第12話


 助け起こされたヘレナは、苦しそうにしながらも立ち上がった。


 「・・・私の負けだ。これから、護衛としてよろしく頼む」


 そういってヘレナは手を差し出した。礼二はその手を握りながら答えた。


 「こちらこそよろしく。色々教えてくれるとうれしいです」


 「その前に、ヘレナは礼儀を習いなおしなさい」


 メッシーナがジト目でヘレナを軽くにらんだ。


 「ひゃう!、・・・すみません」


 「でも心配してくれるのは素直にうれしいわ。ありがとう」


 「ひ、姫様~~」


 慰められたヘレナはメッシーナに抱き着いた。それを見て、礼二は居心地悪げに頬をかく。


 (・・・うん、仲がいいのはわかった。よくわかった)


 「それじゃ、レイ。軽く自己紹介も含めてお仕事の話をしましょう」

 

 「はい」


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 応接室に案内され、礼二は2人と向き合った。


 「では、改めて。私がグロッグ王国第八王女、メッシーナ・フォン・グロッグよ」


 「私が姫様の護衛騎士、ヘレナ・カシスだ」


 「えっと、異世界転移者、眞城礼二です。レイジか、レイと呼んでください」


 それから、礼二は仕事についての説明を受けた。ヘレナがメッシーナの近くにいるので、礼二は家の周りの巡回や、出先でのヘレナの援護などが主な仕事となった。


 一通り説明が終わったところで礼二がヘレナに質問をした。


 「巡回は四六時中やっておいたほうがいいんですかね?」


 「いいや。日に5回ほど、時間をずらしてやってくれ」


 「わかりました。・・・つまり、それ以外は自由にしていいってことですか?」

 

 「どこか行きたいところでもあるの?」


 今度はメッシーナが聞いてきた。


 「はい。自分の装備をそろえたくて」


 「そういえばそうね。レイは武具持っていないもの。ヘレナ、武具屋に案内してあげて。お金は後で渡すわ」


 「いいんですか?」


 「ええ、もちろん。その代わり、しっかり守ってね?」


 「は、はい・・・」


 そういってウインクをしたメッシーナは息をのむほどにきれいだった。


 「よし、レイ。私がしっかりと案内してやろう」


 「よろしくお願いします」

 

(さて、なにを買ったものかな)

 

 「あの、レイ?」


 「なんですか?、姫様」


 「あの、あなたって堕天使、なの?」


 メッシーナは言いづらそうに聞いてきた。


 「堕天使ってなんですか?」


 「えっと、魔王攻略から外された天使のことを言うんだけど・・。第八王女なんかの護衛だからそうなのかなって・・」


 「・・はい。確かに僕は魔王攻略から外されてますが、別に気にしてはいませんよ」


 「そ、そう? ごめんさないね、変な質問して」


 「いえ。大丈夫ですよ」


 ※次回更新 4月13日 0:00

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