第1話
僕は目が覚めた。風が僕の服をひらひらを舞い踊らす。
「ここは学校‥‥‥」
僕が見ていた風景はいつもの、変わりがない、岸川国際高等学校のグランド。
僕は体操服を着ていた。
半ズボンの体操服の上から、長ズボンのジャージ。
半袖の体操服の上に、長袖のジャージはチャックで前を閉めず、体操服が見えるようになっている。そして、長袖のジャージの袖は手首と肘の中間あたりに捲られていた。
この学校では体操服の着方は自由だ。ルールは破っていない、着方だ。
僕は前を見る。前には僕たちのクラスが体力テストをしている。
確か、今日は五〇m走だ。
でも、僕はなぜ、眠っていたのだ。しかも、立った状態で‥‥‥。
そして、僕の耳にブーブーとブザーが鳴り響く。
目の前には、ATTENTION(注意)とぎざぎざの赤い字で表示される。
僕は理解をした。僕が見ているのはただの幻覚でしかない。
幻覚と言うのはおかしいな。
「ゆめ……か‥‥‥」
僕はつぶやく。
「夢と決めつけるの速すぎよ、春樹」
僕はその声をする方に振り返る。
まあ、声と口調で誰か分かるが‥‥‥。
僕は声の主を見る。
「何をしてるんだ、清水‥‥‥」
僕は清水に言う。彼女はコスプレのような、服装をしている。
「私は神になったみたい」
いや、その時点で夢なのは確定してしまっている。
ここは、話を進めるのが正しい正解だろう。
「で、僕は何をしたらいいんだ。クラスのみんなは教室に向かったし」
僕は彼女に聞く、彼女は僕から見て、左側を指で指す。
「ストーリはあそこのモンスターを倒しつ続ける。そして、最後にボスモンスターを倒す。そしたら、目が覚める」
「いや、強引で目を覚ます方法あるからな。まあ、暇だし、ファンタジーを潰そうか」
僕は夢でも現実感が欲しいと思い、このファンタジーを潰すことにした。
まあ、僕ら自身がファンタジー並みの人間になってしまっているが‥‥‥。
科学を進歩して、いずれは地球は機械に征服されるとか言われていた時期が一〇、二〇年前くらいにあったが、そんなことなく、人間が科学を超えてしまった。
僕は彼女の指さす方を見た。人間の形をした、角の生えたモンスター。
異世界では、魔族か?まあ、それはどうであれ、良いのだが、俺には武器がない。
どう、戦えと言うのだ。
「この中から、武器を選んで」
と液晶画面のようなものに武器が書かれてあった。
左から、剣、刀、小型銃、ハンドガン。中型銃、ライフル。中型銃、ショットガン。大型銃、マシンガン。弓、爆発型。弓、麻痺型。弓、麻酔型。ナイフ。
の以上が表示されていた。
僕は剣、ハンドガン、ライフル、弓、麻痺型、ナイフをタップした。
「春樹は欲張りね」
「数は制限してないだろ」
僕は清水に言い返す。
その瞬間、空から箱が落ちてきた。
中には僕がタップした、武器だ。
僕は全て、装備した。
僕は剣だけ、手に持った。その時、ピコンと何か表示していた。
『シャッチ、剣形態』
これはなんとも苦痛な。武器の名前は僕のペット達ではないか。
でも、これは夢だ。気にすることはやめよう。
僕は右手に剣を持ち、ハンドガンを左手で握った。ハンドガンは
『リーク、ハンドガン形態』
これは絶対、名前を決めるのが面倒くさいだけだろう。
ちなみに、ライフルはチップ。弓はリーク。ナイフは、プレコのテン。
僕はうじゃうじゃ、地面から湧き出るモンスターのところへ走った。
僕は一匹のモンスターに振りかぶった。
