第18話


 「レイ、作法は頭に入れた?」


 「・・・一応、一通りは覚えた、はずだ」


 礼二はメッシーナと馬車の中で誕生会の打ち合わせをしていた。ヘレナは馬車を操っている。


 「ごめんね。同伴者がいないと、やっぱりいろいろ困るから」


 「いいや。それは、なんとなくわかる・・・・」


 この世界でもメッシーナは美人なのだろう。言い寄られることも多いと、ヘレナに聞いていた。


 「ヘレナ!」


 メッシーナは馬車の窓から身を乗り出して、ヘレナに話しかけた。


 「姫さま! 危のうございます」


 「あと、どれくらいで着きそう?」


 「・・・あと、3日くらいでしょうか」


 「ありがとう!」


 メッシーナは窓から身を引いた。


 「・・ホントに危ないぞ」


 「ふふ、心配してくれてありがと。このペースで行くと、今日は村に泊れるわよ」


 「宿屋でもあるのか?」


 「ええ、旅人用に貸し出しているわ。私の顔見知りもいるし、信用できる」


 しばらく馬車に揺られていると、確かに村が見えてきた。


 (それなりに大きいほうに入るのかな、あれは)


 「姫様!、着きますぞ」


 「わかったわ!」


 --------------------------


 村に着くと、村人がわらわらと出てきた。


 「ようこそ姫様。お待ちしておりました」


 中でも長らしき老人が代表して、挨拶をした。


 「こんにちは。お世話になるわ。ヘレナは知ってるでしょう? こっちはレイよ」


 「今回のパートナーさんは優しそうな方ですな」


 「そうね、前回の奴とは月とすっぽんよ。それに護衛役でもあるのよ」


 「ほうほう、それはそれは」


 老人は杖を突きながら、よろよろと礼二に近づいてきた。


 「よろしくのう。この村の長、コルレオーネじゃ」


 「こちらこそよろしく。レイと呼んでください」


 3人は荷物をおろし、宿屋に案内してもらった。木造の一軒家まるまる貸してくれるそうだ。


 「う~ん、いつ来てもいい部屋ね。落ち着くわ」


 「そうですね」


 (確かにいい部屋だ。きれいだし、家具もしっかりしてる)


 「時間も時間だし、夕食にしましょうか」


 「そうですね。村のものに頼んできます」


 ヘレナは外に出、礼二は必要なものを荷物から引っ張り出した。メッシーナはベットに寝転んで、くつろいでいる。


 「なに⁉」


 すると、ヘレナの大声が外から聞こえてきた。礼二は俊敏に靴を脱ぎ、手足の装甲を展開する。


 バン!


 ヘレナが乱暴に扉を開けた。


 「料理人が出稼ぎに行っていて、自炊してくれとのことです・・・・・」


 「そ、そんな・・・」


 (脅かすなよ・・・・)


 ※次回更新 4月19日 0:00

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