第六話 6人目
ーーダイア転生から一年後の地球ーー
上原琴香は、人生で1番憂鬱な朝を迎えた。
火曜日8:29
始業1分前というこの時間に、琴香はまだ家の中にいた。
「遅刻…?」
そんなはずは無い。もし私が寝坊しそうになれば、お母さんが起こしてくれていたー
「きっと、時計が壊れてたんだわ」
琴音はふと昨日のことを思い出す。
「なんでよそのくらいいいじゃない!」
「あなたねぇ、何度も言ってるでしょ。そんなことにお金を使うのはだめだって」
「もういいよ!私にとっては重要なことなのに!」バァンッ!
……あっ、あの後部屋の鍵閉めたわ私。
今まで1度だって、遅刻したことなんてなかったのに。遅刻した人のことを散々馬鹿にしてきたのに。みんなの視線を浴びながら教室に入るだなんて、、…今日は学校行くのやめようかな。
「琴香ー?もう学校遅刻するぞー?」
そうよだから今日は仮病を使って学校を休むって言ってるんじゃない。
………
え、なんでまだ家の前で待ってんのかしらあの人。
部屋の窓を開けて、家の外を見る。眩しさをこらえて、下の方を見ると
そこには青山大空の姿があった。
「ダイア?あんたそこで何してんのよ!」
「何って、君を待ってるに決まってるだろ?
1年前、君と付き合い始めてから、こうして僕は毎日家の前で君を待ってるじゃないか」
「そうだけど…あ、あなた今の時間分かってるの?」
「9:00とか?」
「あたしそんなに寝坊してないっ!」
「遅刻には変わらないぞー」
「ぐぅっ」
「とにかく、早く降りてこい」
「5分待ってて!」
私は急いで着替えて玄関まで駆けていく
「いってきます!」
短く叫び、戸をあける。
「おおっ?どうしたその顔」
「え、私何かおかしい?」
「いや、そんなことは無いんだけど…その眼鏡だよ。」
「あー、これね。いつもはコンタクトだけど今日は時間ないから」
「そのオックステールにする時間はあったのにか?」
「これはそんなに時間かからないのよ。あとポニーテールね。オックステールは牛の尻尾よ。大分、意味変わってくるから!」
「おう、すまん」
「ったく、どんだけ髪型に興味無いのよ。そんなことより、早く学校行かなきゃ!ってか、あんたなんで私のためにわざわざ始業時間になっても待ってたのよ」
「いやー、僕もね?最初は、先に行ってしまおうかと思ったんだよ」
「じゃあなんで」
「いやな?僕ら2人揃って教室に入って、遅れましたーっていうのも、なんかカップルっぽくていいなぁなんて思ったら、もう待たずにはいられなくて…」
「はっ!それ考えてなかったわ…。普通に嫌ねそれ。」
「なんで!」
「恥ずかしいからよ!」
「じゃあやめるぅ?」
ひゃぁ?琴香は今まで聞いたことの無い声に戸惑った。
「父さんの真似して、突然現れてみたよ。どう?びっくりした?」
「びっくりしたわよ!誰なのあなた」
「神様の息子さ」
「神様の息子?何を訳の分からないことを…。ダイアも何か言ってよ!」
「わしのパライゾを邪魔しようと言うのか」
「ダイア…?」
「いやいや、神様のくせにパライゾって。大体が、入れ替わる人もろくに選ばずに…あっちの世界は今大変なんだぞ?」
「ねぇ、何の話をしてるの?」
「ん?ああとにかく、君にはこの世界を離れてもらわなきゃならない」
「はぇ?それって死ねってこと?」
「んー、ちょっと違う。でもそれ以上の説明はしない。」
「どうしてよ!そんな訳も分からず何かされるんじゃたまったもんじゃないわよ」
「これを見てる人は1話で散々聞かされてうんざりのはずだもの」
「なんの話ししてんのよ。」
「はい、カウント入りまーす。サーン」
「いやよ私は、まだこの世界で生きてたい」
「ニー」
「そこにいるダイアとだってまだ私1年しか付き合ってないのよ?もっと…」
「イチー」
「ああ、分かったわ。あなた冗談で言ってるのね」
「いってらっしゃーい」
次の瞬間私は、柔らかいとも硬いとも言えない何かに頭をぶつけ気を失った。
しばらくして琴香は目を覚ます。
私、本当に死んだの?家族にも友達にも何も言ってないのに。ダイアとしたいことだってまだ沢山あったのに…。
次の瞬間、暗闇が開けた。
「ふー、桃がリスポーンした瞬間に割ってやったよ。めんどくさいし、この六人目の桃太郎とやらに全部任せよっと」
「……ダイア?」
そこには、先程まで制服を着ていたはずのダイアが、いかにも農民らしい姿をして、立っていた。
ある所にお爺さんとお婆さんと僕が居ました かまぼこ @kamekama
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