その瞬間、爆発のように、地響きが起きる。
砂ぼこりが舞う中、徐々に前方が見え始める。
僕が振りかぶった、剣先から、五〇m先まで、地面が裂けている。
「シャッチ‥‥‥チートすぎだろ」
僕はつぶやく、僕は剣を収納した。そして、ライフルを手に取った。
この数秒で、モンスターの数は最初の時と変わらないくらいまで増えた。
僕はスコープに除く。モンスターがスコープの中心に被った瞬間、トリガーを引いた。
弾は、時速一〇〇〇kmの速さでモンスターを貫通した‥‥‥のはずが、時速二〇〇〇kmくらいの、いわば、僕には弾が見えない速さで、弾がモンスターの体を貫通した。そして、弾が通った、数秒後、爆風が起きる。
当たり前だ、時速二〇〇〇km以上の速さで弾が通れば、爆風が起きて当然だ。
「今のは、時速五〇〇〇kmだったわ」
「チップ、お前もか‥‥‥」
僕がライフルに話しかける。
でも、モンスターはどんどん沸いてくる。
僕は今度は弓を手に取って、矢を放つ。
モンスターは土から出てきて、五秒もしないうちに麻痺していくのだが、これもまた、麻痺どころではなく、放電以上の攻撃をしている。
「なんで、僕は無能でペットたちはチートなんだ?」
「今のは八億ボルトね」
解説ありがとう。でも、聞きたくなかったな。
とその時、地響きが起きた。僕ではない。
そして、僕の視界には、RISK(危険)と表示された。
ボスモンスターか‥‥‥。
と地面から、出てきたのは高さ、五〇mくらいの巨大な猪だ。猪は大きな斧を持っていた。ボスモンスターは、King Pig(王様猪)と名前が表示されていた。その隣に詳細と書かれていた。僕はタップをした。
『King Pig(王様 猪)HP:五八六二四 MP:一一七二二八 攻撃力:七七六
防御力:九六七 スキル:王の力(斧による技は、攻撃力が二・五倍になる)』
だった。こいつもチートじゃないか。
僕は剣、ライフル、弓を箱の中にしまった。
「使わないの?」
「攻撃力が高い。だが、攻撃を食らわなかったら、どうってことない。
だから、スピード特価で行く。負けゲーを勝ちげーに覆すのが俺の流儀だ」
僕は左手にハンドガン、右手にナイフを持って、ただ、大きいだけの猪の方へ走った。猪を斧を僕の方へ振りかぶって、僕に叩きこむ。もちろん、僕はその攻撃を避ける。僕は猪の太い腕に飛び込んで走る。僕はハンドガンの銃口を僕が走っていない、つまり左の肩をめがけて撃つ。もちろん、図体がでかい分、弾はよく当たる。
僕は二回、トリガーを引く。
二発とも猪の肩に当たる。そして、肩は地面に落ちる。
「いや、たかが二発で腕が落ちるって、どれだけ、チートなんだ」
僕はつぶやきながら、走る。
「ぐわあああああああああ!」
と猪が吠える。咆哮のようなものを俺は食らい、遠くへ飛ばされる。
吠えるだけで、こんな距離まで飛ばすか⁉
勝ち目がなさそうな気がしてきた。
「お兄ちゃん!お待たせ!」
いや、待っていない。と言いかけたが何とか、飲み込むことができ、声に出さない事が出来た。
詩織は、小さな妖精となって、現れた。
「お兄ちゃんのHPとMPを回復に、って無傷だ!私が来た意味がないよ」
としょげる詩織。
「あ、でも、スキルを持っていないね。スキルを渡してあげる」
と言って、僕のステータスの空白のスキルに何かを書き始める。
「はい、出来た。さあ、頑張って!もうすぐ、仁先輩と拓斗先輩、あと、詩穂先輩も来るから」
あの三人も来るのか。心強いのか?
