶苦茶にした原因を結果的に呼んだ事と、国が介入をして来て直ぐにラティメリアが消失した事。戦闘を此方の茶番と定義する場合、ラティメリアは此方が召喚した奴と言う事に成る。そしてラティメリアの出した損害を請求される……と。次に国がラティメリアを回収したと主張する場合、その消えたラティメリアを見付け無ければ話に成らない。恐らくはこれだと思うが、召喚システム作成者が持って行ったパターンは前提に有る地脈の事を話す必要が有る。で無ければ、死んだ奴に責任を擦り付ける的な感じの行為に見える。さて、どうしたものか。

「これは汝らの起こした事か?修繕費を出してもらおうか?」

「ラティメリア、ああ、さっきの奴の仮称ですが、それと我々は無関係です。今回の戦闘だって町の人に依頼されたからで、自分から進んでそれを始めた訳ではないです。此方としてはあなた方が来た途端に奴が消えたので、あなた方が避難させたのでは?と、疑問視したい所です」

「証拠は何処に有る?我が国を侮辱するか?」

「では第三者国に真偽判定系の能力持ちでも用意して貰い、判断を仰ぎましょうか」

「……解った。ではその様にしよう」

「一先ず永世中立国にでも依頼しましょうか、其処なら賄賂とかは難しいはずでしょう?」

「なら追加だ。真偽判定をした奴の発言を更に此方で真偽判定させて貰う」

「真偽判定をした奴が噓を言わない訳では無い、と?では道具か何かで、一時的に真偽判定をする奴に制限を付与した上でやりましょう。当然その道具の効果を検証した上で」

「それなら文句はない。交渉中は暫く件の港に移動して其処にて暫く待機で宜しいか?」

「交渉には此方も立ち会います。交渉に何週間も掛けて実質の軟禁をされてもアレですし」

「ではそのように。では何人か着いてきたまえ」

「解りました」

 支部長流石だな。しかし、誰かの作為が有るならまだ良いが、例えばラティメリアは表面化してないだけでかなりのダメージを受けていて倒れた時、偶然国側が介入をして来た所だった。場合は今回の件の今からの流れは無駄骨なので、そのパターンだけは勘弁して貰いたい。第三者の介入説を無しにしたらそれが一番誰も悪くなく、無難なのだけどね。

