第27話


 メッシーナの目の腫れが引いてから部屋に戻ると、ヘレナはまだ眠っていた。


 「・・午前中、支度の準備させちゃったから、疲れてるのね」


 「ああ、みたいだな」


 2人はどちらともなくベットに腰かけて、お互いに見つめあう。


 「ねえ、さ」


 メッシーナが頬を赤らめて、口を開いた。


 「なに?」


 「私たちって、恋人同士ってことでいいんだよね?」


 「ああ、もちろん。どちらかというと、俺のほうが信じられないよ」


 「わかってると思うけど、私、王女だよ?」


 「うん」


 「付き合うなら、結婚前提だよ?」


 「うん、それもわかってる。メッシーナにふさわしい男になるよ、俺は」

 

 「っ!、・・・ありがとう」


 2人の距離がだんだん近づいていく。まず手が触れ、指が絡み合う。次に顔が・・・・。


 バサ、


 すぐ横で布団がめくれあがり、2人は慌てて手を放した。


 「ふああ。よく寝た。あれ、帰っていらしたんですか?」


 「え、ええ。今帰ってきたところよ。ヘレナはよく眠れた?」


 「はい。おかげさまでぐっすり。・・ん?、姫様、顔が赤くないですか?」


 「え? そ、そんなことないわよ?」


 ((タイミング、悪すぎる)わよ)


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 次の日の早朝、3人はそそくさとヘルス王国を出発した。あのパーティーのあと、直立不動の状態から目覚めたアレン卿は錯乱し、暴れまわったそうだ。


 廊下に客が避難してみると、主役であるアルカード王子が顔をぐしゃぐしゃにして泣きわめていた。


 (誕生会は、急遽お開きって感じかな)


 礼二は窓の外をぼーっと眺めていた。行きと同じように御者席にはヘレナがいるので、馬車内はメッシーナと礼二の2人きりだ。


 礼二がメッシーナのほうを見ると、ばっちり目が合った。その瞬間、すごい勢いでメッシーナは横を向いた。


 (なんか、かわいいな)


 礼二がなおも見つめていると、メッシーナはチラチラと視線をこちらに向けてきて、どんどん顔が赤くなった。


 「なあ、メッシーナ、」


 「は、ははははい!?、どうしたの?」


 「少し落ち着けよ。ちょっと聞きたいことがあっただけだ」


 「ん、んん。何かしら?」


 「男爵って王族と結婚できるのか?」


 「はう!?」


 せっかく落ち着いたメッシーナがまた慌てだした。


 「え、ええ。法律的には可能よ。ええ。あ、でも父上に許可を取らなきゃ。って、付き合う許可かな、それとも、け、結婚の許可かな、ええ、っと」


 (ここまで取り乱すとはな。・・・俺も俺で、相当恥ずいが)


 ※次回更新 4月28日 0:00

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