第6話 卒業式

 部室である美術室で、僕はコユキと会話を交わし、手を取り合ってキャンパスにデッサンをしていた。


 すると突然、美術室のドアの扉がガラッと開いたのだ。中に入って来たのはユウコであった。彼女と僕は同級生で、ユウコは去年まで美術部の部長を務めていた。


 ユウコは美術室に入ると僕とコユキを見つけ、こんな言葉を投げ掛けたのだ。

「タケシ君。やっぱり美術室に来てたんだ!」


 僕に対してユウコはこう言い、僕の顔を見て嬉しそうな表情を見せた。僕は慌てて握っていたコユキの右手を離し弁解するよう、こうユウコに言ったのだ。

「何で、俺が美術室に居ること知ってるんだよ!」


 この言葉を聞いたユウコは、こう言った。

「さっきケンジ君に会ったら……タケシ君、今日は学校に来てるって……だから、美術室に居るんじゃないかと?」


 僕はさっきまで、コユキの手を握って居たのを見られたのではないかと気になった。しかし確かめる術もなく、話を逸らすのに受験の話をしたのだ。

「ユウコはさぁ 第一志望の大学はどこ?」


 するとユウコはこう答えた。

「わたし北大だよー! タケシ君は?」


 この質問に僕が答えようとした瞬間、コユキがこう言ったのだ。

「タケシ先輩は千葉大ですよねー。わたしは来年、東京の芸大目指しますよー」


 こんな事をコユキは二人に言い、美術室の空気が張り詰めたのだった。


つづく…

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