第4話不運な犯罪者達との抗争


 スマホにガチの連絡が来る。

『休みの日にすまない。偽装通貨や偽装金属製造の拠点を見付けた。来てくれるか?』

「……何でも造れるのをわざわざ偽装の通貨や偽装金属創るのに使うのですか?」

『単純に能力に持続時間限界が有った様で、それが限界に成った結果、露見した様だ』

恐らく前提の設定時に能力の有効期限を決めてなかった為、それがテキトウな所で切れてしまい、露見した。……と。……これは相手側のミスだが、……初期段階だからこそ起きる事ではある。……これじゃ貴金属創って業者に売っても詐欺扱いに最終的にはされる事に成るか。……貴金属創って売ろうとしなくて良かったな……。

「流石に馬鹿過ぎませんか?」

『実際それらの偽装が一件でも発覚したなら皆総検査するから、偽装の奴はそれまでは九割以上は本物扱いだったよ』

「素人がそれに手を出すから上手くやっていた奴等も道連れでギルディ、不憫な。でも、偽装とは言っても、魔法産なだけで、列記とした貴金属なパターンはどうなったのですか?」

『魔法産はそれを出す為の魔法を潰すと消える場合も有る。物質変換はそのままの様だが』

物質変換は問題無し?確か、炭素とダイヤモンドの素材は殆ど一緒だったよな?なら人工ダイヤモンドなら数を用意するのは余裕では?キタコレ。

「ひとまず其方の加勢に行きますね。場所を教えてください」

『了解。ひとまずの合流場所は、メールで地図を送るからそれを見てくれ』

「解りました。それでは直ぐ行きますので、失礼します」

そして通話を切り、メールを受け取り、地図を確認する。さて、行くとするか。

「あ、そうだった。名前をまだ聞いてなかったな」

「レイシー・カラーズ・スプリクト。意味は役割の色彩が書かれたものよ」

「レイシーか。宜しく。……所で、ホーミングはやろうとすれば出来るか?例えば一度使って変化させた奴に矢継ぎ早に更に進化アイテムを草木に接種させたらさ」

「一カ所に留まって戦うならともかく、逃走中にそれは無理かと思うのですが。後、それはホーミングとは言いませんよ。追加で攻撃を発生させているだけですから」

「……ああ、条件的に無理だった訳ね。ん?竹林何て如何だろう?竹の根って相当広い場所に広がるから、拠点防衛の時には下から不意打ち竹槍を突き上げるくらいは出来そうだ」

「まあ、それは炎系等、効かない相手も居るでしょうが、手段としては有りですね。覚えて置きます。出来るのは植物に限る話ではありませんから」

「じゃあ行って来る。さて、転移をしよう。……よし、少し離れた場所に……」

 そして目的地の近くに転移した。

「転移は真面目に便利だ。戦闘に使うにはまだ仕様把握がまだだから今回は使わないけど」

「先輩。行きますよ」

「おう。現場に行くとするか」

 だが、どれだけ移動しても目的地に着かない。後、電波も通じない。別にスマホが壊れた訳では無い。海鳴に家の電話に掛けたのを出て貰ったから、恐らく目的地付近に行く事のみが邪魔されている。転移を試すか。地形を無視し、地図の通りに目的地へと転移した。少しだけ上空へと転移する事で、事故を避けたが、よし。成功。地図情報はそのままだ。

「おう。来たか。逃げるは簡単進むは難しい場所に成っているが、転移か。考えたな」

「ああ、すみません。遅く成りました」

「いや、連絡してからの時間を考えると十分速いよ。まあ、良い。情報を伝える恐らく、敵は■■■■だ。認識阻害、認識ずらし、指定妨害、追跡潰し等々、とにかく、攻撃を当てよう、そいつへ辿り着こうとする事自体を潰す能力を持っている。……まあ、転移で来られた辺り、能力に穴も有るようでは有るが」

「厄介ですね。地図情報はそのままでしたので、認識上にのみ作用する障壁なはずです」

「……兵器で辺り一面焦土にする気でも無きゃ、攻撃が命中は無理じゃないか?だがそもそもそう言う攻撃自体が出来るかどうか?」

「無茶苦茶ですね……ではどう攻略しましょうか?」

「恐らく、と、前置きするが、何も今回の敵は籠城するためにこれをやっている訳じゃない。だから、地形的効果では無く、本人の力なら力の圏内に居れば、其所に辿り着けないだけで、近くには居るはず。効果範囲を人海戦術で範囲を割り出す事が出来る可能性が有るし、逃げるのに、ずっと広範囲に力を起動しっぱなしって訳にも行かないだろう。だから、人海戦術で包囲を長時間隙間無くやり続ければ、力の発動時間限界が来て、或いは」

「……それの問題点を挙げると、そもそも効果範囲の中心に今回の奴が居るかが解らないですし、包囲し続けるにも、効果範囲全体を包囲するのは効果範囲が仮に解ったとしても、大変です。後、近くに来たからと、認識自体が出来ない恐れが有るので、本当に隙間無く包囲網を敷かないと、普通に突破されますよね?」

「……そう言うのを認識するための能力創るか?なんか専門メタ過ぎるからアレだが」

「……それを包囲網の全員にやらせなければ意味は無いと思いますが……」

「なら、何処かのタイミングで能力を切る可能性に賭けよう。そのタイミングで総攻撃を」

「街の中じゃ無ければその手段も可能だったかも知れないですが、そもそも居るか居ないか解らない所に攻撃を撃つ形に成りますよね?それで仕留められなかったら街を自分側から壊した事に成るので、損害賠償誰持ちに成りますかね?俺は嫌だからやりませんからね」

「流石に無理か。敵もミスした側の奴じゃ無くて何処かの馬鹿に足を引っ張られただけの形なのだしね。さて、ひとまず、能力データを収集するぞ。次回以降の際の対処に必要だ」

「いや、ちょっと待ってください。そう言えば、何であんなに能力に詳しかったのですか?」

「そりゃ能力起動する前に何とかある程度肉薄を出来ていたからだよ。……とにもかくにも攻撃が当たらなかった上追跡すら出来ない形で消えたので、先の判断だ」

「多分転移系や移動系を持っている可能性は低いですよね?能力起動されっぱなしですし」

「今は何らかを創っている間の時間稼ぎやっているのか?」

「恐らくは」

「なら”エネルギー側を狙って“攻撃を仕掛けよう」

「解りました。連絡しましょう」

「こっちもやる。さて、時間との勝負か……」

 そして連絡を行っていき、外部の兵器を撃ち込むのを要請する事にするらしい。……攻撃当たらない理屈が解ってない段階では無駄撃ちに成る様な気もするが、新しく召喚された奴側を潰すのならやった方が良いはずだ。そうじゃないと逃げられるからな……あ、

「ちょっと待ってください。一般市民側が対抗で色々使う可能性が有りますよね?」

「……はぁ。外側から内側には届かないが、内側から外側への通信は通じるし、それに限り、内側に通信が通じる。これさ、ならさ、この辺り一帯にアナウンスしようか。それでアナウンスが届かない場所が中心部なはずで、中心部に居るならそれで良い。居ないなら其所が中心部にするための仕掛けが有るはずだから、それを破壊しよう。……速く気付くべきだったな。通信機器の穴が有るだけでこれか……」

「追跡するのは難しく、逃げるなら簡単ってコンセプトは悪くないのですけどね。両方難しくしたら、逃げるつもりでも仕組みを攻略し無きゃ成らなくなりますから……通信機器は潰すべきだったみたいですけど……」

根本が機械的システムだし。完璧に想定し尽くすにも限界が有ると言うだけなのだろう。

「三カ所から放送しよう。こう言う時、有線機器は役に立つ。電子ジャミングが有っても有線自体にはそれをカットするようにしてしまえば良いのだし、そもそも有線コード自体が地中に埋めてあるから、電子的なジャミングなら地面に吸収されるし関係無い。さて、放送開始」

 結果、どうやら三カ所程、アナウンスが通らない場所が有るようだ。……これの要は一つでは無かったって事なのだろう。……さて、其所に行けば何かしらの対応はしてくるはずなので、包囲網は崩さず、ある程度の数が行く事に成った。ぶっちゃければ召喚システムの大元の所有者を本格的に倒すつもりなら、召喚システムから産まれた能力や存在は基本的に頼れないはず。だってそれの根幹握られているしね。……まあつまり、召喚システム保有者が一定量のエネルギーを貯蓄に成功して、原爆や水爆等の科学的な兵器でも倒せないレベルの奴を量産されたら、対抗に能力は機能し無いだろうから、世界その物が詰む可能性が高い。いや、まだ核兵器で倒せる範疇のしか出てないけど、現段階ではエネルギー貯蓄段階だろうから、まだ大丈夫にしても、そう言うのが出て来たら召喚システムをある程度は奪わないと詰む可能性が高い訳だ。本当洒落に成らねーな……。まあ、科学のみで可能な新兵器が開発出来ればワンチャンだけど、希望的観測過ぎるか。あ、とにかく接近さえ出来ればやれるな。

『……先輩。何をするつもりですか?』

『海鳴、レンシーから、【環境適応】の進化アイテム貰いに行ってくれ。それで倒せるかも』

『相手を他の環境に適応出来るようにしても仕方ないわよ?』

『違う。環境適応には退化も含まれるはずだ。海から陸に生存域を変えた生物なんか、ね』

『……つまり、環境適応で、陸上で過ごせなくさせるって事かしら?』

『種明かししてしまえばある程度は対応出来るかもしれんけど、なら、特殊過ぎる環境に対しての環境適応を喰らわせてやれば良い』

『アレだけど、解ったわ。貰ってくるわね。で、何の環境に環境適応させましょうか?』

『深海環境。俺と海鳴ならそれを返されても問題無いだろ?』

『了解。ついでに私も転移の力を貰ってくるわね』

『行ってらっしゃい。後、白菊とリーティアは俺に憑依して。ぶつけ返されたら不味いし』

 まあ、最初から深海環境で戦う場合には別の奴にするし、陸上生物だけど、深海環境にも対応出来る奴には、それのみに特化する形に進化させれば良い。……特化による能力の喪失効果は返されたら不味いので、まだ使わないで置こう。そして環境適応アイテムを貰う。ゲーム的な能力は有りなのに、ゲームの中に登場するアイテムは駄目って話も違うけど、ゲーム的効果の回復アイテムとかも出て来そうだよな。

其所で通信機器に連絡が入る。内容を要約すると、三カ所それぞれに別々にそれらしい奴が居た様だ。敵の性能が盛られすぎだとは思っていたが、どうやら何人かでの合体技的な奴を、全て一人がやっていると此方が誤認していただけだったらしい。つまり今回で逃がしたら本格的に不味いと言うことは解った。逃がしたら今回の攻略方法の対策を積んだ奴を追加してくるかもだし、効果の範囲の分担作業=単体では全ての効果に対応出来ては居ない。逃走や合流さえさせなければ、倒す事は不可能では無いだろうが、そもそも相手側自体は、ミスらしいミスはしていないのだ。逃げられたら次の機会は何時に成るやら。

 さて、結論だけ言おう。三人中、二人は捕らえた、が、一人は逃がした。攻撃がそもそも通らないし、何をしても雲を掴むような有様だった為、そいつには真正面から押し通られたのだ。そして、捕らえた二人の内、捕らえた内の一人は消えた。どうやら、召喚を破棄したか何か。そして残る一人は……。さて、如何してくれようか?

