3 今昔物語集の狸

狸だけど狸じゃない(後述)場合がほとんどなので、ざくっと抜粋。


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巻三 天竺

 十二 不達長者の家の鸚鵡の語

 不達長者という者の家の鸚鵡二羽は賢く、長者が招く僧を理解して必ず長者に知らせ、経を挙げる際にはその近くの木に止まっていたが、「狸」に食われてしまった。

 たぶんたぬきでなく、猫かイタチ。


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巻四 天竺

 十九 天竺の僧房の天井の鼠、経を聞き益を得る語

 とある僧房の屋根裏の五百匹の鼠を食べた「六十の狸」という記述。

 たぶん猫。天竺のお話はちょっと数のスケールがでかいのが特徴。


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巻七 十六 震旦

 震旦定林寺普明、法花経を轉讀し霊を伏する語

 病をいやすために呼ばれた普明という僧がその家の門をくぐった段階で出てきた物の怪のさまの描写で「狸に似たり」と記述。


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巻十七 本朝

 三十三 比叡の山の僧、虚空蔵の助けに依りて智を得る語

 狐狸に化かされたのでは、という文字上でのみ登場。


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巻二十 本朝

 十六 豊前の國の膳の廣國、冥途に行きて歸り来たる語 

 地獄で苦を受ける死んだ父親が、この話の主人公である廣國の家に何の姿でいつ行ったと述べる中で登場。

 ただし訓は「ねこ」


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ただし、『宇治拾遺物語』「猟師仏を射る事」とほぼ同じ話が、巻二十の十三「愛宕護の山の聖人、野猪くさいなぎたばかられたる語」として、狸ではなく「野猪くさいなぎ」を犯人として載せている。

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