第7話 卒業式

 美術室で僕がコユキの手を取ってデッサンして居ると、同じ美術部の同級生だったユウコが部室の中に入って来たのだ。


 そして其処で、僕はユウコに大学受験の話をしたのだが、後輩であるコユキが僕より先に、僕の進路の話をユウコにしたのだった。


 その時、ユウコは少し戸惑った表情を見せ、僕とコユキにこう言ったのだ。

「タケシ君。もしかして……わたし、お邪魔だったかしら?」


 この言葉を聴いた僕は弁解するよう、こうユウコに言った。

「そんな事ないよ! ユウコ…」


 するとコユキが僕とユウコに向かって、こんな事を言ったのである。

「わたし2月14日に、先輩と会う約束したんです」


 僕はコユキのこの言葉を聴いて、ユウコがどう思って居るのか凄く気になった。そして恐るおそるユウコにこう聞いたのだ。

「ユウコさぁー。別にコユキと会うだけだし…」


 この時、僕は自分でも何の弁解にもなって居ないと思った。しかし取り敢えずこの場を凌ぎたいと言う思いで、こんな言葉が口から出たのだ。


 するとユウコは僕に向かって、こんな風に言ったのだった。

「タケシ君。バレンタインデー、楽しみだねー」


 この言葉に対し僕は何も言わなかったが、コユキがこう返事をしたのだった。

「そだねー」


つづく…

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