第2話 私の胸ばかり見てないで!!

俺は、見知らぬところで、目を覚ました。

どうなったんだっけ、確かボタンを押したらでかい穴に落っこちて、起きたら目の前におっぱいが…。

「お目覚めですか、神様。」

「あ、うん、起きた…ってだれ!?」

そう言って、やってきたのは、身なりの整ったエルフだった。

神は金髪、目は青色、白と黄色を特徴としたワンピース、、、、

ん?おれ、色見えてね!?!?

動揺している俺にエルフが微笑みながら、話し始めた。

「ここは、他種族が存在し、共存するウェザードホームでございます。伝承によれば、1500年に一度、天から神が現れ、この世界を救ってくださると言い伝えがございまして、丁度今年が1500年目、儀式を行っていた際、あなた様が天から現れたのでございます。」

淡々と、話してくれるのはいいのだが、これはゲームか?

俺、夢でも見てんのか?

だって、色がわかるし、なんせ、こんなにおっぱいが大きいエルフが目の前に…。

「あ、あの…、神様」

じろじろ見ている俺に少し照れくさそうに、椅子に座ってモジモジさせながら、エルフが俯いて言い放った。

「あまり、その、胸ばかり見ないでいただけますか?、は、恥ずかしいです。」

「そ、そんな事はないぞ。」

そう言ったものの、図星だった。

俺は高校生なんだよ、お年ごろ!

今まで色が分からなかった俺には、初めから刺激が強いの!!

と、内心思いながらも、コホンっと咳ばらいをし、

「話がもっと聞きたい、名前はなんて言うの?」

「あ、この層に住む、村長の娘、フィーネでございます。」

フィーネ!なんと可愛い名前、今にもニヤけてしまう、いや、既にニヤけている。

にしても、層?それに、俺は何の神なんだ?

疑問が多い中、とりあえず、フィーネと打ち解けようと

「俺は候、よろしくな、フィーネ。悪いんだが、俺は別世界から来ている、もっと、この世界の事を話してくれないか?」

不思議そうな顔で、

「別の世界…。候様ですね。こちらこそ、こんなただのエルフになんなりと」

そう言った、フィーネは話し始めてくれた。

「ここは8つの層に分かれており、天空に存在する世界です。外で話しましょうか。」

椅子から、立ち上がった、フィーネは手を差し出してくれた。

白い手にまた、ニヤニヤしながらも手つかんだ。

外に出ると、星が輝き、少し霧のかかった森の中を歩きだした。

色が見えるって、素晴らしい。

これが現実ならいいのに。

「この層は、エルフの住む第四層霧が一年中続き、3m先も見えない国なんです。

私の父はモル・キース、このエルフをまとめる王です。」

そう歩いた先には湖があり、森の先はうっそうと茂っていた。

しかし、その中にも、光が霧に反射して見える。

「あの光が、この天空の端。候様が先ほど出てきたのが、私の部屋のある城の離れの塔です。王のいる、本宮殿には、身分証がないとか入れません。あなた様が離れにいたのは、まだ本当に神様なのか用心深い王は入れなかったのです。」

なるほどな、いくら伝承通り天から現れたとしても、いきなり目覚めておっぱいに鼻血を出した俺は、信じてもらえないわけだ。

そりゃ、そうだ。他から見たら、変態だ。

「なるほどな。でも、確か儀式にはいろんな種族の女の子たちが居たが、なぜエルフの国に俺が?」

「それは、あなた様の背丈からして下界の人間に見えましたし、一階層で儀式を行っていましたが、蛇族(じゃぞく)だと暑すぎて、死んでしまいますし、二層の狼族ですと、食べられかねません。三層の妖精族は、小さすぎて運べません。五層の人魚族は水からでられませんし、六層の吸血族は血を吸われかねません。七層は誰も住んでおりません。植物だけが生えています。八層は魔女が住んでいると聞いています。」

魔女ねぇ、そこが気になるな。しかも、確か儀式のとき人魚も魔女も見ていない。

「エルフが一番俺に近いってわけか。てか、下界って、人間だってなんでわかったんだ?」

「心臓です。心臓は、種族によって異なります。心臓の速さ、大きさ、数。種族によって様々です。一番の決め手は、血は赤かったのと、心臓があまりに弱かったからです。」

「血は、良いとして、どうして弱いとわかる。」

「握ったからです。」

すごく、まじめな顔で、フィーネは当然のように言った。

にぎる!?どうやって!解剖でもされたのか?と思った俺は、すぐさまシャツを捲る。

「か、解剖などしておりません、は、恥ずかしいので、洋服を下ろしてください。」

恥ずかしそうに、顔に手を覆ったフィーネは、そっぽを向いた。

「あ、わ、悪い。」

「マナによって、触ってもらったんです。」

「マナねぇ」

「マナは私たちの見方です。この世界の唯一の中立者といいますか…。疲れましたよね、帰りましょうか」

そう言ったフィーネに俺は、一言付け足した。

「俺は人間だ、それをわかっててなぜ、

あと!俺は何の神なんだ?」


「この世界の救世主、天候の神様、ウェザード・エンペラーでございます。」

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