第17話
それからの礼二の生活は、巡回と読書、鍛錬にまみれていた。早朝に起きて、鍛錬。ランニングがてら巡回をし、シャドウボクシングも交ぜる。
食事をとり、午前中は読書。午後は鍛錬。その合間に巡回を2回はさむ。
夕方はメッシーナたちとお茶をし、巡回。
夕食後、ランニングをしながら巡回。
「平和だ・・・・・」
礼二は夜、巡回後に自分の部屋でつぶやいた。魔王攻略組になっていたら考えられないような境遇だ。
「あいつらにはせいぜい頑張ってもらおう」
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数週間後、鍛錬中だった礼二はメッシーナに呼ばれた。
コンコンコンコン
「どうぞ」
礼二が部屋に入ると、ヘレナもすでに来ていた。
「何かあったのか?」
「まあ座って」
いつになく、2人の顔は厳しい。礼二が座ると、話し始めた。
「父上、国王様から勅命が下ったわ。隣国の王子、アルカード・フォン・ヘルスの誕生会に代理として出席してほしいという内容でね」
「代理?」
「ええ。父上は別の王国と魔王攻略の作戦会議で大忙しだから。私にお鉢が回ってきたってこと」
「なるほど。で、行くの?」
「勅命だしね。行かざるを得ないわ。それでね、」
「俺はもとから付いていくつもりだぞ」
「ふふ、ありがとう」
メッシーナは礼二に笑いかけた。
「いつになる?」
「明後日出発よ。ヘレナも着いてきてくれるから、彼女のサポートをお願い」
「了解」
それから旅支度が始まった。隣国、ヘルス王国までは馬車で2週間。食料も服も、それなりに必要だ。
「レイの服はこちらで選んでいい?」
「別に護衛だけなら何でもよくないか?」
「何言ってるの。あなたも誕生会に出るのよ」
礼二の肩がビクンとはねた。
「え? え、ヘレナは?」
「私は騎士だからな。貴族たちの集まりには出れん」
「それを言ったら、俺だって!」
反論しようとする礼二に、よくわからない華やかな服を合わせているメッシーナがうれしそうに笑った。
「天使様は自動的に男爵位を得てるのよ。知らなかったの?」
(牢屋の中でどうやったらわかるんだ、そんなこと・・・・)
「うん、これでいいわね。ヘレナ、これとこれとそれを荷物に詰めて頂戴」
「かしこまりました」
「ちょっと待て。なんだ、そのチャラチャラした服は」
「レイ」
荷物を黙々と詰めながら、ヘレナが口を開いた。
「ん?」
「お前はお前の旅支度を整えたらどうだ? 服はぜ~んぶ姫様が選んでくださるぞ?」
(こいつ、自分のことじゃないからって・・・)
※次回更新 4月18日 0:00
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