第13話 ボス戦
ついに来ました、エリアボスの出現ポイント!
腰あたりの大きさの2つの石の間を通れば、ボス戦が始まる。
「準備はいい、ゴンちゃん?」
『あぁ。いつでも大丈夫だ』
「【羅刹化】」
アイテムボックスから薙刀を取り出し、構える。
ひとつ大きく深呼吸して心を落ち着かせ、1歩踏み出した。
ーWARNING!! WARNING!!
これよりボス戦を開始しますー
GYAAAAAAOOOOO!!!!!!!!
現れたのは、筋肉隆々のゴリラのようなモンスター1匹と地につくほど長い手を持ったチンパンジーのようなモンスター2匹。
「【鑑定】」
《アームモンキー Lv10》
《アームモンキー Lv10》
《BOSS マウンテンウッホ Lv15》
ふっ。マウンテンウッホって.......。
ちょっと気が抜けたじゃん!
「ゴンちゃんは左のアームモンキーをお願い!先に終わった方からBOSSに取り掛かるよ!」
『了解』
ゴンちゃんの返事を合図に一斉に駆け出す。
「【サンダーボール】」
薙刀の刃の先端にサッカーボールほどの大きさの雷の玉が現れる。
「はああああああっ!!!」
薙刀をおおきく振りかぶり、アームモンキーの右肩から左のつま先にかけて大きく斜めに振り下ろす。雷を纏った刃先はバチバチと音を立てながら目の前の敵を切り裂く。
え?薙刀本来の使い方と違うんじゃないかって?気にしちゃダメだよ。私だって正解がわからない。
GAAAAAAAAAA!!!!!!
「っ!!」
鞭のようにしならせた腕をバックステップで避ける。
うわぁ、腕が当たった地面抉れてるよう。
チラッ、とゴンちゃんの方を確認する。
うん、大丈夫そう。
ひらりひらり、とアームモンキーの腕を華麗に躱しながら時たま【狐火】や【紅爪】で反撃をしている。
ボスが動く気配はない。
武器を薙刀から扇に持ち替える。
GYAAAAA!!!!
「【サンダーアロー】」
腕を躱し、相手が体勢を立て直している間に、雷の矢を打ち込む。
扇の骨から電気を帯びた細い矢が大量に発せられ、次々とアームモンキーに突き刺さる。
GUAAAAAAA!!!!!!
「【サンダーアロー】」
更にもう一回!
うっ、ちょっとやりすぎたかな?
もう猿というよりハリネズミになってる。
動きが次第に鈍くなる。えいやっ、と扇をその頭に振り下ろす。
ズドン、と大きな音がして猿の足が地面に沈んだ。それに頭が扇の形に凹んでいる。
G、GYaaa.......
アームモンキーは光のエフェクトとなって消えた。
攻撃力0にしてこの有様。さすが【羅刹化】。それとも扇?どっちもか!
GYAAAAAAAOOOOOO!!!!!
BOSSが動き出した。
その右手には棍棒が握られている。武器を使うということはそれだけ知恵があるのかも。
ゴンちゃんも丁度モンキーを倒したようで、こちらを見ている。
私は大きく頷いた。
「【サンダーボール】」
武器を持ち替え、BOSSから距離をとったまま薙刀を振り下ろせば、刃先の大きな雷玉がBOSSの顔めがけて飛んでゆく。雷玉でBOSSの視界が奪われている間にゴンちゃんがその腕を駆け上がり、【紅牙】で右肩に噛み付いた。
GUAAAAAAA!!!!!
BOSSは左の拳をゴンちゃんを潰そうと振り下ろす。ゴンちゃんはそれをギリギリで避けたため、BOSSは自分の肩を殴る羽目になった。
「【サンダーアロー】【サンダーアロー】【サンダーアロー】【サンダーアロー】【サンダーアロー】」
足を重点的に狙って、薙刀の先から矢を等間隔で発射する。
足の甲が矢で地面に縫い付けられたようになり、その場から動けなくなったのを確認して、木の棒に持ち替える。
そして、ゴンちゃんが【狐火】でBOSSの気を逸らしている隙に大きく飛躍し、頭の上に来たところでスキルを唱える。
「【サンダーボール】」
木の棒に描かれた稲妻が金色に輝く。
私は渾身の力を込めて雷を帯びた木の棒を思いっきりBOSSの頭に振り下ろした。
GUAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!
「ふぎゃっ!」
『主!』
頭と木の棒が接触した瞬間、大きな爆発が起こり、私も吹き飛ばされてしまった。
『大丈夫か!?』
「うん、なんとか」
HPは減ったもののまだ半分以上残っている。
「あ、あれ?