まあ、スキルをもらったし、頑張るか。
僕はステータスを確認する。
『スキル:圭介流暗殺、二刀流』
と書かれていた。いろいろとツッコミたいことがあるが、一番重要な事、それは
「なんで圭介の流儀なんだよ」
僕は詩織に文句を言う。
「頑張って、圭介お兄ちゃんとお兄ちゃんは同一人物だから」
僕は詩織の言葉にため息をする。
「スキルってどうやって、発動するんだ?」
「イメージをしたら、発動するわ」
「そういう事!」
と清水の言葉に付け足すように言う、詩織。
僕はモンスターのところに走る。
モンスターは斧ではなく、素手で僕を殴ろうとしてきた。
僕はその攻撃を避けて、回転をして、攻撃をするイメージをした。
その瞬間、体がオートモードに切り替えるように勝手に動き始める。
僕は豚型の猪モンスターのムキムキの腕に飛び乗り、回転を始めた。
体はすごく回転をする。でも、目が回るわけではない。
銃で回転の速度を上昇させ、プラス腕に攻撃。その後、ナイフで切りつける。それを八回転ほど繰り返した。
猪はバカみたいに吠える。
その間に僕は肩まで登っていた。僕は猪の首を狙って、飛ぶ。
ナイフが首に触れる前に銃でナイフの刃が通りやすくするため、撃つ。
僕は、そこから、スキルを発動する。
イメージは、ナイフ自体が強化し、攻撃力を倍増。そして、触れた傷を爆発するイメージ。
体はまた、勝手に動き始める。ナイフは猪の首に刃が通る。そして、猪の首は爆発をする。猪の姿は爆発した煙で見えない。
だが、その煙から腕が飛んでくる。
傷が浅かったみたいだ。
「やばい!‥‥‥」
俺は防御態勢を取る。
その瞬間、左右から何かが飛んできて、僕の爆発より一〇倍以上の爆発が起き、腕は床へ落ちていく。
僕はその爆発の勢いで、飛ばされる。
高さ五〇m以上から、時速八〇km以上のスピードで床へ落ちていく。このままだと確実に死ぬ。
だから、僕は持っている、ハンドガンを僕が落ちる、だろう着地点の少し手前に撃つ。
そして、スピードは減速した。僕はほぼ無傷で着地に成功した。
僕はその事より、僕を助けてくれた人が気になり、攻撃してきた方向を見る。
「よう、春樹後輩!大丈夫か?」
仁先輩だ。仁先輩は僕より攻撃に特化したライフルを持っていた。だが、攻撃は左右から来た。
僕は仁先輩とは反対方向を見る。
「どうだ、野球のコントロールの力はすごいだろ!」
と叫ぶのは、最近修正部に入部した拓斗先輩だ。
拓斗先輩は僕に、爆発型の弓を僕に見せるように高く上げていた。
「春樹後輩!俺たちが援護をする!その首を落とせ!」
と仁先輩は僕に言う。だけど、僕は見逃さなかった。
空高くに何かが反射する光が見えた。
僕はその光を目を細めてみる。
人だ。人が何か持って、落ちてきている。
ってまあ、誰かは予想は付いているけどな‥‥‥。
「こーはいーくーん!おまたせー!」
と叫んでいるのは予想通り、詩穂先輩だ。
「いっくよー!」
と何かを猪に向けて、下へ時速一〇〇km以上のスピードで落下。
詩穂先輩が落下したことによって、爆風が起きる。
今、思ったが夢にしては感覚が現実的だ。
詩穂先輩の武器は刀だ。
詩穂先輩は刀一本で体を逆立ち状態にしている。
どういう、運動神経をしているのかすごく気になるところだが、前衛が増えたことは嬉しいことだ。
「後輩君!刀が抜けなくなったから、一人で頑張って!」
って、おい!言ったそばから、心強い助っ人は消えていったぞ。
詩穂先輩は、今も刀を抜くのに必死だ。
そりゃぁ、あの速度で落ちたら、抜けないくらいに刺さるわ。
「詩穂、イメージで形を変えろ!」
と仁先輩が言う。イメージで武器まで変えれるとは、初めて知ったぞ。
僕は清水を見る。清水は知らないふりをして、目が僕とあったとき、すぐに逸らした。
しっかりしてくれ、神だろ。
「あ、そうだった!ほいっと」
と詩穂先輩は刀を短くした。体積まで変えれるのか‥‥‥さすが夢だ。
ファンタジーが溢れているな。
だが、ここは僕の夢‥‥‥だ――――。
本当にここは、僕の夢なのだろうか。
