第4話 俺の力はないもない!だが・・・!

俺は、爺さんのコネでなんとか国王に会うことができた。

しかし、俺には手錠と足枷が繋がれている。

厳重だな、さすが国王、娘を萱の中に入れたままなわけだ。

「んで、人間、お前のためなんかに時間を割いている暇など私にはないのだが?」

すげー威圧感、どうやったらこんな厳つくなれるんだ?

俺より、少し背の高いだけで、こんなに差はつかないはずなんだけどな。

「何を黙っている。お前なんかのために時間を割いている私が馬鹿らしくなってきたぞ。じぃがどうしてもというから、ここに連れてきているのだぞ。」

仕方ない、まずは仕立てにでないと。

両脇には矢持ちの兵隊が五人ずつ。

国王の両脇には剣持ちの兵隊が一人ずつ。

そして、国王の斜め後ろには爺さんか。

国王は今かと俺の言葉を玉座に座り踏ん反り返っている。

「失礼いたしました、国王様。この度、時間を設けて頂きありがとうございます。俺は、候と申します。先日の儀式で召喚された…。」

「そんな事は分かっておる。娘とも親しくなったそうじゃないか。しかしな、貧弱な人間になんかは、俺は興味がない。娘が聞かなかったもので、あの部屋に閉じ込めたまでだ。しばらくすれば、お前も牢獄に送ってやる。」

そうやって、先代の国王がしたんだな。

そして、恋に落ちたと。ゲームのシナリオなら娘はなんとか害なく守るために部屋に閉じ込めているんだな。

それなら…。

「つかぬことをお伺いいたしますが、この手帳の存在は知らなかったのですか?」

そう言って。ポッケから出した手帳に国王は動揺した。

「なぜ、お前がそれをもっている!!いくら、あの女の遺品を探しても出てこなかったのに!」

そう叫んだと同時に地響きと窓の外の霧が濃くなっていく。

なるほど、これがエルフの力。こえ~。

「これは、ある所で見つけまして。娘さん、あと何年生きられるんですか?」

「そのことまで…。こんなやつ放っておけん、今すぐに牢獄に入れろ!!」

兵隊が折れの枷を持った時、違和感を感じた。

「少し、お待ちください!俺の話を聞いてください!娘さんを!フィーネを!」

娘の名前を口にしたとたん、国王はピタリと止まる。

「なんだ」

怒りの形相で俺を見る。

「最後にお嬢さんに会ったのはいつです?」

「一昨日だ、それがどうかしたか。」

「エルフの寿命は大体何年生きられるんだ、俺はその願いを叶えられる。取引をしないか!?」

「小賢しい、人間の分際で。人間の寿命は実に短い。なのにどうしてそんな、はったりが言える。」

「確かに俺には、国王のような霧を濃くしたり、地響きを起こすことなんかできない。しかし、俺はお前の奥さんが、ツユカさんが転送されてきた年より、はるかに若いはずだ。俺にはまだ時間があるはずだ。しかも俺は男だ、体力だってある。」

「何が言いたい、お前になにができる。私のなにが分かる。」

「わかるさ、ツユカさんを早くに失い、フィーネを授かった。お前は守ってきた。しかし、寿命が純粋なエルフよりも短いことに気が付いたお前は娘を部屋に閉じ込めた。自分より早く大切な人が居なくなるのが嫌なんだろう、悲しいんだろう。それなら、俺の取引き、いや、俺を国王の駒として、使ってはくれないだろうか。」

「まさか、じぃ、こいつに話したのか、洞窟の事を。」

下がっていた爺さんが、一歩前に出て一礼をして「はい」と一言言った。

その言葉に飽きれた国王は、立ち上がり、

「何が望みだ、申してみよ、物によってはフィーネの寿命が延びた暁には叶えてやろう。」

罠にもすがる気持ちなのだろう。

昨日の爺さんの言葉には、何人もの兵隊が手や耳を切られ、者によっては心臓を取られて帰ってきた者もいるのだとか…。

魔女、こえ~

でも、

「国王様、俺は萱の中にいるフィーネではなく、外の湖の畔で微笑んでいるフィーネがみたいです!そのために、外出許可ともっとこの世界について教えていただけないでしょうか。」

「注文が多いな、だが、私も久しく見ていない、フィーネの笑顔を。」

「では!」

「だが、明日から3日のうち帰って来なけば、死んだ者とする。」

「かしこまりました。」

俺は、国王に一礼し、ひとまず殺されずに済んだのだった。


国王からは、この城の書庫を借りた。

この世界の事、各層の事、そして、各人種の事が書いてあった。

人種について調べていると

「こう様、何をお調べに?」

声をかけてきたのはフィーネだった。

湯上りなのは、少し髪が濡れていて、バスローブを着ている。

なんてエロいんだ、俺の息子がまた反応してしまうだろ!

「国王に書庫を借りたんだ、明日から少し旅立つ。」

「お父様にお会いできたのですね、しかしどちらに?」

「それは、言えない。でも、俺が帰ってきたらまた、城の外の湖に行かないか?」

「それはいいですが、あまり危険なことはなさらないでくださいね。その…」

なんか、顔が赤いな、、、

「なんだよ、また話し相手になるよ」

「そうですね、お願いしたいです。お友達いないので」

「じゃ、お前の初めての友達だな。名前だって、候って呼び捨てでいいぞ?」

「しかし…」

「俺だって、フィーネって呼ぶからさ。な?」

そういった俺に、満面の笑みで

「わかったわ!候!」

と、言って飛びついてきたのだった。

おっぱいギルティ…



「転生者が7層に来るそうです、カリファ様」

「そう、思ったよりもエルフは早く折れたのね。」

ワインを片手に写真を眺める。

「カリファ様、7層の舞台準備が整いました。」

「そう…じゃ、小さき者に銘じなさい、存分に遊んであげなさいと」

「かしこまりました。」

いらっしゃい、坊や、我が後継者に選ばれた器よ。」







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