BOSSは?」
『さっきの攻撃で倒せたようだ』
「ぇぇええええ!
思ったより呆気なかった.......」
やっぱりこの武器反則だよ。
ゴンちゃんのステータスを確認すればHPが5分の1ほど減っていたので【ヒール(小)※】をかける。
ー残り時間0秒になりました。羅刹化を解除しますー
【羅刹化】かけ直さないといけないかな、って思っていたけど、大丈夫だったなあ。
ーーおめでとうございます!!
エリアボスを討伐したため、次のエリアが解放されました。
・『アークフォール』
・『フレアリットン』ーー
「ゴンちゃん、『アークフォール』か『フレアリットン』って街知ってる?」
『いや、知らない。
狐神様がこの街の守護神だから、眷属の私も基本この街から出たことがないんだ』
「うーん。じゃあ、『アークフォール』に向かおうか」
『フレアリットン』は文字からして暑そう。毛皮に包まれたゴンちゃんには辛いよね。
『アークフォール』は水の街っぽいし。
水の街だったら、海あるかな?
お魚食べたい、お魚。
『わかった。
それとこれ、ドロップアイテムだ』
「ありがとう。【鑑定】」
《アームモンキーの毛皮×2 レア度☆1》
【鑑定】をかけたまま続いてアイテムボックスを確認する。
《アームモンキーの腕×2 レア度☆3》
《マウンテンウッホキングの棍棒 レア度☆4》
ヒィィィイイイイイイ!!
腕入ってんじゃん!!!
腕を持ち歩くとか嫌だよ!!
アームモンキーが怨霊になって出てきたとか洒落にならないから!!!
☆3は『虹色の角』と同じレア度。超レアに分類されるのかな、この腕.......
『マウンテンウッホキングの棍棒』もいらないかなあ。武器のレア度よりあのゴリラがキングだったことに驚きだよ。
そうそう、薙刀と扇のレア度は☆6つ。木の棒に至っては測定不可!
鑑定した時は乾いた笑いしか出なかった。
とりあえず、レイちゃんに連絡入れとこう。売るとしても相場がわからないし.......
あ、返信もう来た。
『もうエリアボス倒したのか。
とりあえず、姉貴が欲しいって言うからドロップアイテムは買い取るけど、棍棒本当に手放すのか?レア度だいぶ高いぞ』
私には木の棒があるからね。
他の武器を使ったりしたら雷神様からの祟がありそうで.......
『大丈夫!
全部売却で!』
『了解。
虹色の角があったらまだ欲しいらしいんだけど、あるか?』
『あるある!
ありすぎて困ってたとこ!』
『じゃあそれも買い取る』
『ありがとう』
萊姉あの腕何に使うつもりなんだろう.......
いいや、聞くのはよしとこう。なんか怖い。
アイテムを送るとお金が帰ってきた。
ご、52万Gですと!?
思わずお口がパッカーンですよ。
『レイちゃん、間違えてない?』
『合ってる。
虹色の角20個で26万G、アームモンキーの腕が6万G、棍棒が20万Gだ。
毛皮とかはギルドに行けば買い取ってくれるから、レア度が低いアイテムはそっちで売るといい。
それから、☆3以上のものでソラがいらないアイテムをうちのギルドに優先して回してほしいんだが頼めるか?』
『私も見知らぬ人に売るよりもそっちの方が安心できるから嬉しいけど、いいの?』
『あぁ。ソラが獲得したアイテムは市場に出回りにくいものも多いから店で買うとなるとだいぶ高くつくんだ。
トレードボタンの横に【仮トレード】って言うのがあるから、いらないアイテムにどんどん押していってくれ。そうしたら、あとはこっちがやる。欲しいものがあったら勝手にトレードする』
『了解です。
助かるよ、ありがとう』
『こちらこそ。
なにか困ったことがあったらいつでも言えよ。じゃあな』
『またね!』
『終わったか?』
メッセージのウィンドウを閉じれば、ゴンちゃんが退屈そうに伏せていた。
「ごめん、お待たせ。
ここから出ようか」
ゴンちゃんの頭をわしわしと撫で、立ち上がると地面に光を発する青色の円が現れた。
たぶんここに立てば出られるんだよね。
ゴンちゃんを抱えて円の上に立つ。
すると目の前にウィンドウが現れた。
ー『アークフォール』or『フレアリットン』ー
『アークフォール』をタップする。
ー『アークフォール』にワープしますー
光の眩しさに目を瞑る。
次に目を開けると、そこは活気溢れる海辺の街だった。
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