白菊の力を使って魅了耐性を崩した後に、魅了させて仕舞えば色々と自白させる事は可能では有るのだが……。倫理的な意味で大丈夫か?これは……。判断は他に任せるとして、……生物の進化は突然変異に依って行われると言う話が有る。それは大筋間違っては無いと思う……けど、環境適応について、魚が陸上生活可能な突然変異をしたとして、それは突然変異して無い種の奴と結局は子供を創れるレベルの変化で無ければ、突然変異する奴が一定以上の数居なければ成らないはずだ。いわゆるライガー的なのを自然で行えるので無ければ、種が隔絶するほどの違いが有るのに突然変異したと言うなら、突然変異なのにも関わらずそれを一定以上の量の奴がし無ければ成らないはず。……突然変異なのに、か?これを人為的と主張しても面白そうだが、そうで無ければ、突然変異と言うほどの変化が無い奴に代を重ねる毎に変わったって所か?そもそも魚が陸上生活に踏み切ったのは水中の外敵が多く成りすぎて新天地を求めたからって話だったはずだが、そんな悠長で間に合うなら、新天地を求める必要は有ったのか?まあ、それは良いや。因みに音が防がれた理由としては、エコーロケーション(イルカ等の使う、音や超音波等を使った、空間把握技術) を防ぐ為だった様だ。だが音を空間内で完全にシャットアウトしちゃうと、エネルギー感知が出来ない人にも異常だって事が発覚する可能性が高い為、隠密もクソも無く、効果範囲が狭かった訳だ。故にその結果発覚する事に成った訳だが。アレだよね。何人かのパーツを組み合わせての結果の物を攻略するのと、その内の一パーツだけを攻略するのじゃ難易度は全然違う。拡大解釈有りの奴を、無しの奴を倒せたから倒せるとか言ってもアレだ。

 そう言えば水は光を反射する……まあ、基本的には一部だけだが、全反射が発生もする光の入り方も有る。……水の定義を弄れたら全反射行けるか?……あ、それをやるなら視界関連の対策をしないと駄目か。光を全反射が常時にするとか何も見え無いし。……逆に言えば視界零戦闘が出来れば単純な光系は全反射余裕って事か?……転移で空間把握持っているし、鍛錬してみようか……。それは後回しで良いとして、ちょっと色々と考えないとね。考えるのがアレなら研究特化の奴を召喚して、条件縛りで研究させればある程度迄の新兵器くらいは余裕で出来るのでは?どうにか出来そうでは有る希望は有るな。まあ、現実的には戦争で敵の兵器の鹵獲とか物資の略奪とか、作戦としては有りかも知れないからアレだ。そもそも自分で完全に煮詰めてない一定以上かどうかも解らない奴を創るより、他の奴を真似るならば、品質はある程度自分で創るより保証されるからね。戦争何てお偉いさんだけが孤島でやっとけ。……って言うのが実現可能なら良いけど、物資や資源目的の戦争の場合、そうは言ってはられないかも知れない。敵に塩を送る的な事をかなりされていて満足なら、良いのかも知れないが……。まあ、世界その物が詰む様な状況のサバイバル的な状況でも無く、一部の場所だけの話なら、貿易が上手く行っていればやらなくても良いから、こればかりは時と状況と場合に依る話だろうが。しかし、科学のみで可能な物で、異能マシマシな相手に対抗出来そうな物、か。まあ、開発はそう言う人に任せよう。軍用の兵器開発研究とか流石に経験ねーもの。既存兵器の発展兵器の類いを創る場合、前提知識からして此方は不足している。だから、アイディアを出すなら、既存兵器とは別のアプローチの物で発案する形でないと足手纏いに成るのは目に見えているしね。

『……それよりも水を自分の体の様に扱える様に成らなくて良いのかしら?』

『……ふむ。行動の幅が広がるな。良いのじゃ無いか?……あ、白菊……そう言えば色々と有って忘れていたが、前のやりたい事って……』

『今のそれが出来てからの方がやりやすいと思うので、其方からどうぞ』

『……解った。なら、そうする』

そして他の人に捕虜の対応を任せ、鍛錬する事にしたのだった。

『水を自由に操るとは言え、イメージ的には操り人形を操る感じに成るわ。つまり操作が簡単な義手や義足だと考えれば良いわね』

『……なんか違わない?』

『ええ、私の方法とは違うわね。でも貴方の場合、体全体の機能を水でやれるようにしただけだから、体の定義を拡張する方向で行った方が速いのよね。つまり脳に他の水も自分を構成する水だと認識させて仕舞えば良い……のだけど、直ぐにそれは無理だから、先ずはパワードスーツ方式で慣らしましょう』

『認識力の問題か。で、そのハードルを下げる為のパワードスーツ方式、と。よし。やってみようか。水をくれ。早速試す』

『……変態。でも解ったわ。どうぞ』

『……あ、おう。すまん。ありがとう』 

 そして特訓を開始する。装備品を制御する感じに水を操っていく。ふぅ。何とかこれは出来そうだ。まあ、これは何時もとは目的とするものが違うだけで、要は水を制御しているだけだ。……流石にこれぐらいは出来ないと不味い。と、言うか、これが出来ないなら、水の体にされて直ぐにまともに動けてないだろう。その制御を少し別の所にも割ける様にする事がこれのメインの目的に成るのだろう。速くこれの感覚を掴まないと。其所に警報が鳴る。侵入者だ。大方捕虜の奪還が目的なのだろうが、そしたら何故、召喚破棄等をしたのだろうか?まさか、わざと捕らわれた?いやいやまさか、でも、有り得るか。対処に動、其所でブレーカーを落とされたか、電線類を切られたか内部電源に辺りが切り替わる。

「……、……」

 声が届かない。音が潰されている。まあ、そうだわな。皆が自分から出るが出た途端に消えた。は?空間認識能力を使う。別に彼女等は居なくなった訳では無い。“一種の認識阻害に依って他人を認識する事自体が防がれている”洒落に成らん。ひとまず此方を見えなくなった彼女等に対して手を掴み、気付かせ、憑依をやらせて、ひとまずは大丈夫だが。さて、通常とは違う手段での認識能力で周りを認識出来る能力持ち以外、これでは戦力外に成ってしまった。俺側なら対抗自体は出来るが、集団でやっと捕まえた奴らを少数で撃退し無ければ成らない。対抗手段の能力を持って居れば何ら問題は無い状態の話だ。が、特定条件を満たす能力を持っていなければ対処出来ない類いの能力を持って居るかの持ち物検査の突発的強制?ふざけすぎだ。こんなのは。これは対策を持っていたからまだ良い、けども、要は特殊な既存に一切無い様な状態異常を強いてくる奴がこの先も起きる事は明白だ。完全初見の状態異常耐性を事前に持つなんて、召喚システム上不可能なのだから。今回みたいに耐性を持つ事以外での対抗手段を獲ておくのは可能みたいだけど。全異常状態耐性なんて後出しじゃんけん的に増やされる的な意味で原理的には不可能で、要は初見殺しに容易く突破される。ではもし仮に耐性や能力を初見時に即獲られるなら?例えば耐性無視耐性も耐性無視ならその耐性も無視されますね。召喚システムは機械的だ。故にどんなに完璧そうに見える能力でも、創った側が完璧に創れていなければ、能力にも自然と穴が出来る。思考停止的な能力が発生しようも無い様に出来るし、対処可能にするストッパー的な役目を果たす仕様なので、もしシステムを此方が手に入れたとしても残すのは間違いないだろうけども。対策に動くと辺りに静電気が走る。恐らく把握技術としての物だろう。建物側の構造さえ先に頭に完全に入れておけば、静電気が何らかに邪魔されるなり、何なりとで建物側以外に届かないなら其所に他の奴が居る事に成る。つまり、平たく言えば、此処はそいつの射程圏内だ。

«おい、無事か?»

『なるほど。有線テレパス用の物でしたか。無事です。如何すれば良いですか?』

«ひとまず其所の部屋から出ろ。ナビゲートする»

『いえ、対策はして有りますので、行く場所さえ教えて貰えば』

«なら、その部屋を出て右に曲がり、廊下を通り、三つ程部屋を通り過ぎた所に来てくれ»

 承諾し、そして移動し、合流に成功する。

『それで如何します?』

«味方を一定エリアにまとめた後、他のエリアに高圧電流を流す。ああ、建物側には影響は出させないから安心してくれ»

『……無茶苦茶だ……』

«認識阻害が相手だしね。居ないだろう場所にも攻撃出来るならした方が良いだろうから»

『解りました。ではその場所に行けば良いのですね』

«ああ、ひとまずナビゲートは要らない様だから其方に向かってくれ、此方は他もナビゲートし無きゃ成らないからな»

『解りました。ではお先に』

 避難するとしようか。純水化すれば高圧電流が流れようが大丈夫だろって?それはそうだけど、一先ずは避難場所の確認から。だが避難場所へと向かう所で敵に遭遇した。多分相手は普通に見えているだろうから、大変だ。ひとまず攻撃に大量の水を当てて、攻撃のスピードを減衰させつつ、移動し、避ける。さて、此処からだ。対策無しなら知覚外からの攻撃だったのだから、出来る限り無気配無音な攻撃にするため、スピードは遅い攻撃だったから、避けるの自体は容易かったが、此処からはそんなのは言ってはられないだろう。ひとまず水を床と平行に高圧噴射しまくる。こうすれば妨害無しで床に水が影響を与えるのは水の威力が落ちた後に成る。……避けたか。先ずは水系では無いのは確定と。だが、辺りに水は撒いた。これなら……撒いた水を一斉に上昇して、拘束器具の様に扱う。凍らされるが、構わず制御する。炎で溶かしに掛かってくるが、煙でスプリンクラーが起動し、更に空間内に水が満ちていく。スプリンクラーに依る空中の水を操り、高速で敵に散弾の様に当てていく。水は使い方次第ではダイヤモンドの加工にも使えるのだ。ちょっとやそっとの堅さくらいならぶっ壊せる。と思ったら、火力を上げてきた。……まあ、散弾銃的な運用上、水の一粒、一粒の水量は少ない。一粒単体的には蒸発させるのは容易かろう。だが、更に其所で海鳴が水を追加で操り、水の牢獄を形成し、酸素をその中から枯渇させ消して、ひとまずは拘束完了。これは筋力が一定以上有れば無理矢理突破出来そうでは有るが、初見殺しを初見でない奴が攻略出来るとか言っても条件が違うのだから言っても仕方ないのだけども。スプリンクラー壊される前に対処出来て良かった。拘束には何を使。

«戦闘が有った様なので来たが、遅かったか。まあ、いい、ひとまずコイツは此方で預かろう。君もひとまず避難場所に向かおうか。この様子じゃ紛れ込んでいる可能性が有るからな»

『解りました。急ぎましょう』

«ってちょっと、おい。なんだ、コイツら»

『如何したのですか?』

«他所の交戦で幾ら攻撃を加えても、当たっていても構わず突き進んで来る奴が居る様だ»

『……不死って事ですか?』

«違う。何というか、ゲームの攻撃はHPゲージを零にするために行うとしたら、コイツらはHPゲージが零でも動けると言う性質を持って居る感じか。アンデッドじゃ無いな»

『……つまり、生死判定がHPに依存しない攻撃を使えば倒せる訳ですね?』

«まあ、そうなるが、死ぬ基準が減って居る訳だしな。厄介だよ。本当»

『なら部位欠損させて仕舞えば良いですよね?』

«そいつらが部位欠損対策無しだと思う?»

『……なら、拘束が一番無難ですかね……』

«そうだな。ひとまず、移動しよう»

そして、移動する。転移は、今は流石に危険か。さて、間に合うかね?移動して少し。

«来たか。前回押し通って来た奴が出て来たぞ。其方に向かう»

『……攻撃が当たらない理由がまだ解っていませんよ?』

«とにかく色々な攻撃をぶつけてみよう。物量で囲んでみよう。壁抜けが無制限に出来るなら、チンタラ通路なんて通らず、騒ぎなんて起こさず、必要最低限で来ても良かったはずだ。だからそれが出来たとしても、何らかの制限が有るはずだ»

『……水みたいな物じゃ無いですよね?』

«本当に水なら君が制御を奪えるか試してくれ»

『……解りました。……何が来る事やら……あ、とりあえず火災対策用の障壁下ろせますか?時間稼ぎには成りますよね?』

«もうやっている。だが、やり過ぎると此方も其所でまともに動けんから、ある程度はルートも残しておかないとだから»

『……その残ったルートを行儀良く通る?あ、中庭とか有りませんでした?窓全部が対弾道ガラスなんて流石に高望みし過ぎですよね?』

«大体は防弾ガラスくらいだが、……まあ、ぶっ壊されるか。そっちに行くぞ»

『はい。行きます。部屋をしらみつぶしに探すにしては遅めな様な気がするのですが』

«……此方の対応を見る為のお遊びって?だとしても、捕まえてやるのは変わらねーよ»

『……それはそうですが……』

«はあ。思った通りだ。防弾ガラスなのにあっさり壊して来やがる。此方に気付いたか。来るぞ。今回コイツを倒せれば後は何とか成るはずだ»

『はい。行きましょう』

そして攻撃の当たらないギミックの謎解きもまだ出来てないままにボス戦を強いられる羽目に成ってしまったのだった。

『現在解っている情報は?』

«複数の腕を出せる、自由変形可能、水の噴射、煙幕。今の所はこんな感じだ»

『……?それで何で攻撃が当たらないなんて事に?自由変形可能だからって攻撃が当たらないってまさか先読みして動いている訳じゃ有るまいし』

«恐らくオートだろうな。仕組みが解らなきゃ確定で避けられちまう»

『……うーん。変形可能で複数の腕を持っていて煙幕を出せる奴……烏賊や蛸しか思い付かないのですが、それは』

«……あはは、そう言う奴か。そうだとして如何すれば攻略出来るだろうか?»

