5 狐という獣のイメージ

狐と言えば、お稲荷いなりさん。

つまりは豊穣への信仰と紐づいた獣である。

ネズミ捕まえて食べるからというのが有名な説。

この辺りは咜祇尼天だきにてんと弁財天の関係や、本来水神であった蛇との絡みとなどもあって複雑そうである。

『狐の日本史 古代・中世びとの祈りと呪術』がこの辺りを詳しく検証してくださってるので、気になる方は読むといいんじゃないかな(ぶん投げ)


ただ、咜祇尼天だきにてんや弁財天との紐づきの関係か、女となる場合が圧倒的多数をしめる。

あるいは中国の『捜神記』などに見られる狐のイメージもあるかもしれない。

むしろ狐が夫になるパターンを現時点で見たことないんですが、あるのかな? 近年のセンターで有名になった『玉水物語』だって雄の狐が女の子に化けてるし。


また、「ものが憑く」とすると大概憑いてるのは「狐」とされる傾向は中世説話でも見られるため、「人と関わりを持とうとする」意識のある「神霊的な動物」の代表格と見られていた節がある。

同じ何らかの神使とされていても、鹿が憑くとか猿が憑くとかは言わない不思議。というか説話上だと狩られる方が多いな、鹿も猿も。

登場する各種説話から窺うに、意味もなく致命的な悪戯を仕掛けようとはしない傾向がある。

致命的なことをしかけるパターンは『日本霊異記』や『宇治拾遺物語』に見られる復讐ぐらいである。

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