とその時、猪が‥‥‥ああ、もう、毎回猪って言うのが面倒くさくなってきた。豚でいいや。
豚が大きくて太い腕を僕に向かって、殴ってくる。
こいつ、何回も腕を落としているのに、すぐに再生をする。
厄介だ。だが、厄介な奴ほど、一発で殺せる部分がある。
野生界では覚えてい置かないといけないことだそうだ。
僕は野生界で、生きていないので、心に留めている。
「よーし!いっくよー!」
と詩穂先輩はありえない高さまで飛んだ。そして、心臓辺りを切り刻む。
僕はその間に、武器交換をする。ナイフを剣に取り換えた。
「スピード特化じゃないの?」
清水が尋ねてきた。
「武器の形を変形できるなら、この、重たくて太めの片手直剣を片手直剣のまま、細剣まで細く軽くするんだ。だから、威力は変わらないし、スピード特化でもいられるっていう事さ」
「なるほどね。なら、最初からそれをすれば速かったのに」
清水は今、自ら地雷を踏んだぞ。
「形を変形できると教えてくれなかったのは誰だ?」
清水は体をピクリと反応させ
「私じゃないわ」
と言い張る清水に僕は
「いや、お前だからな!」
と言ってやった。
僕は清水を後ろに豚のところに走った。
豚は今も詩穂先輩に心臓辺りを切り刻まれている。
「あれは何流だ?」
と僕がつぶやく。
そして、僕の右側から、凄い速さで弾が通る。そして、豚の目に当たって、目はグロい状態になった。
再生はしていない。
弱点は頭だな。
詩穂先輩がさっきから、切り刻んでいる心臓あたりではすぐに再生される。
なら、首を落としたら、このゲームは勝ちだ。
だが、あのバカ豚の首がやたらと太い。一発じゃ仕留めきれない。どうすればいいのだろう。
せめて壁さえあればいいのに‥‥‥ん!待てよ。もしかしたら
「清水か詩織!仁さんたちが援護できる範囲で壁を作れるか?」
僕は二人に聞いた。二人はすぐに
「「できる」」
と答えた。
「なら、作ってくれ」
僕がそういうと二人はすぐに壁を作り上げた。壁は五m程度の分厚さ。その上に左右立つのが、仁先輩と拓斗先輩だ。
僕はハンドガンをイメージで弾をワイヤーに変えた。
そして、バカ豚の頭から胸元までワイヤーを張った。
「後輩君、これじゃ邪魔で戦えないよ!」
詩穂先輩は言う。どうやら、詩穂先輩は発想能力が乏しいのかもしれない。
僕はハンドガンの弾を実弾に戻した。
そして、僕が張ったワイヤーをバネに別のワイヤーに飛ぶ、そのワイヤーもバネにして、別のワイヤーに飛ぶ。これを繰り返しながら、間抜けな豚に攻撃をする。
僕が攻撃を重ねていくと、だいぶワイヤーの飛び移り方に慣れてきた。
「凄いぞ!後輩君!私もやる!」
と言って、詩穂先輩は僕の倍の速度で飛び移る。
「詩穂先輩!それじゃあ、援護が出来ません!もう少し速度を落としてください」
と仁先輩たちの事を考えて僕は言ったのだが、それが無意味なのがすぐに分からせられる。
詩穂先輩がビュンビュン飛ぶ中、詩穂先輩が通る前に拓斗先輩は矢を放つ。
同じく仁先輩も。
「気遣いは嬉しいが、その必要はない。全力で攻撃をしろ」
と拓海先輩が言う。きゃー格好いい!なんて言う女子が出てきそうなセリフを捨てた拓斗先輩は輝かしく見える。
今はそんな事より、あの豚に攻撃をしなければ。
僕は先輩の言う通り、詩穂先輩とほぼ同じくらいの速度まで上げ、全員で一斉攻撃をする。
豚の顔は徐々に崩れてきて、なんの動物なのか微妙に分からなくなってきた。
だが、僕は気にせずに最後の一撃に力を入れた。
ワイヤーを最高まで伸ばし踏んで、その跳ね返される勢いで、豚の首まで飛ぶ、僕は三発実弾を首に当てた後、形を変えた、片手直剣で首を切る。
「終わりだ!ファンタジーの豚!」
僕は剣を大きく横に振った。
首は綺麗にスパッと切れた。
その瞬間、僕の視界に真ん中にでかでかと
『QUEST CLEAR』(クエストクリア)と表示をされ、視界は真っ白になった。
僕は重い瞼を開ける。まぶしい光。LEDの電気が目を刺激をする。
だが、何か違和感がある。いつもより、視界が暗いような気がする。
それに何か、頭に付いているような‥‥‥。
僕は頭を触る。何かが付いていて、それを取った。
僕の頭の大きさに合わせて、調節されているベルト。
僕の視界が暗かったのは原因はこれだ。
『終わったか。どうだった』
と急に声がした。
僕のPCからだ。僕のPCには坂本が映っていた。
「すまん、なんのことがさっぱりだ」
と僕が言うと、両隣から誰かが出てくる音がした。そして、僕がいる部屋、ペットたちの部屋に修正部員が揃う。
「いや~、これはすごいな。こんな、ゲームがついにできるなんて、最高だな」
と拓斗先輩は僕と同じ機会を持って、関心をしていた。
「今も人気アニメゲームを再現するなんて、さすが太助後輩だ」
「凄いね!私は感動しちゃったよ」
と仁先輩も詩穂先輩も関心をしている。
「感覚がリヤルだったわ」
と清水も言っている。
僕には何のことか、全くわからない。
「凄いよね。ねえ、お兄ちゃんもそう思うでしょ」
と僕に問いかける詩織。
「すまん、本当に何言ってるか分からない」
僕が正直の事を言うと空気が張り詰めた状態のような感じになる。
「本当に何も、覚えてないの?」
「ああ、覚えてないかは分からないが、みんなは何の話をしているの?」
僕はみんなに尋ねる。
「太助がF社と開発した、フルダイブ技術を、太助が作ったソフトでゲームをしていただろ。最後に猪モンスターが出てきただろ」
と拓斗先輩が説明をしてくれた。
なるほど、僕はダイブする前に寝てしまって。目が覚めた時は、もうすでにシナリオが最終局面になっていた、という事だろう。
「道理で、感覚が夢にしてはリヤルだと思ったよ」
僕はそう言って、体の力が抜けていくのを感じた。
僕はゲームを始める前の事を思い出した。
僕の家にユン便物が届いて、坂本が僕のPCに勝手に入ってきて、段ボールの中にはこの機会が入っていた。
そして、みんなでゲームスタートっていう感じで、ゲームの中でも現実でも眠ってしまった、僕。
だから、目が覚めた時に変な感覚があった。
「だから、武器の名前が僕のペットたちの名前だったんだ。僕のペットの名前を知っているのは、修正部と先生、家族くらいしか知らし」
『で、どうだった。何か違和感となかったか?』
坂本は僕の話を聞かずに言う。
「う~ん、あの武器はは最後に手に入れる事が出来る、武器なんだよな」
『ああ、そうだ。初期のは、もっと、値を下げる』
と仁先輩の質問に答える、坂本。
よくよく、考えたら、これはまだ、一般公開されていない。
テスト作品。つまり僕たちは、ベータテストをしていた。
ベータテストが出来るなんて、凄い経験をしてしまった。
「もうちょっと、現実感が欲しいな。詩穂なんて、ジャンプじゃなくなっているぞ。春樹後輩くらいがいいだろう。それと、レベルによって、自動回復。身体強化が上がるっていう、設定にした方がいいと思うぞ」
『なるほど、分かった。変更しておく。ありがとうございます』
タメ語や、敬語が混ざっている坂本。まあ、僕もそうなんだが‥‥‥。
『他に何かあるか?』
坂本は仁先輩も含め、みんなに聞く。
「部位破壊のミッションも付け加えたらどうだ。僕がやった猪のメインミッション、クエストは討伐する事。それ以外にサブにミッションを付け加え、それをクリアすると、報酬額が増えるとか、経験値が倍増とか」
僕は坂本に意見を言う。
ただ、ひたすら、倒すだけでは飽きてしまう。レベルを速く上げようと思うと、サブミッションをクリアしようとする人が出る。そうすると、苦戦することもある。だから、協力プレイで楽しむことが出来る。
「あと、ただ、ミッションをクリアすだけでなく、シナリオを付け足すとか、あとはあるクエストのメイン、またはサブのミッションがクリアされると、隠しミッションが開かれる。
それは一人ひとり、違う様にする。だから、攻略法を一人ひとり変わってくるから、ネットにとよる攻略が出来ないだろうね」
僕は付け足して言う。
『分かった、やってみる』
「また、テストしてみたかったら、言ってくれ」
と拓斗先輩が使っていた、機械を坂本に見せる。
『ああ、その時はお願いします』
