第69話
礼二は、自分の行動を反省しながら大鎌を構えた。そこに、2人ほどのダークエルフが必死の形相で突っ込んでくる。
「おらっ!」
無造作に大鎌を振ると、先頭を走っていたダークエルフの頭が吹っ飛んでいった。が、2人目は、姿勢を低くして突っ込んでくる。
「死ねぇ!」
真っ青な刃には、致死性の毒が塗ってある。2人目のダークエルフは勝ちを確信して、頬をゆがめた。
バキッ!
「・・・・は?」
あと1歩でナイフの間合いに入るというところで、ダークエルフの視界が90度横に曲がった。
ジャブ並みのスピードで繰り出された礼二の蹴りが、2人目の顎の先端をとらえ、首の骨を折っていた。
大鎌を構えなおした礼二が周りを見渡すと、ほとんどのダークエルフはかけらも残さず死んでいた。
「ふう~~、やってやったな、俺たち」
「うん!。私たちでも倒せたね!」
「このまま進軍だ!」
「そうだね。スキルのインターバルが経ったら、また出発しよう」
やり切った表情の天使たちは、おろおろしているミリナの前で地面に座り込んだ。その様子を、生ごみでも見るかのような目つきで礼二はにらんでいる。
(これで終わりならいいだんが・・・・・)
今まで戦ってきた部族は、精鋭たちだけでかかってきていた。今回も精鋭たちだけでかかってきていたが、礼二はダークエルフたちの死に際の笑みが、どうしても気になった。
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「第1陣が戦死いたしました」
「・・・・・第2陣は?」
「もうすぐ着く頃かと」
「よし、第3陣、弓構え!」
天使たちが座り込んでいる地点から50mほど離れている位置で、ダークエルフたちはいっせいに弓を構えた。
「射ろ!」
100本以上の毒矢が、空中へ放たれた。元来、エルフたちは弓術に長けている。精鋭に選ばれなくとも、50mほどの距離で動かない的を狙うなど、たやすいことだ。
さらに天使たちに近い位置にいた第2陣は、頭上を飛んでいく矢を確認すると、真っ赤な刃を構え、走り出した。
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「っ!、避けろ!」
礼二は思わず叫んでその場から飛びのいた。が、その声に反応できなかった天使たちは、もろに毒矢をその身に受けた。
が、悲鳴が上がることはない。驚きはしたものの、彼らの痛覚はほとんどない。逆に傷を負わされたことに対して、いきり立った。
「こっちがいい気分なのに、なんて、こと、を・・・・?」
勇んで立ち上がった1人の天使は、体の感覚が急激に消えていくのをようやく感じ取っていた。
※次回更新 8月1日 日曜日 0:00
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