第12話 洞窟探検③
すでに
「エリー!支援魔法を!」
りきとーさんが叫ぶと、後方で待機している魔法使いのミレイさんが『
バフを掛けられたりきとーさんは持っている剣を下段で構え、一気に牛頭男に切り込む。りきとーさんの剣は紅く光り、武技を伴って牛頭男を切りつける。りきとーさんの攻撃によって牛頭男のHPが五分の一ほど削れた。
「いくぞ!」
その声に合わせて、それぞれが最大の攻撃を牛頭男に放つ。
「スラッシュ!」
「
「一閃!」
僕は中段に剣を構えると、斬撃を飛ばす『一閃』を放つ。この攻撃により牛頭男のHPは残り一割まで削ることができた。
ウモモモォォォゥゥゥ!
牛頭男が叫ぶ。モンスターが放つ
後衛の二人は急いで前衛の三人にシールド系の魔法を展開するが、少し遅い。
牛頭男は咆哮を放った後、手に持った石斧を腰で溜めるように構えると、一気に横薙ぎに振るう。振るわれた石斧は紅く光り、空間を切ったように紅く光った衝撃波が三人に迫る。
武技はプレイヤーの専売特許ではない。敵も当たり前のように放ってくる。先の咆哮も武技の一種だ。
放たれた衝撃波は動くことのできない僕たちに直撃し、HPを七割ほど削っていく。
HPの減った僕たちに
僕たちが回復するまで時間を稼いでくれていたミレイさんの攻撃魔法が止む。そこからはまた僕たち前衛職の出番だ。残念ながら武技は放つのに必要なSPが足りないため使うことができないので、通常攻撃でちまちまと牛頭男のHPを減らしていく。
■
ミレイさんの放った
「パワースラッシュ!」
「風刃!」
「溜め斬り!」
三人の武技が牛頭男に炸裂する。
牛頭男の体が浮くと、背中から地面に倒れる。先の武技でHPを削りきれたようだ。倒れた後も牛頭男は起き上がる気配もなく、光の粒子となって消えていった。
戦いが終わり、次はドロップアイテムの確認だ。さて、あの牛頭男は何を落としてくれたのかな?
僕が手に入れたアイテムは、牛頭男の角、牛頭男の革、牛頭男の石斧、スキルオーブ:【投降】、ガチャチケットの六つだ。
グリーンさんは、牛頭男の角×2、牛頭男の革、ガチャチケット×2の五つ。
りきとーさんは、牛頭男の角、牛頭男の革、牛頭男の剝製(頭)、ガチャチケット×2の五つ。
エリーさんは、牛頭男の角×2、牛頭男の石斧×2、ガチャチケット×2の六つ。
ミレイさんは教えてくれなかった。まぁ、そういう人もいるよね。
ガチャチケットは、ボス級モンスターを倒すと必ず一枚は確実に落ちるらしい。そのガチャチケットからは、スキル、武具、アイテムのどれかが選べて、その中からチケット一枚につき一つ当たるらしい。
皆自分のチケットを使って引くみたいだ。僕もなけなしの一枚を使ってみる。
チケットを使うと、目の前に三つの豪華な箱が出てくる。三つの箱にはそれぞれ、スキル、武具、アイテムと箱の上にプレートが出ている。僕はその中からスキルを選んだ。
ガチャチケットで回すガチャは必ず★三つ以上が出るようになっているらしい。
僕は選んだスキルの箱を開ける。その中にはキラキラ虹色に光る靄があるだけだった。僕は箱の中に手を入れ、握り込む。すると、掌に虹色の光だ吸収され、箱が消えた。すると当たったスキルがメールボックスに届く。
ピロリン
僕は届いたメールボックスを開く。みんなも引いたガチャの結果が届いたようで、ウィンドウを開いて確認している。
―――――――――
ガチャチケット:スキルの結果です!
ガチャの結果:スキルオーブ【
まだ受け取っていません。
―――――――――
出たのは★四つの通称『アルカナスキル』と呼ばれるものだ。排出率としては10%なので、かなり良い結果だろう。他の皆も結果が届いたようで、がっくりしている人とガッツポーズをしている人、難しい顔をしている人と三者三様だ。
「グリーンさんは何が出ましたか?」
「私か?普通のレアスキルだったよ」
だからがっくりしていたのか。
「りきとーさんはどうでした?」
「俺はアルカナスキルだったよ」
だからガッツポーズをしていたんだな。
「エリーさんはどうでした?」
「私はイマイチかな。被っちゃったんだよね」
そういって結果を教えてもらうと、アルカナスキルの【
「そういうリクは何が出たんだ?」
僕はみんなにウィンドウを見れるようにして、【審判】の効果を見せる。
────────────────
〈スキル〉
【審判】 ★★★★
Lv1:Evil Lift
プレイヤー一人のデバフを解除する。
Lv2:???
達成条件:???
Lv3???
達成条件:???
Lv4???
達成条件:???
Lv5???
達成条件:???
────────────
「うーん、なんかイマイチなスキルだね」
「そうだね、デバフの解除はアイテムでもできるからなー」
「でもでも、まだ出てない効果もあるからきっと大丈夫だよ!ね?」
僕はみんなの意見で心配になったが、何とかなるだろう。エリーさんがネットで調べてくれたら、かなり有用なスキルらしいので安心だ。
その後も出たスキルで自慢する人がいたりと、結構な時間が過ぎた。
最後にりきとーさん達パーティーとフレンド登録して、一緒に洞窟を出た。りきとーさん達はメイリーンには戻らず、まだ探索を続けるようで、洞窟前で別れを告げた。
僕は【審判】スキルのことを調べながらポータルに向かった。
ポータルでメイリーンに飛ぶと一通のメールが届いた。
―――――――――
おい!今どこに居るんだよ!早く来い!
差出人 プレイヤー名:空
―――――――――
やばい!宙との約束をすっかり忘れていた!
僕はグリーンさんに別れを言って、急いで約束をしていた噴水広場に向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます