3 伝承の空海

多すぎるんだよ、空海さん

と言っても類型ばかりではある。

特に、報恩または報仇が多い気がする。


独鈷水とっこすい

 インド神話が雷神インドラの武器であるバジュラ(≒雷霆らいてい)に起源を持つ仏具、金剛杵こんごうしょの一種である独鈷杵とっこしょ(両端がわかれていないもの)を突き立てた場所から湧いたもの、およびそのいわれ。

 空海の場合、独鈷杵とっこしょだけでなく杖のパターン(徳島県の神山町とか)もあれば、他の高僧がメインとなる場合もある。


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杖から木に

 西行さんの杖突桜と同じような地面に突き刺した杖が木になるお話(愛知県甚目寺町の銀杏いちょう、徳島県阿南市の杉とか)


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報恩または報仇

 旅の僧が宿/水などを請い、これを丁重にもてなした/無碍むげに扱った。

 この僧は実は弘法大師=空海であり、それ以降、その土地は幸運な結果(水の手に入りにくい土地だったが突如水が湧き出るなど)/不運な結果(湧いていた水が変質する、作物が変質するなど)に見舞われる……という内容。

 独鈷水とっこすいとの合体もあったり、ワールドワイドに見る限り、空海以外のパターンも存在していて何の不思議もないタイプ。


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類型だけど地味にパターンが多すぎる。

という結果がよくわかるこのざっくり感である。

いや、これ以外にも実は完全には死んでないんだよ伝承もあったり、まじない歌の作者なんだよ伝承があったりと、枚挙に暇がなさすぎるわけだけど。

ただ、一応上でまとめた伝承については、説話と比べ、空海の立ち位置が空海である必然性(別の高名な存在と置換しても違和感がないため)があまりない。

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