『……スマホで調べ、……ふむ、蛸の穴抜けね。蛸って事か?……つまり攻撃を当てるには一定以上規模の面攻撃が大前提って事かね。拘束も袋に入れる感じじゃ無いと厳しいか?スピードがどうかなんて知らんが。オートのスピードにはオート故に蛸の意思とか関係無いだろうし。

«此処には巨人なんて居ないし、召喚する場合は建物をぶっ壊す覚悟でやる必要が有るぞ»

『……そうか。巨人なら普通に殴るだけでも必要最低限の面攻撃は出来る。……が、それをやると損害額がヤバイか……でも倒せない寄りかはマシです。呼んできてください』

«……解った。なら、時間稼ぎだ。やれるな?»

『さっきよりはだいぶマシですよ』

『来るわよ』

其所でゆっくりと進んで来ていたくせに、射程圏内に入ったのか高圧水流噴射を撃ってきた。お前は蛸だろうが。テッポウウオじゃあるまいが、その機構を体に入れているだけか。

『うぉっ、水制御、水制御……』

何とか凌ぐが、

『一定以上規模の面攻撃以外無効、か。本当厄介だな。オートのスピードもふざけている。だが、増援が来るまでは耐えなきゃなんねー』

 其処で煙幕を張ってくる。いやこれ、空気を水みたいに扱、思考を其処迄した所で一気に突進されて壁に叩き込けられた。早い。後方に水を噴射し、勢いを付けたようだ。水に成っているお陰で来た衝撃はまともには受けなかったとは言えだいぶ飛ばされた。予想が外れたのか?ひとまず辺りに有った水を混ぜつつ水流噴射してみる。土砂込みの水流噴射って奴だが効かないわな。水道管を破壊し、地面から水流噴射を行う。……だが、それは本来悪手だった。結果、そいつはその水路を通り先に進もうとして。

『させないわ』

 そいつは水の中に体の大部分を入れた……なら、水で拘束出来る……。それに気付き拘束に掛かる。……互いに初見故の結果と言う奴だな。仮にも海鳴は水の原初精霊だ。これで水の力で力負けするようなら水精霊全体の沽券に関わる。……とは言え、水以外の力も使われている為、良い感じで拮抗している感じに成っている。……これなら五分くらいなら余裕で凌げそうだ。……初見殺しって嵌まるとやっべぇな……。

«悪い。遅くなった。ディノサウロイド【モデル:ディプロドクス】の登場……ってもう殆ど決着付いているな。これ»

『完全にでは無いので、さっさと倒しちゃって下さい』

«……だそうだ。頼むよ。ディノス»

«承知した。ディノス・マウラクト、参る»

 見た目の特徴は……細めな体に長大な尾、ね。話的には梁竜リョウリュウと呼ばれている……だと?……何これいいね。そうしている間にディノスは尻尾を蛸に振り下ろした。……あの質量で尻尾のスイングが音速のスピードを元ネタの恐竜は出していたのだから恐れ入る。……まあ当然その威力が発揮される訳で、……余波で辺りがヤバイ事に成ったが、蛸野郎を撃破する事に成功した。……のだが、なんだかな。防衛戦で広域魔法なんて使えないが、拘束した上でなら音速相応攻撃はならば当たるか。つまりこの蛸の能力は拘束込みなら音速よりかスピードは遅いか。なら音速以上のスピードで攻撃したら普通に当たる?いや、どうせ全身の拘束をされていて避けられなかっただけだろ。拘束するにも本来なら簡単には行かないだろうし、スピードを語るにはデータが足りない。だが何か見落としてないか?あ、助けに来るつもりだったのに、何故、片方を召喚破棄なんてしたのかの理由がまだ、そう言えば一回も聞いてないな。“再召喚が不可能なんて話は一切合切聞いていない”つまり、再召喚前提で召喚破棄したって事か?犯人グループ全員捕縛し無いと召喚された奴等は倒し直しが必要に成り得る?ははは。笑えない。全然笑えない。

『流石にそんな事はそう言う設定をしなければ無理なはずで、でも、そんな事を出来る様に設定したら召喚テキスト量を更に圧縮する必要性が有るはずよ?そしたら召喚テキスト量的には弱い奴しか出来ないはず』

『なら、再召喚の為の設定の奴を創れば良いだけだ。……敵側のそいつを潰さないと召喚された奴等は潰しても意味が無いか……』

其所に召喚エフェクトが大量発生する。

『……ははは。本格的に潰しに来たか?クソがっ』

そして電子フィールドが展開されそうになる。

«ヤバい。追加で認識手段阻害に来たか。されきったら不味いから、其所からこっちには来ないように立ち回れ。見えなくされたら事故も有り得る»

『了解です。気を付けて』

そして一気にある程度移動する。

『皆も、ひとまず転移の力と空間把握の力を貰いに行っといてくれ。流石にキツそうだ』

『そうだね。解った。直ぐに戻ってくるから』

『先輩。私は先輩のサポートに今は徹しますので、お気になさらず』

 そしてリーティアが海鳴に依って転移していった。……付加効果の解らない銃弾を避けつつ考えていく。まいわゆる銃口の先に立たない事で、銃弾が当たらない様にすると言う奴だが、これは一直線以外の軌道で飛ぶ奴には効かない方法な気がする。ディノスはある程度の空間を回転しつつ移動し、尻尾を一帯にぶつけていく。さっきの奴は要するにこれがやりたかったから、どいてくれって事だった様だ。音速に対応出来ない奴はあっさりやられている様だが、おっと、彼方を見ている余裕は無いか。暫くは回避に徹しよう。彼女らが来てからが本番だ。……ディノスさん。尾を回転させていわゆる尾風だけで竜巻を起こしているのですが、それは。召喚されただけの奴を倒しても一時しのぎにしか成らん。召喚した奴は何処だ?あーもう。俺も撤退したい。皆の再召喚を可能とする奴を創りたい。ええい、攻撃が鬱陶しい。考えなきゃならんのに。……でも余所見しながら戦える様な状況じゃ無い。増援よ、速う、速う。炎の火力でゴリ押し?水が水蒸気に成る際の膨張に指向性を持たせて、指向性膨張に依るノックバックを。……威力が低い?そもそも無駄に成るはずの奴を再利用出来ているだけまだマシだろ。雷?理論純水化しているから問題無し。土砂を水で逸らす。速くしてくれ。

『ちょっと不味いわね。まだ時間が掛かりそうよ。襲撃を受けたわ』

『……大丈夫なのか?』

『ええ、彼方にはそもそもジャミングの類いが殆ど無いもの。流石にそれなら負けないわ』

『……慢心からの敗北だけは勘弁な』

『そうね。そうならないようにするわ』

『……脳が幾つも有るって便利だな』

『良いことだけじゃ無いわよ?』

『二人ともそれより戦闘に集中してください。先輩も私に体の制御を全投げなんてしないでくださいよ……』

『悪い、悪い。……さて、直ぐに彼方が来ないなら、反撃に出た方が良さそうだな』

『そうね。そうしましょう』

『霊体の奴が来ましたね……システム産の霊を通常と同じ手段で倒せるかは解りませんが』

『……あ、その手が有ったか……霊体は霊的エネルギーで無ければ攻撃は通らない。後は全部無効で一方的攻撃を放つ』

『それは無理では無いですか?全部無効なら反撃も無効に成るはずですよ?』

『其所だよ。俺が気付いてなかったのは。その思考だと、なんで反撃が近接素殴り限定なん?霊的エネルギー以外のエネルギーを操る魔法使ったって良いのでは?』

『……つまり、基本的に大抵が無効でも一方的攻撃が可能と言いたいのですか?それらのエネルギーを制御する為に結局はエネルギーに触れられる様に成らなければ成らないので、全部無効は無理が有りますよね?除霊系が効けば良いですが……』

『答は簡単。二重制御だ。現象を制御するリモコンを制御する力を自分の力を制御して、それを使って制御する。手間は掛かるし、エネルギー効率も悪いが、カウンターを決められる余地が一気に減る。エネルギー効率を悪くする代わりに、力と自分の間にフィルターが設置出来る。……リーティアが来るまでは霊体の奴はスルーで良いだろうけどな』

『……なんか釈然としませんね……』

『いや、それで納得し無いのだったら、なんで霊的エネルギーを生者が操れるか?とか、根本的なツッコミ入れなきゃ成らなくなるから勘弁な。今の方法なら適正がそもそも無い奴でも無理矢理使える様にする為に使えそうだけれども……』

『霊的エネルギーの定義は後で説明する事に、』

『今くれ。そしたら反撃に使える』

『では、通常の魔法等のエネルギーを容器(通常エネルギー)とそれに入った水(生気)を混ぜた物だとするなら、霊的エネルギーとは生気だけでちゃんとしたエネルギーとして成立させた物です。精神的作用を霊がしてくるのは生気の方に干渉している結果に成るので、魔法を使えるのはそう言う干渉で通常エネルギーを貯蓄した結果に成ります。つまり、単体では貯蓄分以上の魔法は使え無いと思います。……生気の制御と生成は出来るとは思いますが』

『……生気エネルギーも扱えないかな?漫画みたいにさ』

『漫画に有る別概念でも出来ますと言われても、この世界にはまだそんなのは有りません。生気エネルギーなら可能ですが、お勧めしません。要は難易度変えたバトル内容を同じ扱いにするのはゲームで一番簡単なモードだけクリアして、なのに最高難易度をクリアした奴と並んだとゲーマーに言えば良いわ』

『そうか……切れられるな。だが、十分出来るだろ?そもそも造られて無いだけだ』

『只でさえ体を酷使している状況で、生気エネルギー迄酷使するつもりですか?今の所は其所まで危険でもなさそうなので、使えたとして、防御に以外に使うのは止めてください』

『……つまり身に纏う使い方なら良いな?』

『ええ。それなら消費も少なくて大丈夫ですよ』

『なら、それを頼むよ』

『……解りました。行きますよ』

 そして俺の体には更にバフが掛かった。さて、ぶん殴りに行こうか……。要は自分の中のエネルギーの在りようを変え、自分の体表に存在させておき、それを使って攻撃する。相手の生気エネルギーを奪えたならそれでよし。奪えなくとも、自分の生気エネルギーは回収する。まあ、物は試しだしね。其所で敵側が一気に倒れ伏せた。

『……は?』

『よく見なさい。要するにあれは圧倒的スピードで敵の頸動脈を掻き切っているだけよ』

『……そんな無茶苦茶な……』

『再召喚可能なのなら、殺した所で死は一時的な物でしか無い。……って事かしらね?』

『だからって何も殺す事は、……なんて言ってはられないか』

『此方はまだ再召喚はやれないけど彼方は可能なのだから、退場して貰うなら彼方よね』

『まあ、良い。ひとまず、撤退だ。全員倒せた訳じゃ無いが、これなら十分終わるだろう』

『……でも腑に落ちないのよね。なんでああ簡単に確殺レベルのダメージを……』

『……味方でござったか。失礼』

いつの間にか首元にナイフを突き付けられていたが、ハイスピードで去って行った。

『うぉぁっ……。スピードガン振りアサシンって奴か?』

『……何も対応出来ませんでしたね……』

『……味方側で良かったわ。……多分さっきまではゾンビの相手をしていたのかしらね?』

『……まあ、それは良い。ひとまず退避だ。退避……。捕縛対象者だから使えなかっただけか?それともアレでもまさかスピードが足りなかったのか?』

『恐らく何らかの能力に依るもので、効果が手加減出来る類いの物では無いのでは?』

『……物騒過ぎるな……まあ良い。召喚を行いに……』

«其方も無事だったか。だが、どちらに行くつもりだ?»

『召喚をしに行きますよ』

«まあ、いい。だが、目的が再召喚可能にするための奴なら既に召喚してある。其方へ向かった方が速いぞ。避難所に行け»

『……解りました。でもさっきのアサシンは何なのですか?あの威力は?』

«此処で話す事じゃあ無いな。避難所に移動しようか»

そして避難所に移動し、話を聞いた結果としては。

『……確殺相応撃。攻撃した際に、相手のステータス依存の、相手を確殺するに足る威力を発生させる能力?……殺意しかない能力だな。』

『あくまでダメージを発生させるだけなのですから、ダメージの軽減能力やダメージ受け流し能力等である程度は凌げる可能性は有りますが……詳細情報が無いので、メタってやったぞ……と思ったらそのまま殺されていたって成りかねませんね……』

『殺意しかないからな。そりゃ何時もは参入不可だ……』

『身代わりに当たった場合は身代わり側が死ぬのでしょうか?』

『それは能力の細かい仕様が解らないと何とも。寄生虫がメイン的な奴は寄生虫もそれでやれるのじゃ無いと体を殺しても意味が無いが』

『……ゲームのリスポーン能力ってリスポーンで復活する側に復活した時点でダメージ入る奴ってあんまり見ませんね……』

『いやいや、HP満タン蘇生以外の蘇生手段全般がダメージ残っているって言えるって』

『言いたいのは其所では無く、そう言う能力は、なんで蘇生出来る程度に迄しか損壊し無いのが前提なのですか?と言う事ですよ』

『それは死亡=キャラロストのゲーム以外ではやるのはイベント戦闘くらいじゃ無いか?』

『……要はそれの仕様を持ち込めば良いと成りますね』

『例え時間稼ぎだろうが一時的にでも全滅させられたら意味は有るだろうよ』

『身も蓋もないですね……』

『そう言えばあっちは終わったか?』

『ええ。対処出来たわ。でも、……これだと二人の出番無いままで終わりそうよ?』

『……いや、出番無くても問題は無いだろう。劇をやっている訳じゃ無いのだから、全員が全員、一定以上の役割を持って居なきゃ成らないわけじゃ無いのだから』

『でも、まだ、召喚をして行く奴等を捕らえられて無いわね。それはどうなるのかしら?』

『……流石にそれは他が対策くらいしているだろうさ』

そこでいきなり地響きがしたかと思えば浮遊感と共に天井に叩き付けられた。

『先輩、相手が次の手に来た様です。恐らく、空間上を幾つかのブロックに分けて自由に組み替える能力です』

『……一定空間を自由に操れるルービックキューブ化させる能力って?つまり、』

更に空間が滅茶苦茶にシャッフルされていく。これ事前にどっかを掴めてなかった奴は?ヤバイ予感がするくらいにはシャッフルがされた所で空間が強制的に元に戻された。……誰かが妨害したようだ。……もう勘弁しろと。

『……先輩……恐らく空間シャッフルは、部屋や通路等のパーツ毎に行われています。……で有って欲しいと言う希望的観測も含みますが』

『……何でそれが希望的観測だ?』

『そうじゃないとシャッフル時に大空に一定数が投げ出されているかもしれないですから』

『……アカンなそれ……ヒーラーは?ヒーラーは居るか?』

『……居る様ですが、大丈夫ですかね?』

『……とりあえず外を目指すか……』

『そうですね。そうしましょう』

 外まで来てみると……巨大な亀……恐らくは、玄武が顕れた。いや、誰かが新しく召喚したのだろう。……それは良いのだが、……思った程深刻そうな雰囲気じゃ無いな……。

『あの、すみません。何がどうなったのでしょうか?』

«端的に言えばHPと生存力特化の奴を召喚した上で、そいつが周りの瀕死の奴等とHPの合算をして並列存在させてして、全員死ななきゃ死なない様にして、無理矢理生存させたって感じだそうだ。……チートにも程が有るぜ。本当。……恐らくは、死んでいる奴も対象に入れるのが可能だったみたいでな?そして、生きている扱いにした後に回復技を撃ち、自然回復して、なんて言うかアレだ。ゲームで言うHP回復装置だ。本当半端ない……»

『……マジですか……』

«大真面目だよ。手抜きしていた人が本気出した結果って事なのかも知れないね»

『…またコメントし辛い話ですね……』

«……此方としては君の連れているウィンディーネについて突っ込みたいが……他の世界はともかく、この世界の水精霊全ての母みたいな物だろ?他の水精霊が増えれば増える程、強くなれば成る程、得だったとかないのか?»

『……はぁ。まあ、他の水精霊が私に言及する事は多々有りますよね。そう言う事はしましたから。……災害起こして討伐対象にされてもつまらないですし、設定的に、制御力は無いとやってはいられませんから、相応に有るだけです。理由は答えませんからね』

 そしてさらに話し込んでいるが、少し思う。……制御力が相応に無いと設定がスライムの核が自分だと言うのとスライム全体が自分だと言う事と同じぐらいの差はあるからね……。そりゃ相応の制御力が無いと設定的に過大広告に成っちゃうよね。さて、ある程度の人数が外に弾き出されていた訳だが、これ多分捕虜も巻き添え食らってね?それとも捕虜を奪還された後に、最後に場所を滅茶苦茶にしていこうとかの類いのそれ?捕虜の口封じ?仮に捕虜が巻き添え食らって無いと言うなら、捕虜の場所は把握され済みって事に成らないか?どれにせよヤバイ状況なのでは?相手との話を切り上げた海鳴が話を切り出す。

『とりあえず合流したいからちょっとスペース有る場所に移動して欲しいわ』

『ああ、リーティアとかがやっと合流出来るのか。うん。頼む。ちょっと移動しよう』

 そして少し移動した先で転移をして貰う様にして、合流した。

『さて、状況は悪いが、如何する?』

『流石に私に任せて。禄に何もやれてないからね。ちょっとくらい見せ場をちょうだいよ』

『解った。リーティア。頼む』

『行くよ。【空間流転】事前にこの建物に居なかった奴に対して、空間がトリモチの性質を持つように流転させたよ』

『……それなんてG取り空間だよ』

『捕まえるにはこれが速かった。別に他意は無いよ……』

『……ははは。そうか』

 しかし、玄武か。HPゲージの共有が敵集団とも可能なら、共有を解除されない限りは相打ち以下の結果しか存在し無い。だって敵と味方全員のHPが零に成らないと死なないし、それを常に使うのはアレではある。味方側限定ならゲームで見た事は有るが。

 そう言えば確殺相応撃は、シューティングゲームみたいに元から一撃当たる=死亡の奴には威力じゃ無くて手数こそが重要だし、独自仕様に対応出来るかも微妙だよな。まあ、それはまだ煮詰める余地の有る話だろうさ。さて、休憩は終わり。行ってみようかね。

 明確な問いと、漠然とした問い。どちらが正確で確実な答えを答えやすいか、と言うのは、まあ明確な問いの方だろう。最強能力なんて、それを名乗る条件に全勝を前提に据えるなら、その一時的な最強能力その物に対してのみに対して勝つ為の能力に負けても破綻する。そしてこの世界の召喚システムはその専門ガンメタ能力を後出し準備する事は容易に可能だ。俺はそれをするつもりは極力無いけどな。まあ、本当嫌になるけど。俺の様な例も有るけれど、創作に置ける、対召喚獣用能力、例えば召喚獣の強制送還とか有れば大抵倒せるのじゃ無いですかね?

『それは多分無理よ。召喚媒体が楔と成ると思うわ。』

『……それは逆に言えば、召喚に使ったアレが無ければ送還系受けたら詰むって事か?』

『消える訳じゃ無いだろうから、相応の対処をすれば戻ってこられると思うけど?……と言うか、それは私には関係ないわね。世界全部の水を世界から取り除くなんて絶滅に直結するレベルの事が行われない限りはそうは成らない物』

『……ふむ。さて、……今回襲撃して来た奴を全て捕まえたとして、首謀者迄全員捕まえたと思うのはちょっと都合良すぎかな?』

『……これが敵の只の一端パターンは勘弁よ?』

『まあ、そうだな。でも、認識阻害を全部盛り込むのをして来ていないし……』

『……攻略されたから使ってこないだけかも知れないわ』

『それなら良いのだが、ね』

『……嘘だよね?』

『如何した?』

『……全員がいきなり消失したよ……でも全員が召喚された奴だったとしてもこの規模での召喚破棄なんてやるわけ無いよ』

『……つまり異世界から誰かを召喚、では無く、他の奴を手元に召喚する能力か?』

『どおりで一部以外はそんなに強くないと思った。……撤退の為の仕様を組み込んでいたから強さも相応に削られていたのかも』

『……質より量の個体と量より質の個体を混在させたってか?非効率だろ。そんなの』

『多分、元から居た量より質の個体を補佐するために、新しく質より量の個体を大量に創った。と言う事なのだと思うよ』

『つまり、いわゆる何体か居るエース個体を此方が倒し切ったので、撤退した、と』

『只のゲームの敵キャラと同じと考えては駄目だよ。だからこう言う事も有るよ』

『まあ、ゲームの敵キャラ、……と言うか、ボスキャラなら、特殊な仕様が無い限りは幾ら此方がレベリングしても同レベル、同思考ルーチンのままだからな』

『……まあ、一応主人公のレベルに応じて敵キャラも相応に強化されるゲームも有るわね。此方のレベルに合わせて行動ルーチンを全部変える。なんてしているゲームは少ないわ』

『それにしたって勝つか負けるかでシナリオ変更のパターンはある程度有るだろ』

『召喚された奴を人間扱いするかし無いかは置いておいて、少なくとも召喚をやった側の奴についてならそれなりに頭は回る奴で無いとね。しても仕方ない類いのミスをしなくて良いミスと同列に語るのはどうかと思うけど、ミスらしいミスは余りしてないもの』

『しかし、確殺相応撃って理屈は何だろうな?』

『要はダメージ計算式改編ですよ。こんなのゲーム的な世界なら、実現なんて理屈上は簡単なはずですよ。もし全部ゲーム的に考えられるなら大抵のゲームの技は出来ますが』

『つまり、即死相応のダメージを受けたと相手に無理矢理認識させているって事か。死んだと思わせる事に依るショック死と言う奴。細かい調整は面倒臭そうだが』

其所で通信が入る。

«あー、諸君失礼するが、戦闘が一応終わった様なので、連絡だ。防備を一先ず固めようと思う。アレが上手く行けば良いが……まあ、それはさておき、新しい奴を召喚するために色々と考案していこうって話だ。発信器の類いは有ったらむしろ好都合では有るが、空間に残留する類いの奴らしいので、辺りの空間に残留しているエネルギーを粗方破壊してくれ。敵方が居る内は相手側がエネルギー供給をしていたので無理筋だったが、今なら崩せるはずだからな。一先ず動けん奴と医療班を除いて中庭に来てくれ。通信を終了する»

『……だ、そうだが』

『……盲点でしたね。これはあくまで敵の魔法でしか無くて、なら敵方の魔法を維持するためのエネルギー供給量を超えるレベルに辺りのエネルギーを破壊し尽くして仕舞えば、普通にジャミングを崩せましたか……』