と言う坂本。中途半端な敬語だ。人の事は言えないが‥‥‥。
『じゃあ、回線を切るぞ』
「ああ、分かった」
僕がそういうと、PCから坂本は消える。そして、僕のPCはホーム画面になった。
「いや~、良い日曜だったな」
と拓斗先輩が背伸びをしながら言う。
「あ!明日のテスト勉強をするのを忘れていた!」
と詩織が言うと拓斗先輩も
「俺もだ!」
と慌てる二人。
「どうしよう、今回範囲が広いんだった」
「奇遇だな、春樹妹の詩織ちゃん。俺もだ」
と落ち込む二人。時刻は一五時二七分だ。普段より勉強する時間は短いだろう。
詩織はいつも、トップを誇るが逆にプレッシャーが大きい。
「詩織、まだ、時間はある。僕が教えてあげるから」
と落ち込む詩織に僕は言うが詩織は諦めたように、僕にプリントを渡す。
「こんなに、範囲が広いんだよ」
と僕は範囲表を受け取る。
『英語:P、一四~三八 理科:P、八~三四 数学:P、一二~二五 社会:P、五七~六五』
だった。
英語、理科が多いな。英語はいつも範囲が広いが、理科に関しては、詩織のクラスのみ高橋先生がしている。テストを何回かするのを忘れて、まとめてすることに下みたいだろうな。
「余裕だな。詩織、今から、するぞ」
僕はそう言って、詩織の部屋に行った。
「無茶だよ。今回はもう諦めるよ」
と詩織はがっかりしていた。
「諦めるのが速いな。これは何だと思う?」
僕は詩織にプリントの束を見せた。
「分からないよ」
「これは僕が去年、受けたテスト。で、こっちが拓斗先輩が一年生の時に受けたテストだ。はい」
僕はプリントの束を渡す。詩織は二つのプリントを見比べる。
「え、問題が全く同じだ」
「そう、だから、まずその問題をすべて覚える。その後、教科書、ワークをその問題外を勉強する。これなら、詩織なら三時間で充分だろ」
僕はそう言ったら、詩織は顔を真剣な顔にして、プリントを覚えている。
修正部の部員で普通科は拓斗先輩しかいない。だから、入部した瞬間、僕は即、先輩から、詩織のためにテストをもらった。
僕は教科書を開き、白紙のプリントに問題を書き込む。もちろん自作の。
重要なポイントを深くし、基本と応用の問題を作る。途中で僕が経験ある難問を入れる。
英語は白紙の紙に両面に書いた問題は全部で三枚分でまとめることが出来た。
次は理科。理科は今回は生物だ。僕の超絶得意の分野だ。
僕は一旦、部屋に戻って、クローゼットを開けて、ある引き出しを開けて、その中にある、封筒を取って、詩織の部屋に戻った。
「お兄ちゃん、それは何?」
と興味本位で聞いてくる、詩織。
「これは、難問集だ。基本さえ解ければ簡単な問題もあるし、今回は生物に関して詳しく書かれている。先生の事だから、生物分類技能検定に出題されるような問題とか出してくるだろうな」
「そんなの知らない!今回が初めてのテストだから」
あー、結構なミスをしているな高橋先生。今回が初めてって、どれだけ忘れているんだよ。
「安心しろ。俺はその検定に四級、三級、二級を合格して、一級は二級を合格しないと受けれないが、合格しているから、受けて、見事合格」
僕は合格証明書を見せる。でも、まあ、動物部門だけ、なんだけどな。
「いつの間に、受けたの⁉」
と全く何も知らない、詩織は驚く。驚いてまいるがプリントの暗記はやめなかった。
「バイトで受講料を稼いで、高校入ってすぐに受けた」
僕は簡単に説明をした。
「でも、そういうのって、年に一回とかじゃないの?」
「それは昔の話。今は人間が科学を覆すような感じになっている。だから、年一回が四回まで増えたんだよ。他の試験もそうだろ」
「ごめん、私、漢字検定と英語検定しか、受けたことがない」
と言う。確かに詩織は、漢字検定、英語検定の両方の一級を合格している。
大学受験には有利だろう。だが、僕は動物。生物関連の専門学校には有利だが、普通科にはそこまで、影響は多くない。
「ま、とりあえず本気で覚えな。ちゃんと問題は作っておくから」
「うん、英語全部覚えれた」
「速すぎだろ!」
僕は言う。問題数は五〇問近くある、問題と答えを一〇分も経たないうちに覚えてしまうなんて、頭をしているんだ。
