第26話


 「はう⁉」


 アルカードはこの世の終わりみたいな顔をして固まっている。礼二も慌ててメッシーナに耳打ちした。


 「なんでそうなるんだよ」

 

 「・・・・うるさい、後で話す」


 そう言うなり、メッシーナは顔をそむけてしまった。


 「とにかく、そういうことですから私のことはあきらめてください! ほら行くよ」

 

 「お、おい」


 メッシーナは礼二の腕を引っ張って、その場から離れた。その場には大量の涙と鼻水を流しているアルカードが悲しくも取り残されていた。


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 「おい、メッシーナ」


 「・・・・なによ」

 

 「部屋にはヘレナがいるぞ」


 「!、・・・わかったわよ。今話す」


 パーティーの客が泊っている建物の踊り場で、メッシーナは足を止めた。


 「・・・・何が聞きたいの?」


 (俺からの質問型なのね・・・)


 「あ~、まず1つ目。さっき言ったことは本当?」


 メッシーナの肩がはねた。顔を下に向けて、しきりに指をからませている。


 「い、いきなりそれ聞くの?」


 「ああ、一番大切なことだ」


 「・・・・・・・どうしても?」


 「ああ、どうしても」


 「・・・ほんとよ。さっきアルカードに言ったことは全部ほんと」


 礼二は目を見開いて、戸惑っている。


 「わかってるわよ。レイにとって私が結構年上だってことも、身分違いだってことも、初めて楽しく話せた異性だから勘違いしてるだけかもしれないってのも、けど、けどね、」


 礼二は下を向いているメッシーナの両頬を手で挟んで、強引に目を合わせる。


 「あのな。まず、歳の差とか身分とかは気にしないでくれ。俺はメッシーナの気持ちが知りたいんだ。外見じゃない」

 

 「うん、わかた・・・」


 それっきり恥ずかしくなったのか、メッシーナは黙り込んでしまう。


 (これ以上言わせるのは、男として恥だよなあ)


 「メッシーナ、」


 「な、なに?」


 「さっきメッシーナが好きな人は俺だって言ってくれて、俺は正直すごくうれしかった」


 「! ほ、ほんと・・・?」


 「ああ、それでな、俺もメッシーナのことが好きだ。ずっと笑っていて欲しいし、俺の近くにいてくれると、俺はうれしい」


 メッシーナの目から涙があふれて、礼二の手にかかる。

 

 「ほ、ほんと?・・・ほんとにほんと?」


 「ほんとだよ。で、メッシーナは? 俺のこと、ほんとに好き?」


 「ほんと、だよ。レイは私が初めてそばにいてほしいと思った、男の子だよ」


 「ありがとう。・・・そんなこと言ってくれたの、メッシーナが初めてだよ」















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