『仮にそれをやったら相手側に現在地が丸分かりだっただろうから、やらなかった事自体は間違いじゃ無いはずだよ』

『……なら、辺りの敵方の魔法エネルギーを全部破壊しとかないと不味いだろ?』

『そうだね。それはやっておいた方が良いと思うよ』

『……中庭に行ったら提案しておくか』

『ですね。一先ず中庭に行くまでのエネルギーを破壊して行きましょう』

同意し、中庭に戻る事にした。……多分何かを企んでいる様だが何だろうね?そして中庭に移動したのだが、そこで集まった内の一人が中庭全体に結界を張った。

「もう大丈夫だろう。普通に喋らせて貰う。だが、念の為、コードネーム側のみを名乗らせて貰う。支部長の月読命彩牙つくよみさいがだ。一先ず、今回の事をおさらいしておこう。今回の襲撃は、認識遮断に依る、連携破壊と、他の奴を認識するのを遮断する事での捕虜への対処封じを前提に据えた、召喚された者達に依る大量襲撃だ。捕虜関連に付いては、全員をガチガチに拘束しておけば、此方の対策次第でどうにか出来た事かも知れないが、一先ず置いておこう。今回敵の使ってきた能力の対策の奴を創って置きたいので」

「では自分から。大量に居た奴ですが、一部の種類の攻撃を除いた、攻撃に依るダメージの無視能力が有りました。効く攻撃を総当たりで探して倒せましたが」

「要するに幽霊は幽霊を構成する力で攻撃し無いとダメージを与えられない的なそれね」

「いえ、物理的に直接殺す以外の思想の攻撃は通ります。物理的に殺されないと言うことに能力的に特化した結果だと思われます。幽霊なら除霊すれば終わりますが、これは死ぬ方法が減って居るだけです。相手側が無能力限定なら十分にヤバイ能力ですが、要は間接的に死に至る様な能力は通りましたので、対応策を揃えて居れば問題は無いかと」

「次は此方が。敵側も認識阻害や遮断は通って居たのか、エネルギーで糸の様な物を体に付けていました。そうですね。恐らくはアリアドネの糸をモチーフにした物でしょうか?」

「ふむ?アリアドネの糸……ね。それは第三勢力がやっているなら正しいだろうが、流石に自分達側は見える様にしていたのでは無いかな?」

「……ではどの様にお考えで?」

「全てを糸でまとめる必要が有ったとしたら、傀儡師とかじゃないか?」

「……傀儡師、ですか?では、今回敵の核は傀儡師だったと言う事でしょうか?そんなに傀儡を容易に用意出来るでしょうか?」

「自分で操れる高度な戦闘用の傀儡を大量に出す能力でも有ったのでは無いだろうか?」

「失礼、私が遭遇した奴にはそう言う物は無かった様に思われるのですが、……因みに、そいつは最後辺りに空間をシャッフルした奴です」

「全員が傀儡師の傀儡では無かったってだけ、なのでは無いか?此方としてはその後の空間の粘着力の増加の方が気になるが」

「すみません。それは此方の召喚した奴の力です。敵の物では無いので、大丈夫です」

「では、アレは最後の撤退の前段階のそれでは無いと言うことか?」

「そう言うのでは無いですよ。言われる通り、空間に粘着力を向上させた物で、拘束を狙った結果です。拘束から逃げようとした結果が召喚に依る退却だったのだと思います」

「……ふむ。では、それは少なくとも空間入れ替えでは無いな。それをやった奴は空間シャッフルをやった奴とは別の奴だろう。で、なければ、空間シャッフルで辺りの空間毎逃げた所で粘着力の有る空間の中に居ることは変わらないからな」

 そして暫くの間、報告と話し合いが続いた。例えば、一定領域内全体に継続的ダメージを発生させる能力。これは回避を多用する近接型相手にはかなり有効では有る。但し、設置型故に、近接する際にそれを発生させているエネルギーを破壊し尽くしながら戦えば良いだけでは有るため、そうされない為の手段もセットで無ければ十分対策が可能では有る。しかし、あくまで自分は近接型だからな……。遠隔攻撃も出来ないと……。遠隔操作で空間上の水や水蒸気でまともに威力を出せる様に出来れば、砂漠地帯とか火山地帯とかの湿度が低すぎる環境じゃ無ければそれなりに戦えるとは思うのだが……。まあ、それはやるにしても、自分の体以外の水の制御を遠隔操作できる様に成ってから、だ。

『……普通の水ならもうある程度は出来ているわよね?』

『水蒸気は威力的にはまだだ。もし水蒸気で威力を出せるなら、自由度が変わるはずだが』

『……少なくとも、ぶつける方法は避けた方が良いわね。水蒸気でそれをやるには、銃で例えるなら弾丸のサイズが小さすぎるもの。やるなら、別のアプローチをやるべき』

『うーん。なら、水蒸気を理論純水扱い出来れば、いきなり毒を浴びせられるか?』

『それの量は前提的には少量でしか無いわよね?……目とか傷口とかに狙い澄まして当てるなら話は別だろうけど、対策をキチンとしてきた相手に通せる類いの物では無いわね』

『なんか良いのは無いか?』

『仮に後出しジャンケンを無しにしたいなら、先に出した者勝ちを成立させる理論を打ち出すしか無いけれど、なら後出しジャンケンを前提とした能力を創られたらアレなのよね』

『AをBにする能力メタにBをCにする能力をぶつけるって言うのは別に同じ物を前提にしてないし、な。AをCに変える能力を後から使う場合は既にAは全てBに変えられているので、能力が不発しましたと言うのは通るはず。ならさ、同じ物へ干渉する早い者勝ちの能力は、他の奴が設定している干渉対象のそれから扱いが変わる物をそれに干渉する際に付与して仕舞えば良い。ゲームで例えるなら、装備品に強化を加えて未強化装備と別枠の装備に成る的な』

『よくもまあそんなの思い付くわね』

『要するにこれは能力の対象指定を失敗させる要因を対象に挟み込むってだけな。これだけじゃ弱いだろう。その挟み込んだのも含めて指定出来れば意味が無いし』

『……初見でそれまで対策している人って居るのかしら?』

『如何だろうな……種明かしされた後でならとても簡単な理屈では有るが』

『でも対策の対策を前提と成る対策を知らずに考えるのは中々に難しいわよね』

『ある程度ならやることは出来なくは無いだろう。自分が、自分の力にメタをぶつけるならどんなのをぶつけるか?とのを考えりゃ良いのだから。……問題は全て考え尽くすのは初見殺しとかを未見で予想し切れる?的な意味で難しい事だが』

 すると近くの地面にいきなり一振りの黒剣が突き刺さった。そして爆発が起きたが、他の奴に押さえ込まれた所で黒剣は消え、また地面に突き刺さり、爆発が起きる。人を狙えるはずなのに狙わず敢えて近くの地面を刺す。……まあ、速い話挑発である。……どうやら撤退したのはこれの誤射を防ぐ為だった様だ。そして辺りに爆発が乱発していく。

「ふざけんな、この野郎っ」

爆発に皆で対処しつつ、

「距離無視か何かの能力でも持ったのを乱撃に使っていやがんだろうよ。いわゆる魔剣かなにかがご登場って所か?」

「攻撃時にカウンターを叩き込むのが出来れば良いのですよね?」

「それより、新人、さっきの奴をやらせろ」

「!解りました。リーティア。頼む」

そしてリーティアが空間に粘着力を持たせる。……が、殆ど意味が無い。

「何で、なのか」

「駄目か。伸びるのと縮むのを繰り返しているだけならこれで十分なのだが。間の空間自体をスルーしてやがる」

「爆発が起きるレベルの突きを何でこんなに乱発出来る?」

「うーん。無視した空間の間を普通の突きで通過して、直ぐに攻撃先の突き刺さる為に必要なスピードと威力が出ているとか?」

「……そんなの攻撃先が遠距離で有れば有るほど攻撃のスピードと威力が上がるって事ですか?無茶苦茶だろそんなの」

「これさ、煽っている。のじゃなくて、単に当てられて無いだけじゃ?味方を撤退させないと使えないって事は誤射が有り得る。つまりクソエイムな可能性も有るし」

「なら、目視では無く、指定した座標に攻撃を叩き込むパターンですかね?……着撃ポイントがずれているのは乱撃している結果、……と。……ああ、これ、つまりはそもそも人側に照準合わせてないな。攻撃の余波で誤魔化しては居るけども……」

「あ、何で人を狙わないっておい、不味い、動かなき」

そう言った人が黒剣に貫かれた……が、能力で生存しているようだ。爆発に対処すると、

「かはっ。……とにかく今は動け。……要するにこれは照準合わせるのに時間が掛かるかなにかで、基本的に動かない物に照準合わせているだけで、人に対して狙いを付けられない訳では無いのだろうよ」

「!動きましょう……つまりは動けば直接は当てられないって事ですから」

そして急いで移動する事にする。

『これだと反撃し無いとジリ貧だよね?』

『だからって言ってどう反撃を通す?性質上、距離は相当離れているはずだぞ?』

『こうするんだよ』

リーティアが何かをする。……攻撃が止んだ?

『……なにやった?』

『空間上の行動の反動の増強だよ。自分では壊せない壁に自分からぶつからせたって感じ』

『……えげつないな……』

『貴方も水の中に相手を誘導して捕らえるのをやったって聞いたけど?』

『アレが失敗していたら水道管を介して一気に隔壁で通れなくしている範囲の内部に一気に侵入されかねなかったし、拘束に失敗していたら割とヤバかった場面だが』

『相手にそれを狙う様に誘導したのだよね?やるねと思うよ?』

『あー。アレは要するに面攻撃をやるために大量な水が欲しくてやった結果だったな』

『……つまり、偶然って事なの?』

『……対処は出来たのだから良いだろ』

『まあ、良いのじゃ無いかしら。結局は戦闘では一貫してフィールドに自分側に有利な物を増やしてからそれを利用して勝つ形を取れているのだし、一貫はして居ると思うわ』

『……確かにそれはそうだね』

『……あはは。なんか、すまん』

『さて、防衛する分には今の奴で十分にしても、反撃を如何しましょうか?』

『これだけ乱発されていれば流石に逆探知くらいやれるだろ?』

『仮に逆探知が出来たとして、さっきの奴をやった奴が他の撤退した奴等と一緒に居ると言う保証は無いわよ?さっきの奴が能力なら過剰な反動が術者に行っているだろうけど、魔剣なら、上手く行っても魔剣が壊れただけ。でも、使用しているエネルギーバランスが崩れて暴発……なんて事の期待は出来ないわ。だって使用の目的的にかなりの衝撃に耐えられる性能じゃ無いと威力の限界値も相応に下がるもの』

『衛星映像や写真的なのを即刻用意出来る様なコネなんて、流石に此処には無いだろう』

『攻撃時に間の空間を無視しているなら、その武器を通した直ぐ先に相手は居ると思うわ』

『……うーむ。最低限今回の奴をどうにかしないとリーティアにはどうにかするまでは常時今の張って貰ってなきゃ成らなくなるから、どうにかしなきゃ成らない訳だが……間の空間の中身は無視した結果、結界も意味は無い様だし……』

『……私はあっちに連絡して連れて来るわ』

 そして海鳴はレイシーを連れに来るために転移していった。確かにあっちはヤバいか。仕切り直しとして。条件を整理しよう。間の空間を無視した刺突攻撃を相手は乱発出来る。但し、照準合わせに時間が掛かる為、常時不規則に動いていれば、早々直接は当たらない。結果として、電車等の厳密にルートが決まっている物は、其所を通る時間が解っていれば此方が来るタイミングで線路側を壊すなり何なりと、ね。それは武器が伸び縮みして居る訳では無い。ん?これだ。攻撃させてもし、素手で武器を持ってやっているならミードスネークの蜂蜜酒でも皮膚接触させて、酩酊させれば?うーん。そもそも手袋しているだけで今回は防げる上、大きな反動が来ると解っていて、自分で直接持っているとは思えないな。リーティアの力で、白刃取り的なのを出来れば?いや、リーティアが力を展開している状態でやるなら、今だってやってなきゃおかしいか。あ、この手が有った。まさか空間自体ピッタリキッチリ隙間無く刃だけ来ているなんて事は無いはず。なら、こうだ。

『空気にマーキングかなにか出来る奴は居るか?その空気を他の場所から知覚出来れば刃を戻す際に空気も少量は巻き込まれてくれるはず。それなら場所が割れるはずだ』

『……空気が巻き込まれる余地が無い可能性も有るわよね?』

『照準合わせるのがアレだから乱発なんて手段取っているのに、そうするような精密さが有るとは考えづらいから、試すだけ、試すべきだ』

『なら、支部長を探すわよ。その方が速いでしょう?』

『だな。行くとしようか』

 そして合流してアイディアを話す。

『……話は解った。さて、サイコキネシスなんて出典はだいぶ古い物では有るが、使ってみようか。これは、使い熟せば大抵の物は操れる。まあ、現象を創り操る能力だって有るのに、敢えて遠隔で操る事に特化した能力と考えてくれれば良い』

『今回はサイコキネシスで、攻撃してきた武器を掴んで消える迄の時間を延ばすわけですね』

『まあ、そうなるが、……始めるタイミングは如何するか?どう言いつくろおうが、相手側が結局はやり始めるタイミングを決められるのは変わらんからな。とりあえず始めるのは三十分後にしてくれ。それなら、持続時間切れだと判断させられるかも知れないからな』

『解りました。そうしましょう』

 とは言え此方はもう準備は出来ている。なので、研究者を召喚するアイディアを伝えた。

『兵器の研究者を創り、兵器開発を、ね。それを仮にやるとして、それに必要な研究費は?』

『……う』

『……意地悪を言った。すまない。だから此方に話していると言う事は解っている。要はそれをやる奴を召喚したいから、此方に研究費を出せって話だろ?』

『……まあ、そうなりますね』

『召喚する奴の知識レベルに依存する話では有るが、召喚される奴が、我々側が知らない法則や理論を知った状態で召喚される可能性も有る。その場合、一般的な兵器開発に必要な程の研究費は要求されなくとも一定の結果を出せる可能性は有るはずだ。そういうのが仮に無くても有能な兵器開発者を増やせるのは悪い話では有るまい。早速やっていこうか』

 しかし、実際ちゃんと調べもせず、能力の性能を盛っていると思われるのは、なんかアレだ。遥か昔の元ネタが有る奴を最近の奴のパクリとか言い出したら、元素系なんて膨大な量の作品で使われているし、そもそも使うなと言う話に成るから。

 そして、研究部門の人に作って貰った結果、召喚された人はある理論を保有していた。……要するに法則のバランスを崩し、好きな方向へ調整する技術。但し、デメリットとして、現状の空間自体の法則の状態からずらせばずらすほど、その空間に居る奴等は強力な一種の高山病的な事に成ると言う事。其所に居る奴に迄は干渉してくれないらしい。即座にやれる環境適応方法が無いと洒落に成らなさそうだが、その手段に心当たりは有る。変化させる先の奴に先に順応しておけば、相手側の能力崩しと一種の高山病を起こさせる兵器として運用出来そうだ。こんなの可能なのか?これが成立するなら、思いっ切り召喚システム運用に差し障りの有る内容なのじゃ無いのか?ああ、召喚システムは別枠扱いか。要はエネルギーの種類か、運用されている方法か何かが違うらしい。うーん?エネルギーの種類が違う場合、召喚システムを創った奴の目的が解んなくなるから、恐らく種類が違う為と言う物だと思うが、だとすると、他の能力に対しても使えない恐れが出て来る。うーん?法則側では無く、互いに法則を変える側扱いで、変える側を変えられた場合、自壊の恐れが出て来る為の、法則の対象外判定か?まあ、打ち消し能力が自分の打ち消しの力を打ち消した。と成ったら何の役にも立ちはしないから、仕様上しょうが無いみたいだが。色々と即席で創れる物を創って時間を待つ。そして三十分後、リーティアの力を解除するが、……いくら待てども、追加の攻撃が来ない。最悪なパターンが来てしまった。このままではリーティアの先の奴で倒せて居るか居ないかも判断が不可能で、倒したと判断する事が出来ない。倒してないかも知れない。だが、攻撃が来ない。それは何を意味するか?此方は警戒態勢敷き続けないと、グッサリ暫く経った後にいきなりやられかねない。……如何するこれ。攻撃をする事より、し無い事の方が一種の攻撃に成ってしまっているのだ。これでは無理矢理にでも術者を見つけ出さないと話に成らない……。

『……如何する?これ……』

『……支部長が仕込みしている事が有ると先に匂わせていたし、それが希望よ。……それでもし何とか出来ないと暫くはだいぶ行動を制限される事に成るわね』

『支部長……如何なのですか?』

『……仕込みをしたのは捕虜にしていた奴等側にで、今回の遠隔攻撃をやっている奴にじゃ無い。……そいつに元の捕虜側が合流してくれればやりようは有るが、直ぐにとは行かないだろう。……転移が有るから場所さえ割れれば直ぐに行けるが……』

『……暫くは籠城するしか無さそうって事ですね』

『……残念ながら……』

『でも合流しますかね?』

『多分な。能力で有ろうが武器での物で有ろうが、……ってか、合流してくれないとどうしようもねーな。それに、ゲームなら、強い敵を倒しに行って素材売って金策……とか出来るのだろうが、実際にそうできる環境に成っては困る訳だが』

『ソシャゲなんてキャラのステータスの性能インフレなんてさせてなんぼですからね。じゃ無いとキャラステータスの性能を餌にガチャを回させられないから仕方ないのですけど』

『強い敵に成れば成るほど高く売れる良い素材を落とす……これが長い間アップデートで敵の追加含め最後迄一貫されたらプレイヤー間の物価インフレは、まあ、凄い事に成りそうだ。実際にはそうなる様な状況に成っては困るのだが……』

『ちょっとよくわからないわね』

『早い話、一つ目は金稼ぎとして成立するくらい高値で売れる素材を落とす強い奴が大量に居る環境が前提……つまり、世界は今より過酷な環境に成っているって事だし、二つ目は、物の価格破壊が完遂されちゃっている形に成るからな……洒落に成らねーよ……』

『……うわあ……。さて、長期戦に入りましょうか』

『問題は物資だな。今居る人数全員が長期滞在出来る程の物資は無いぞ。精々一ヶ月くらいが限界だ。どっかで物資の買い出しに行かないと成らん……だが、俺が敵の立場ならそれは当然狙う。だからそれに罠を仕掛けたい。ひとまず一週間後に買い出しをするが、どうにかそれで引きずり出せれば良いのだが』

『ならそれをするために色々と用意しますか』

 そして準備に取り掛かり、一週間が経った。今日は買い出しの日なのだが、勝利条件は術者の殺害では無く、遠隔攻撃を行っている武器か能力の詳細解析によるメタの構築だ。じゃ無いと同じのをまた創られてまたそれをされかねない。そうしなきゃ対処療法以上の勝利は無いと言って良い。さて、どうなるかね……。

 買い出し自体は奇襲を受けてもあの玄武らしき亀の力で死ぬ事無く済ませられるはずだが、問題なのは大量な物資の運搬だ。アイテムボックスだのアイテムストレージだの、原理をちゃんと説明している作品としていない作品両方が存在する定番チートでは有るが、要は専用空間を創ってその中に色々な物を入れる能力。仮に言葉通りの意味で物理的に新しい空間を世界に追加して創造なんて物が実際に出来るなら、界の創造も視野に入る。では空間その物の一部を造り替えるのではどうか?それが出来るなら苦労はしない。それが専門の能力持ち以外には。因みに界は界でも結界は別に新しい空間を創る訳では無いので作り替えて居る側だがね。その結果、巨大化と小型化出来る奴に容器毎一時的に飲み込ませる事に成った。その理由として、要は体内の物も全部小型化と大型化出来る力で無いと大型化した状態で腹一杯食った上で小型化したら胃が……ね。そう言う世界観の存在ならともかく、胃袋がゴムなんかでは無いのだ。それに、体内の奴を大型化出来ないなら小型化した状態で飯を食っていても、大型化したら実質的に飢餓状態に成ってしまう。だから大型化と小型化出来る奴には、体内の物を大型化と小型化するのは仕様上絶対必要なのだ。今回の問題点は、要は転移を使うのは避けるべきと言う事。まあ、既に使っているからアレで、結果として海鳴は参加してない体を取らなければ成らないと言うか、そうしないと襲撃するに足る旨み自体が相手側に存在し無くなる。だってゲームでは無いのだ。戦闘中だからって転移を使えないなんてルールは無い。相手側が転移対策をしていなければたが、結果として、危なくなったら転移で逃げれば良いと成るし、そうなると、確保は相当難しい。それに相手側は攻撃し無い事で此方に精神的縛りを与えているのだから、相応の旨みが無ければ襲撃せずにガン無視してれば良いと成りかねない。対策をするにも限度が有るのだし、リスクはある程度背負わないと、そもそも相手側が此方を襲撃する意味が無い。結果、ある程度は出たとこ勝負に成らざる獲ない訳だ。これは厳しいな。但し、今回襲撃が無ければ、そう簡単には襲撃はしてこないはずだ。襲撃するべき様な条件が揃っている条件で襲撃してこないとか成った場合、良い条件が揃う迄待って居ると言う前提が崩れるし、それより悪い条件で襲撃してくるならこの一週間の間にして来て居るだろう。つまり今回の買い出しは今後襲撃が有るか無いかを知る試金石と成り得る。

 現実故にゲームみたいなバランス調整による弱体化も強化も存在し無い。進化する事に仮に限界が有るとする。それは、要は進化とは黄金比を求める事だと考えると良いだろうか?現状で出来うる最上位の物を黄金比扱いとするなら、追加の他の物が無ければ下手に努力してそれが変えようとしても黄金比が崩れるだけに成ると言うことだ。それこそが進化の限界だろう。まあ、新しい要素を加えられれば黄金比も変化する可能性も有る。それを可能とする物がゲームで言う所の限界突破素材と成る……なんてな。さて、買い出しに行く事にしようか。そしてある程度の人数で物資の買い出しに向かう。転移や移動の為の能力は敢えて使わない。ある程度進んだ所で襲撃が来たのだが、襲撃は襲撃でも、それをしてきた奴等は黒刃を飛ばしてくるのでは無く、襲撃してきた奴のその他の奴等だ。なので、バレない様にひとまず能力によるマーキングを行う。相手側の拠点割り出しの為だ。全員捕まえるのがベストかも知れないが、全員が襲撃に来ている訳でも無いだろうし、敢えて泳がせた方が良いと言う判断だが、防衛側のジレンマとして、相手側は辺りの物を壊すのを躊躇う必要性は無いが、此方はそうならない様に立ち回らなければ成らない事。まあつまり、相手側だけは大規模的な攻撃を撃っても何ら問題無く、大丈夫な状況って奴だ。相手側は大技撃ってきますよ。そりゃあ。相手を構成する水分を操るとか、水蒸気にまともな威力を持たせるとか、……やりたいけど、まだ熟練度が足りないしね。水の威力減衰や、雨が痛くない理由は終端速度だったかね?……俺が法則崩すのをまともに常使いするならそれを無くす方向に、だ。それだけで自分から水を撃ち出す場合の威力が発揮出来る射程圏が一気に伸びるそれは追々やるとして、今は凌ごうか。しかしまぁ、結界無視して攻撃届かせる手段は既に相手側は持っている訳だからな。此方を倒して補給物資を補充させない事がメインだろうから、建物側のガン狙いはし無いと思うが。必中能力って有ると相手の回避を考えなくて良いけど、ジャマーとか、デコイとかそう言う物に対しての対策を全て詰め込むのはシステム上的な意味で無理が有るし、兵器的な意味でのホーミングなら、要はそのホーミングをするために必要なそれに搭載エネルギー全てを消費し尽くすまで逃げられれば必中だろうと当たらない。いや、その必中兵器へ搭載されているエネルギーを使い切らせて破綻させているだけとも言うか。それを直接術者が操作しているなら、エネルギー供給をし続ければ良いだけだが、要は手動操作でキッチリ攻撃を当てられる奴なんてホーミング機能が無くてもそれなりに攻撃を当てられるからな。それにそもそもワープなり転移なりで一気に射程圏から離れる回避をされたら追尾としてワープや転移の出来ない通常ホーミング兵器じゃ根本的にホーミングが必要な時点でそもそも当てようも無いし。ああ、試合的に狭い場所で戦わざるを獲なくて、それが無理なら話はまた別か。狭い場所で戦うルールでだと、広域殲滅的な能力については大きく動いての回避をする余地は殆ど無いよな。そもそも回避に使うスペース自体が無いパターンも有り得るのだから。ひとまずある程度倒せた事は倒せたが、如何するか。捕虜にしたとして転移くらい習得して、いや、それは無いか。レイシーみたいに後付けで能力を増やせる類いの方法がない限りは。つまり新顔側を潰せれば良い。其所でいきなり重力が過剰に掛かる様に成った。つまりは重力加算か?……俺は水の体な上、深海への適応力も有る結果、そう言う圧力下でも性質上結構普通に動けるのだが、他の奴等がと思ったら、重力の法則崩しの兵器が使用された。……少しだけ高山病的な状態に成るが、まだ、動ける。其所で一気に捕まえていた奴等が何らかの力で奪われる。重力を使ってなら、つまりは引力か?まあ良い。その引力に水を混入させる事で、水を加速させ、引力を発生させている奴にぶつける。まあ、気付かれない様に少量だったため、大した威力は出ていないが。

