1 広義の怪談、狭義の「怪談」

というわけで、まずは怪談の定義のお話から。

この前といい、定義してばっかじゃねえかと言われると、逆なのだ。まず定義して認識合わせないと話にならんのじゃ。つまるところ、定義としてこの場でコンテクスト(文脈)の認識合わせしとかんと、わけわかんなくなるし、私がイミフなことをわめく物体と化すのだ。

既にイミフだろと? 否定できぬ……。


さて、怪談という言葉の意味は『小学館国語大辞典』、『角川古語辞典』によれば、以下の通りである。


「不思議な話。特に神や変化などの関わる話」


……ドイツ語におけるMärchenメルヘンの定義みたいにちょっとふわっとしているし、現代で一口に「怪談」と言った時の定義より広い、と感じるはずだ。


じゃあ、現代で「怪談」と言った場合の定義はというと、十中八九「怖い話」ではなかろうか。

私からすればむかしなつかしの『怪談レストラン』シリーズとか、怖い話が満載だったし。

なお、私はあれのコラムが大好きだった。うーん小学生の頃からブレないですねマジで(『ユダヤ神話・呪術・神秘思想事典』、『日本呪術全書』、『まじないの文化誌 』、『ヴァンパイアと屍体』等の並ぶ本棚がここにあるじゃろ? あるんじゃ)


これだと微妙に怪談の定義がわかりづらいと思うので具体例としては、『牡丹燈籠』と『三枚のお札』。


前者は確実に「怪談」と認識しうるはずで、後者を「怪談」と言ったら「えっと……?」にはならないだろうか。

ぶっちゃけ後者は『蛇婿へびむこ姥皮うばがわ型、蟹満寺かにまんじ縁起型)』とか『蟹問答かにもんどう』とか『米福糠福よねふくぬかふく』とか、そういう系の話なら、なんでも全然いいんだが。

うーん、やっぱり、広義の怪談はドイツのMärchenメルヘンみたいな定義である。


とりあえず、以降、「怪談」表記の場合は狭義のホラーとしての「怪談」として話を進めていく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る