第22話
「・・・・・なあ、」
「・・・なに~?」
「多すぎないか?」
「そうね。例年の3倍ってとこかしら。あの王子、成人だからかしら」
「成人って20歳だったっけか」
「うん。そう」
礼二とメッシーナはテーブルにへたり込んだ。テーブルの上には名簿が散乱している。
(これは、なめてたな・・・)
「・・がんばろうか、」
「そうね。頑張りましょう」
2人は体を起こして、名簿に目を通し始めた。似たような名前に、似たような顔つき。はては親戚だったりすると、そこも把握しなくちゃいけない。
((ややこしい・・・))
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パタ
「やっと終わったあ~~~」
「ああ、お疲れさん」
「うん。レイもお疲れ様」
覚え始めてから3時間、やっと大体の顔と名前が一致した。後は直前に軽く見直せば大丈夫だろう。
「少し早いが食事にして、今日は早く寝よう。明日に差し支える」
「それもそうね。ヘレナを起こしてくれる?」
「わかった」
ヘレナは夜に寝ずの番をするので、仮眠を取っていたのだ。礼二がゆすると、ヘレナは簡単に目を覚ました。
「・・・何かあったのか?」
「いや、そろそろ夕飯にしようかと思ってな。どうする?」
「そうしよう。私も空腹だ」
ヘレナが外に買いに行くというから、礼二も着いていこうとしたら休んでいろと怒られてしまった。
「・・することないな」
「そうね」
お互い疲れているせいか、沈黙が落ちた。
(あ、そういえば、)
「なあ、メッシーナ」
「ん?、なに?」
「あのアルカードとかいう王子に言い寄られてるの?」
「・・実はね、そうなのよ。だから代理として兄上や姉上ではなく、私になったらしいわ」
「やっぱりか」
「だから、ベットも2つしか置かなかったんでしょうね。パーティーで私のエスコートをするのは自分だと思い込んでるから」
メッシーナは心底迷惑そうな顔をした。
「もしかして村で言ってた前回のパートナーって、あいつ?」
「ええ、そう。本当にひどかったわ。だからってわけじゃないけど、今回は私のこと、ちゃんと楽しませてね?」
「ああ、すべてはお姫様の仰せのままに」
礼二がおどけてお辞儀をすると、メッシーナは笑顔を浮かべた。
バン!
「買ってきましたぞ、姫様。たくさん食べてください!」
見れば、入ってきたヘレナは手に抱えきれないほど食べ物を持っている。一応加工済みではあるらしい。
「そ、そんなには食べられないと思うわ・・・・」
「確かに3人分にしては多すぎるぞ。食べれんことはないが・・・」
※次回更新 4月23日 0:00
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