 神話の兵器には投げても手元に戻って来させられる兵器と言う物がある程度有る。捕虜に対して戻って来る力を適用出来たらどうなるか?答は簡単。捕虜の意思に関係なく、元の場所に強制的に戻す為の力が働く。その力を解除出来無いなら、その力を超える力で抑え込み続けない限り、捕虜は逃げられない。いや、逃げても意味が無いと言うべきか。本当えげつないと思ったらいきなり景色が変わった。しまった。此方が転移させられるパターンは対策をしてなかった。此処は何処かの砂漠か。他の人と合流するためにオシアスを探そう。海鳴が転移を使えるのだから、オシアスさえ見付ければ皆が帰れるはずだ。まあ蒸発する水も制御し無理矢理水にして、よし。俺は帰れるけれど、他の全員が転移を使える訳じゃ無いだろうし、空間把握……居た。よし。合流していこうか。そして砂漠の中を進む事にしたのだった。合流しつつ対策を話していく。要は転移では無く、空間シャッフルで空間を入れ替えて、中身だけを置き去りにして戻した。と、言う事らしい。能力の使い方の応用範囲まで予想するのは、現物が手元に無い以上、マスクデータを前提にした事を考える事をマスクデータ未見で予測しろと言う事で、それこそ知識チートとか、そう言うのを出来る様にする能力が無ければ中々に難しい話だ。種類は違うとしても、初見殺しは今後もありそうでアレな気分に成った。空間の中身が固定されて居らず、一緒に完全には動かないからこそ、シャッフルで俺達側をぶっ飛ばすなんて所業が成立するし、それで容器ごと移動した後に容器(能力)を崩して中身(空間)を置いてきぼりにしたって事なのだろう。改めて考えれば、これは頑張れば予想可能な範疇だったか……。其所でHPゲージに大きな変動が発生した。直ぐに回復したが、誰か大技でもくらったか?まさか全員は転移させられず、一部だけはあの場に残っている?のんびりしている暇は無かった。一先ず合流出来た人達と飛ばされる前の場所に戻る事にした。転移やワープ等の手段を持たない奴の回収は後回しするしか無いようだ。その人らが水場を見付ければ回収出来る訳だが。一先ず転移を行う。……氷塊が顕れていた。中に他の奴等が居る形な様だ。壊そうとする他の人を抑え、氷塊を制御し、バラバラに粉々にしていく。よし。お?氷塊が成長していく。まあ、流石に其所まで上手くは行かないか。それで先に止めた人に壊して貰う。さて、戦える、いきなり何件かの家を丸ごと投げてきた。水を大量生成してクッションにし、受け止める。空間シャッフルで固定されている部分を切断し、空間ごと一気に移動させ、空間シャッフルを中身の勢いをそのままにして解除する、か。壊す事に躊躇いが無いのは解るが、損害額が洒落に成らない。流石に家の人は逃げた後だろうし、もっと言えば召喚システムからの退避で退去済みかも知れないが、被害額ヤバイな。理屈上ビル投げもやれそうではあるけれど、辺りには高層マンションや高層ビルは無いので、一応それは考慮し無くても良いか。しかし、疑問なのだが、魔法産の金属は魔法を潰されたら消える可能性が有る。故に常使いするには性能的な不安が残り、売った後に魔法を解除すれば金を騙して奪い取った形に成る。だから換金は不可にしなければ、基本的に金属を買う側が損する可能性が増えた形に成る。魔法で出して居る物は魔法を消せば消える。但し、加工手段に魔法を使った場合に魔法は関係無い。要するにそれは食品を火で炙る様な扱いに成る為らしい。それなら火(魔法)を消してもそれで変化させた事による変化はそのままだからな。だからこそ前に炭素が有れば人工ダイヤモンドが創れそうって話に前に成った。何となく反芻してみたけど、これって物凄く大事な事じゃ無いか?召喚システムで完成品をそのまま獲るのでは無く、要は俺みたいに、召喚された奴に依って恒常的な強化をして貰うのは召喚システムが無くなってもそのままの可能性が有るのだ。まあ、召喚システムがどの様なシステム構築をされているかで変わる事で、博打な可能性も有るけどね。でも、仮に駄目だと成る場合、どういう扱いに成るのだろうか?外部の魔法の力には既に頼らず成立している以上、ああ、そうか。パソコンで例えるなら、動作環境の召喚システムが無くなる事でサポート外なり、劣化する可能性は有り得るか。後で召喚システムのエリアギリギリの範囲に行って、体の一部をエリア外に一度出してみる必要が有るな。おっと、話が逸れた。要は完全な魔法産の物は魔法を解除したら消える場合が有るから、魔法産の物の換金は論外に成る。そうなったらお金を騙し取っているのと変わらないからな。あくまで“消える場合も有る。で、有って百%消える訳では無い”つまり今の相手側の奴等は自分達の魔法産のそれらが魔法を解除しても消えないと証明出来れば……ってもう遅いか。色々と破壊しているから損害賠償が結局発生するだろう。その証明次第で損害賠償額は桁が変わるだろうから、儲け的に余裕で払えるかも知れないが。また他所に飛ばされた?穴の底?上を見る。やべ。一緒に居た人達全員と転移を行う。空間内の物を空間ごと持ち上げて、巨大な穴を創り、それでその穴の中に対象を持っていき、上に持ち上げた物を一気にその穴の中へと叩き付けて来る。いや、逃げられたけども。質量兵器ヤバいな。数じゃ無くて質量とサイズがヤバイタイプのだけど。しかし、対策はしたはずなのだが。あ、……此方の対策が現在座標に命綱を付けたり、楔を撃ち込んだりする事だとしたら、その撃ち込んだ物ごと移動させられた奴。これを封じられなければ要は危なくなったら他所へ飛ばされて仕切り直しをされてしまう。つまり、戦闘での撃破はかなり面倒だ。仕方ないか。先の賠償金の削減方法を伝えて、被害総額を払って貰おう。金を騙し取るのが問題なのだから、実際に貴金属を売っていた。又はそれと同じ状況に出来るなら、詐欺をしていた事実自体が消える。まあ、器物破損罪的なのは残るし、折衷案では有るが、被害賠償金額はだいぶ下がる。相手側に取っても悪い話では無いはずだ。代わりに此方に捕まるのがアレだと言うのなら、その証明に期限を設定すれば良い。何らかの仕込みはするにしても、その期限が過ぎたら改めて捕まえれば良い。詐欺を詐欺で無くす為の方法を提示する。これは被害総額自体を減らせるし、被害が縮小した分だけ金も払われていると出来るはず。後はこれを伝えれば良いわけだが、ね。どうするかを他の人と軽く話し合う。

「……それって一見賠償金の軽減策な様に見えるが、……払わせるべき物は全部払わせているから、結局は犯罪として扱う規模が変わるだけだろ?それに相手側が乗るか?」

「試してみないことには何とも」

「相手側を幾ら捕まえたくても幾らでも逃げられそうだからな。やるだけやってみるか」

「一発で戦闘不能迄持っていけば良いのじゃ無いか?」

「それが可能だとしたら、相手側全員か、空間シャッフルを行っている奴を戦闘不能にさせた場合ですが、そもそも空間シャッフルを行っている奴がそもそも此処に居る必要性自体が無いですよ。故に彼処の全員を倒しても回収されて終わるだけでは?」

「……倒したら終わり……で済むと思っていたよ」

「此処から砂漠地帯迄此方を跳ばせる射程圏が有る相手ですからね。町の外が砂漠地帯的な国では無いですし、国内に砂漠が無い訳では無いですが、飛ばされたのが仮に其所だったとしても結構な射程圏です。最低限、砂漠地帯と此処辺りの距離の半分以上の射程圏が無ければ成立しませんよ。県単位で見ても一つ二つの話では無い距離なのですから」

「……百キロ単位の射程圏とかぶっ壊れ過ぎだろ……」

「まあ、現状の理論上、能力の規模レベルは星半分を覆い尽くす迄ならやれる奴は居るかも知れませんよ……まあ、あくまでそれは理論上の上限値がですが」

「召喚システムの拡張を考慮し無くともそう言うのと戦う可能性は有る、と。最悪だな」

「まあそもそも能力による現象に限れば基本的にシステム圏外を気にする必要は有りませんから、まだやりようは有りますよ。あ、拠点襲撃された際の物はどういう事でしょうか?」

「多分今回の戦闘内容的にやられた振りだろう。取っている手法的に此方の拠点のシャッフルを綺麗に元通りにする必要性なんて無かったはずだったから」

「仮に別の奴が使っていたなら、……一定以上の遠くの距離に干渉したいなら、電波塔みたいに中継役が必要なのでは?」

「……それで中継役を倒せて、此処の敵らを確保出来たとして、空間シャッフルの大元の奴は野放しなままだ。意味が無いだろう。それじゃあ」

「うーん。まだ初期な事を考えると何か力の規模が違いすぎるのですよね」

「その答は出ているだろう。中継役を用意すれば射程圏を延ばせるってさ。……それより、罠の方はどうなっている?」

 通信機器で支部長に連絡する。

『罠に付いては、そうだな。もう少し相手側に力を使わせろ。もう少し使わせれば探査系能力の探査の前提データには十分だろう。そしたら交渉でもしてみようか。探査能力で探査さえ継続して出来てしまえば、ガン逃げするにしても相当面倒だからな』

「支部長は頼りに成りますね……」

「でも、それなら何で直ぐにやらなかった?」

『探査能力の性能が強力な代わりに、それを動作させる為に必要なエネルギー量が多い。大技ドンドン撃ってくる様な奴じゃ無いと一、二回の戦闘では探査能力を発動出来ないくらいには』

「性能が高い代わりに必要な物も多い。妥当ですが、ああ、捕虜に仕込んだのはエネルギーの一定以上の採取ですか。相手に魔法を掛けた訳じゃ無い訳ですから」

『さて、話している間に揃ったな。標的の座標は、砂漠地帯だな。砂系能力に気を付けろ。座標へは此方が転送する』

 そして砂漠へと俺達は砂漠地帯に転送され、一先ず水を辺りにぶちまける。……砂を泥に変える為だ。砂のみの操作能力ならこれで潰れるが?