 結論を言えば、国に伺いを立てて、今回の交渉で解った事、それは召喚システムに使われるエネルギーはあくまで人の生成物、で、有るならば、肥料に使われる人糞で育てられた植物は?人を食らった肉食動物は?答えとして、それらは一定量を摂種すると、いわゆる生物としての進化が発生する。一般的には伏せるべきで有る情報だ。それはカニバリズムをやるのを推奨する流れに成りかねないのだから。この情報は疑いを掛けた詫びらしいが、これは未開地で昔ながらの農業やっている奴がやばく無いか?と言う話で、でも、公開するのも躊躇われる情報と言えることも確かだった。此方は此方でラティメリアとの戦闘内容をある程度開示する羽目に成ったけど、これならお釣りは出ただろう。まあ、犯人側じゃないですよと言うためには自分達側で今回のラティメリアを真似たのを召喚しない方が無難な形に成ったが。これは、何かが原因で沈没した船に乗っていた犠牲者を魚が大量に食らった。と言う事だろうか?なら似たのがまだある程度は居るのでは?ラティメリアに沈められた船はそれなりに有るらしいのだしね。カニバリズムか、そう言う文化が有る事は知って居るが、考えても見て欲しい。その強化を法律的に合法的にするには他人の糞尿や爪や髪の毛や垢等を食べるか、死刑執行された後の罪人の死体を食うかぐらいだろう。一部の特殊性癖持ち以外の人間には厳しいと言わざるを得ない。そうできる理由的に死体を元にしない栄養価だけ似せたサプリメントを飲めば解決と成るはずもないからだ。それなら普通に食料を食べるだけで事足りるし、しかも少量では意味が無い上に意味合い的に自分の物を食うのも意味はない。特殊性癖持ちしか得しない仕様とか作って来るなよとは思うが、もしこれが駄目なら他人のエネルギーを吸収する系も潰れるのだ。その手法の一例の手段がカニバリズムだっただけなのだ。ソープ行って精液飲みまくれ?リットル単位で精液を飲めと?糞尿や死体を大量に食うよりかはましなはずだけど、それはそれで苦行な気がする。でも娼婦とかはクリア可能な条件では有るのか。なんだかなぁ。あ、血液を料理に使って食べる文化が有る所があったのだった。確か、食材が手に入りにくい環境の状況で、食材を余すところなく全て食べ尽す為に産まれた文化だった気がする。輸血するのが有効なら楽、でもないか。輸血の血を入れるスペースも必要だし、血液にそう言うのが含まれているなら意図的に出血してやっても意味がないだろうしね。吸血鬼なら楽な気もするが、既にそれは今の俺には無理なのだよな。別の魔法生物に既に成って居る的な意味で。まあ、それについてなら良いや。それはそれで別の手法を見つければ良いだけだし。しかし、ラティメリアは重力装甲を展開する関係上過剰な重力に長時間さらされて居た。具体的な程度が分からないと何とも言えないが、仮に海割り出来る重力に耐えられる肉体が有るならば、それ相応の耐久性は有ったはず。重力装甲のバランスを崩したのに大した怪我に成らない時点で外骨格だとしても相当な物は有るだろう。重力装甲をそんなに崩せなかっただけだろとか言うなら、明記データ以外は曲解するか無視しろと言う事だろうかね?まあ海割りを基準にするなら、それの原理次第の話では有るが、火力の水掛け論は主旨が違うし、不毛なので論外で。今回の場合は相手が総力的には格上の場合でも通用する内容の話なのだし。あ、蚊とかヤバイのでは?確か血を吸うよね?嫌な予感がする。

「すみません。さっきの話って蚊とかやばくないですか?血を吸いますよね?蚊とかが大きくなったとか、そんな話ありました?」

「それがあったか。先の話に出なかったのは気候が違うか何かって事か?聞いた覚えは無い。だが今の段階ではまだ相当な量を摂種したパターンは否定できないな。条件は一律一定量摂種か、それとも身体の体重やサイズ依存か。それとも生物ごとに違うのか。出来れば体重やサイズ依存で変わって欲しい。そうすれば大型化すればするほど進化や成長しにくく成るからな。要はシステム産では無い巨大怪獣が強くなるのは難しいシステムになる。……が、それだと摂種が必要なのは自分の体重やサイズの何倍の量に成るだろうか?」

「うーん。難しいですね。仮にエネルギーを毒と定義する場合、致死量迄飲まないと、そもそも死なない=進化や強化が発生しないと言うならそれっぽいですけど、毒にも種類がありますよね。要は強力な毒を得られれば良いのですし」

「食う事で経験値の獲得が起きるゲームか何かだろうか?」

「イメージ的にはそれです。問題はその食う物が人間か、又はその分泌物と言う事ですが」

「ゲーム脳的には、同じ奴を大量に食べても意味はほぼ無さそうだな。食う事で自分を変化させるのに延々と同じ奴ばかり食っても色々なのを食うより大きな変化は無いだろうし」

「もっとも、これは動物側の仕組みです。人間側に適用されるかはまだ検証しないとですが、こんなのは、効果が有ると解った後ならともかく、それより前はそれこそ特殊性癖持ちじゃないとやりたがりませんよ」

「吸収する系も似たような物だろうが、犯罪者に実験させるのも成功したらアレだしな」

「一先ずは帰りましょう。彼方がやばいことになって無いとも限りませんから」

「そうだな。帰ろうか。休む暇はそんなに無さそうだけどさ」

「自分達だけで全て対処する訳ではないですから、大丈夫では?」

「結界生成とか安全エリア作成の能力が前提として無いとヤバイだろこれ」

「全員が持つ必要は無いですし、進化や強化で根本的な意味で変化が起きるのでも無ければ、蚊は蚊です。蚊取り線香焚いとくだけでもまだ今の段階では十分効果は有るのでは?」

