第6話
礼二が収監されてから1か月、その日の昼食がなかなか来なかった。
(あのおっちゃん、風邪でも引いたのかな)
ガチャ、トントントン
突如上の扉が開き、足音が聞こえてきた。礼二は鞭を靴に変え、右足につける。机の一部を靴に変え、左足につける。残りは床に張り付けた。
もともと履いていた靴は、排水溝に放り込んだ。
「おい、」
「あれ? 昼食は?」
いつになく牢番の顔をは厳しかった。彼は言いづらそうに話しだした。
「王国魔法師師長がお呼びだ」
「・・・誰?」
「ミリナ様だ」
「ああ、そういうことか。ん、わかったよ」
礼二はあっさりと牢番に返事をした。牢番は鍵を開け、礼二を出した。
「お前、殺されるかもしれないんだぞ」
「まあ、殺されそうになったら帰ってくるわ」
「来るな、ばか。迷惑だ」
「そこはうそでもいいから帰って来いって言ってくんない?」
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礼二が案内された場所に行くと、そこは小さなホールのような部屋だった。クラスメイト達もいる。真ん中でミリナが説明を始めた。
「ここは黄道宮と言いまして、召喚された天使様全員で入ると、限られた12人に十二星座に基づいた更なるチートが授けられます」
(全員じゃないといけないから呼ばれたのか。それにしても他の奴らはいいもの着てるなあ)
彼らは贅沢な刺繍が入った、豪華な服を着ているが、礼二は牢番にもらったパーカーもどきにズボンだ。もちろん、くだびれてる。
「では、始めます。宮の中心に立っていてください」
(それにしても、クラスの奴らが俺をガン無視してるのが怖い・・・・)
宮の端っこでミリナが何かを唱え始めた。
「ぐあ⁉」
「いてえ!、なんだこれ⁉」
「い、痛いよ。これは」
クラスの数人が体のどこかしらを押さえて、うめきだした。どうやら痛みを伴うらしい。
「十二星座に基づくチートを得ると、体のどこかにその星座の紋章が刻まれます。それが痛みを伴うと聞いております。それと12個すべてが与えられるわけではないので、痛みを感じた人だけご報告ください」
(や、やばいかも・・・・)
礼二も左肩に痛みを感じ始めていた。耐えられない痛みではないが、これを報告した場合、どうなってしまうのかがまったく予想できない。
しばらく迷っていると、痛がっていたクラスメイトのうめきが収まった。
「・・・どうやら痛みは引いたようですね。では、ご報告をお願いします」
「その前に一ついいですか?、ミリナさん」
クラスの誰かが声を上げた。
※次回更新 4月7日 0:00
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