「……流石にそうは行かないか」

 そして砂嵐が発生する。水膜を張り、それにより砂を泥にして、シャットアウトしつつ、制御し、砂を退かしていく。其所に瓦礫の弾丸が連発して飛んで来る。ハンマーを先の氷を壊した人が振るい、衝撃波がそれらを一気に破壊する。

「そんな無茶苦茶な」

「武器が特別でね。いわゆるインテリジェンスウエポンだよ」

「……意思持ち武器ですか。中二心がくすぐられますが」

「お喋りは後だ。一先ず攻撃を凌ぐぞ」

「はい。って、うおっ」

 気付けば足が砂に沈んでいた。此方に気付かれない様に足が拘束されていた訳だが、泥には水が含まれる。そして水が“どの様な状態でも操れるなら、結果として泥も操れる”まあ、鍛錬期間が短かったのだから、精密度は其処まででは無い。けれど相手側の攻撃を軽減するには十分。そして暫く攻撃を凌いで居たら、攻撃が止んだ。逃げられた様だ。解除して追い掛け、

『まだだっ。解除するな』

「は、はい」

そして力が弱まった所で攻撃が来たが、言われたお陰で対処が間に合う。

『セーフっと』

そして少ししてまた攻撃が止んだ。力は解除せず探査を頼む。

『今度は移動した様だ。此方がまた転送する。では行くぞ。次は雪山だ』

 そして転送を再び行う。どこかの雪山か。……標高が高いのか、ある程度空気が薄い。……氷雪の制御?それなら、……其所で結構な人数が血塗れに成るが、遠隔で回復される。

「……な、なにが……」

『……恐らくはダイヤモンドダストだな。要は極小の氷の粒が辺りに大量に舞っていて、それがナイフの役目を果たした。制御して氷の粒を退かせ』

「……解りました」

洒落に成らんな。そして氷の粒を制御して退かして行く。其所に雪なだれが起きてきた。

「やばい、転移を」

「その必要は無いぜ」

ハンマーが振り下ろされ、此方側に来るはずの部分の物が衝撃波に依って退かされた。

「……あ、ごめん。やり過ぎたわ」

 だが、今居る地面は湖の上の氷の床だった様で、辺り一面が崩落する。転移で安全地帯に移動した所で湖の底に何らかの設備が沈んでいるのを見付けた。よく考えてみたら、雪山の内側に居た方が制御もし易いよな。なら、有っても不思議では無いか。と思ったら建物が消えた。……えぇ……建物を丸ごと移動させたのか……だが、

「一先ず隠しただけかも知れないから行ってみようか」

「そうですね。行きましょうか」

そして暫く調査をするが、それらしい物は見付からなかった。

「光学迷彩か何かなら辺りをぶっ壊してみるか?」

「ですね。もう少しやってみましょうか」

「でも特殊な空間に逃げられたとか有りそうじゃ無いか?」

「前提条件的な意味で有り得ませんよ。独自な特殊空間なんて物を造れるのは召喚システムの作成者側だけです。でなければそもそも召喚システムの範囲外に成ってしまいますからね。その結果として能力が機能させられませんよ」

「……なら良いのだが……」

尤も、例外も有り得るが……。

『水霧君。真偽判定に反応が有るのだが?』

「……まだ未検証な例外が有る可能性は有ると思っただけです。……尤も、それが成立するなら、他者の強制長距離輸送が最強な環境に成りますが」

『……解った。対策を創って置こうか』

「そう言えば武器が手元に戻るアレって密室とかに隠れられたらどうなるのですかね?」

『継続して持ち主側に、ね。まあ、力を解除せずほっといたら、に、限る話だが、延々と引っ張られ続けて、潰れる……とか成るかもしれん。流石にそれは仕様次第だがね』

「……うーむ。長距離輸送と言うか長距離転送したら召喚された奴は簡単に詰むなんてシステムは流石に根底的な意味でアレでは無いだろうか?」

「それはどうせシステム作成者の意図的なシステムホールなのだと思いますよ。作成者側には関係ないのではないですか」

『しかし何で逃げ一辺倒かね。別に勝てない訳じゃ無いだろうに』

「……そもそも能力の性能的に、殺されるなり、捕まるなりしたら運用上痛すぎるから、生き延びるなり、捕まらない事を前提条件に据えていて、其所に強さ等は関係無く、逃げ一辺倒な方針にしているだけなのでは?」

『……ふむ。まあ、あの性能だ。同じ所属の他の奴等の移動手段の根底手段でもおかしくは無いか。まあ、今は此処の調査をしようか』

「はい。手早く済ましましょう」

 そして調査を再開する。召喚システムを此方側が手にする上で必要なのは、潔白証明だ。でないと、召喚システムの作成者側が紛れ込んでいる可能性が発生するためだが、と、成ると、公正な活動をしている出来る限り大きな組織の所有物に成る展開が望ましい。それだとロマンも何も無いが、召喚システムの作成者の目的的に一定量以上の大量エネルギーが足りないから皆に召喚システムを与えたはずなので、……人材が過剰に豊富に有る奴の行動では無いのだ。いやまあ、大抵の組織は星の半分分の住民人数を超える組織人数なんて居ないだろうけども。デカさは強さだと言う人も居れば、巨大化は負けフラグと言う人も居る。例えば大きく成ることで、毒の致死量のボーダーラインが上がる。身体全体が大きくなり、それでもちゃんと動けるならデカさ相応の筋力や頑丈さも同時に有る事に成る。

 ……但し、攻撃を的が大きく成る故にくらいやすく成るし、筋力や頑丈さについても、魔法有りなら魔法の実力次第で普通に逆転される。更に命中率の低い攻撃もくらいやすく成る。つまり、デカければ強いというのは何を重視するかで変わる話だ。この世界の召喚された奴の起こす、特殊能力の前提条件が召喚システムのフィールドだ。幾ら強かろうが、射程距離が有ろうが、大量エネルギーをぶっ放せようが、召喚システムのフィールドの外に影響を能力で直接及ぼすのは難しい。……いや、能力の効果で召喚システム内の部分の星を壊して、間接的に星の自転バランスを壊して大惨事……くらいなら可能かも知れないが、……自殺や破滅願望の有る奴でも無ければ、そうするメリット自体が無い。……星を半分壊すレベルの力を使っても直接の復讐が不可能な相手が星を壊した所で死ぬ奴しか居ないかは疑問だからね。まあ、追い掛け続けないで此処を調べていても良いのかと言うと、基本的には此方が探査しているのに使っている理屈がバレない限りは大丈夫なはずだ。相手側に何かを追加する類いの物では無いし、基本的にヒントは無いに等しい。例えば追跡相手にターゲットマーカー的なのを設置するのだったらそれを破壊されたらアレだし、速攻でやらなきゃアレなのだが、そう言うのは無いし、制限とは言えその制限を超えた奴が他所から襲来したらどうするのだろう?今は存在しないから来た時に考えれば良いか。もしもそうなるとしても完全に大抵の奴が無能力な状況よりかはマシな状況なのだし。

『すまん。調査を切り上げてくれ。彼方は追跡された理屈が解んないなら解んないなりに、徹底的に色々な追跡潰し仕様を増築し始めている。これなら速く追わないと不味そうだ』

 そして転送を再びして貰い、その場所へと向かうのだった。能力の種類数と言う物は、類似の内容の能力を許容するだけで、一気に跳ね上がる。例えばゲームで言う固定ダメージを与える能力。固定ダメージの数字量を一でもずらせば別能力なら、理論上はあっさりと膨大に能力は創れる事に成る。……まあ、能力の数では無く質で誇るので無ければ、こう言う水増しが可能な訳だ。単純な話として、能力を持つ事に依るデメリットを無い扱いにして、考慮し無いで、それ以外の項目が同じなら、スペック上は能力未所持より、能力を所有している方が強い。基本的には同じスペックなのに、片方だけが武器を使える状況な訳だしね。いや、技量どうこうでは無く、カタログスペック上は、に限る話な訳だが。どうせ追撃が来るのなら、それを利用してしまえ、の結果、ドッペルゲンガーの大群を用意して来やがった。まあつまり、此方とカタログスペック上同じ奴等とプラスアルファが敵側に居るのだ。少数で来たのが仇に成った。何の技術も無い只のゴリ押しで倒すのは物量的な意味で不可能だ。ドッペルゲンガーのコピーの精度がどうなるか次第だが。其処で通信機器からコードネームをくれた女性の声が響く。

『残念だったわね。それは対策済みよ』

 そしてドッペルゲンガーは全て拘束され、一切動けず、此方の攻撃で倒された。そう言えばそんなの有ったな。浄化の力を貰ったのはあくまで外付けの物で、結果として、彼女の支配下と同じエネルギーが相手側にも複製された為、それを起点に彼女が拘束を行ったのだ。だが、だからと言って、それをコピーし無いのなら、相手と此方の間で此方が優位な形での個体差が発生する。それなら何とか成るはずだ。後は残った奴等を、其処で相手側の一人が言う。

「ふざけ過ぎだ。まともな対策無ければ致死相応の奴を何個ぶつけたと思っている?」

「……何も対策無しに戦闘に臨む訳も無いだろう」

「そりゃそうだが。……はぁ。今此処から逃げるだけなら簡単だ。だが、延々と追ってこられるのもアレだしね。なので、話をしよう。要求は何だ?魔法金属に付いてなら其方の捕虜に成っていた奴らから既に聞いているが」

『通信機器越しで済まないが、君等の賠償責任額の軽減策を此方は提示が出来る』

「……どの程度だ?そして対価は?」

『購入後に未納品にさせる詐欺を、単に納品にミスが有っただけ扱いにしてしまえば良い』

「……つまり、納品した魔法金属を本物の金属にしろと言う事か?」

『そうだ。それで賠償責任額は一気に下がる。此処のポイントは既に納品した魔法金属を本物の金属にする事。それで納品した物に不備が有ったので直しましたと言う話に出来る』

「それが出来るなら最初から本物の金属として金属類を納品しているに決まっているが」

『確かに。だがもしそれが出来れば、金で罪を贖う場合、君等の儲け的に余裕で払える要求だけに成る可能性が有る。試してみる価値は有ると思うのだが?』

「つまり此処で君等に俺が捕まれ。そうしたら今の手段の便宜を計ってやるって事だな?悪くないが、捕まる前に契約系の能力の奴に依る契約を要求する」

『……解った。なら、契約能力者は此方が用意しよう』

「いや、両方が用意する。契約破棄をどちらもが出来る形にするぞ」

『……解った。それで良い。契約内容を煮詰めようか』

 そして契約を結ぶ事に成った。しかし、独自空間の中に退避か。仮にそれが出来るとしたら召喚システムの開発者側が用意した特殊空間が基盤に成るはずで、つまり専用空間では無い。だから他の奴が努力次第で場所を突き止められる可能性が有るし、召喚システム開発者側に対してはむしろ目立つ結果に成るだろうし、特殊空間に隠遁して外部情報断絶とかやっていたら、その後に召喚システム開発者側の作戦が成功してヤベーの大量召喚とか成ったらアレだし。そして一通りの契約が終わり、相手側の一部の奴が連行される事に成った。結果、要は簡素なホテルの一室に缶詰させる形に成った。相手側の意図的に、契約を棄却する場合は、魔法金属類を本物の金属に変えるか、此方がそれで払わせる金額より損を被る展開に成ったら契約を棄却して来るだろうから、下手な要求も出来ない結果だ。此方は暇になったので、鍛錬でもするか。実際泥は制御出来たのに、水蒸気の制御が完璧には出来ないのは、一重に小さすぎる物の知覚と、小さすぎる物を制御するのが難しいからだ。砂漠の奴は蒸発する前に既に把握済みの奴だからできた訳だが、空間把握の力は有るし、白菊の身体機能の補助で色々と見える様に出来るとは言え、水蒸気迄簡単に見える様にしたら、他の物迄色々と見えすぎてしまうのだ。結果として、調整が済む迄は制御がやれたとしても、大味な制御しかやりようが無いのだよな。ラノベ的な最強能力を出すのは勝手だけど、どうやってそれを理論的に実現するかの部分が書けないなら幾ら強いのでも論外なシステムなのだが。ゲームならそもそも考慮されないのだろうが、身体能力の強化は単に効果を上乗せするだけなら、過剰に身体機能が機能して、対応したアレルギーの発生が簡単に起きる。いや、肉体強化とかやっている奴が何種類かのアレルギーに苦しまされていたから解った話だけども。食事後の相手にバフをぶつけてヤバイ結果の起きる食品アレルギーとか無理矢理起こせるのだろうか?いや、それは現実的では無いか。都合良くそう言うのを食った時じゃ無いと無理だし、だからと食事するパーティーに招いて色々と食べさせてから殺しに掛かる的な感じでもし無いと現実的とは言えないが、そんな方法をしたら、流石にパーティーに招く行為その物が他から警戒される原因に成りかねないからな。そう言えば二つの空間に固定した上で別々に制御すれば、引きちぎるくらいならアレはやれる様な?まあ、使う機会が無かっただけか。アレが全部と言われた訳でも無いし。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る