「問題はラティメリアの進化や強化がどの程度でああ成ったか、だ。二桁前半であれならシャレに成らないからな」

「流石にそう簡単には似た強さの奴が出て欲しくない的な意味で食った人数は最低限三桁くらい必要であって欲しいですが、その場合はそれだけ犠牲者が出た事に成るのですよね。一応は召喚システムが始まる前にはそう言うのが無かったのですから、召喚システム依存の強さであるはずですが……」

「つまり、一定以上の進化や強化をそれでした場合、身体が召喚システム依存の存在に成る?システム上の扱いが召喚システムで召喚された奴と同じって事か?不味く無いか?」

「不味いですね。俺も一応魔法生物ですし。まあ元ネタからはだいぶ乖離していますが」

「それは別にしても、前提と成るのは召喚システムに使うエネルギーで、自然産の奴らが徒党を組む展開とか無いのか?」

「国は其処迄無能じゃないですよ。仮にアレのレベルの奴を造るのに百人必要なら、十体も用意出来たら前提として千人の犠牲者が出ます。しかもそれが全てじゃない。完全隠蔽が前提条件ですからね、それは。じゃないと害獣駆除の一環で露呈しかねないし、しかも隠すのは自分達のだけで良い訳じゃないです。全て隠し通せるはずもないし、無能が足を引っ張る例はもう知っていますよね?最近それが有ったばかりだし」

「そうだな。そうなるよな。一部ならともかく、全部の独占は無理だろう。只の植物が強く成るパターンで定点から動けないのはあれだよな」

「ええと、歩く木が有った様な、調べますのでちょいと待って、よし、有る。ガジュマルと言う木を強化や進化させれば定点固定で無い奴も可能だと思いますよ。他のもの要はそれの移動のメカニズムを高速でやれる様にすれば良いだけですし」

「確かにそれならやれるな。問題は気候的な意味で近場にはそれが分布して無い事だが」

「それはそうなのですけど、要はそれの機構を組み込めば良いだけですし」

「ある程度の湧き潰しが可能と言うだけで、今回の場合みたく例外も発生するはずだが」

「それは言っても仕方ない部類ですよ。まあ、何回強化や進化すればそう言うのに耐性を持つかは知りたいですね。Gなんて専用の殺虫剤に耐性持つ奴も召喚システムに関係無く出ていたらしくて新しいタイプの物がたまに作られているそうですし」

「検証は誰がするよ?確認のために作り、手なずけられたとしても、元は蚊だからな?誰得?そう言う性癖は流石に無いぞ」

「ですよねー。なら肉食可能なペットで試しますか?」

「殺処分予定の野良犬とかでも保健所に回して貰えば確かに問題無くやれなくは無いが、よし。試してみるか。だが、先に国に許可を取るぞ」

「それが無難ですね。成功したらアドバンテージに成る内容なのですから惜しいですけど」

「本当なら薬品の臨床実験的な意味で、マウスとかで試すべきなのだろう物を、それをやらずに一足飛びに犬で試そうと言う話だからな、許可取らずに露呈したらヤバイし」

「確かにそうですね。成功した例の奴が出た時に誰がそのネズミとか、蚊とかを管理するのか?で、嫌だからと言う話ですし」

「ネズミはネズミでもハムスターとかなら需要は有るのだろうが、な」

そして連絡手段を確保した後に船を返して、転送で帰った。さて、そして交渉した結果、完成品を国側が管理しても良いので、蚊等の人間の血を吸う生物に対しての臨床実験が行われる事に成った。そして即座に結果が出る類いの物では無い以上、暫くは実質上の休暇に成る事に成った。完成品の横領と考えたら怒るべきなのだろうが、じゃあそれが自分達に要るのかと言われたらアレで有るのも確かだった。まあ、それでラティメリアと戦った事のお咎めがナシに成るならなら安い物だと思う。要らない物を渡したら得をした様な物なのだから。さて、一日休んだら検証の見学でもしに行くとしようか。


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