僕は関心をしながら、問題を作る。
それから、何分経ったらだろうか。僕は問題を作り終えた。
詩織は、理解以外を暗記を終えていたが、やはり理科にすごく苦戦している。
「そこは、解けなくていいよ。プリント集でコツを教える。それ以外はできた?」
「うん、出来たよ」
詩織の暗記法は、その問題の解き方を理解したうえで、暗記をする。
つまり、数字や言語が変わっても解けるようにしているのだ。
だから、僕が作ったプリント集はすらすらと解いていく。
英語は満点、社会も満点、数学も満点、理科は検定問題以外は全問正解。
僕はその問題の解説をする。
詩織は一〇分で難問五問を理解した。
「はい、テスト勉強終了。な、三時間もいらなかっただろ」
僕は詩織に言う。時刻は一七時四八分。宣言どうり三時間までに終わった。
僕のお腹は、盛大な合唱を始める。いつもなら、もっと早く食べる、夕食が遅くなった。
「ごめん、私のせいで、ご飯が遅れちゃって」
と詩織は僕に謝るが僕は否定をした。
「飯は作ればいつでも食べれる。謝る理由が理解できない」
僕はそう言って、難問問題集が入った封筒を持って、詩織の部屋を出ようとした。
「飯にしよう」
僕はそう言って、自分の部屋に戻って、問題集を片付けて一階に下りた。
「春樹のお母さん、すげえ」
と拓斗先輩の声が聞こえる。母さんが作る料理でも感心でもしているのか。
ご飯のにおいはしている。
僕と詩織はリビングに入る。
「そうそう、そこを掛けて、そう、それが答えよ。よくできました」
と母さんは拓斗先輩に言う。
「よっしゃー!これでテストはいつもどうり、完璧だ!」
と椅子から立ち上がる、拓斗先輩。僕は唖然とする。
「なんで、母さんが勉強を教えているの?」
僕は母さんに聞いた。
「聞いてくれよ。仁と詩穂に教えてもらうとしたら、この問題は、こうなる。簡単だろ。ここは、こうしたら、ほら、出来たよ!だぜ。途中式なしで、いきなり答えを言われても分かるかよ!そしたら、春樹のお母さんが教えてくれたんだよ。それが、すげえ、分かりやすいんだよ」
と拓斗先輩が言う。僕は母さんに聞いたのだが‥‥‥
母さんの教え方が上手いのは
「母さんは、高校の全教科の教師免許を持っていて、それに元岸高、数学教師だからですよ」
「マジ⁉すげえ」
「でも、父さんに惚れて、結婚。僕たちを育てるてるために教師を辞めたんだよ」
と余計な一言を言いながら、僕は言った。
「そう、お父さんに惚れちゃったの」
と嬉しそうに言う、母さん。いい年をして、そんなことを言われると、なぜか、ムカつく。そしたら、台所から父さんが出てきた。
「俺も母さんに一目惚れしてしまったんだよ」
と父さんも言う。
「そんな、一目惚れなんて」
「母さんは今も、可愛いぞ」
「可愛いだなんて。そういう、父さんも今もかっこよくて、たくましいわ」
「はは、そう言ってくれると、嬉しいな」
と結婚したてのほやほや、状態の二人。相変わらず、仲がいい二人だ。
「ま、眩しい。こ、これが愛か!」
と眩しそうに目を手で隠すようにする拓斗先輩。
「初々しいね」
と仁先輩は二人を見て、関心をする。
「私も仁と幸せになるもん!」
詩穂先輩は関心をする仁先輩の腕に飛び込み、腕に抱き着く。
「さあ、晩御飯にしよう」
と父さんが言うとみんながいつもの席に着く。
「って!なんで先輩方は僕の家にずっといるんですか!今週家にいた日は何日ですか?一人ずつ言ってください!」
僕は何も違和感なく今まで過ごしていたが、さすがにこの状況はおかしい。
「zero」(ゼロ)
「Me too!」(私も!)
「I stayed at home for three days」(三日間家にいた)
「発音が綺麗ですね。尊敬をします。って!おかしいだろ!拓斗先輩は良いとして、仁さんと詩穂先輩は、ゼロって家の人が心配しますよ」
「「家族の人です(!)」」
と仁先輩と詩穂先輩はお互いを指す。
「は⁉」
僕はおかしな声をだす。それは後になって気づいた。
「俺たちは実家が静岡なんだよ。で、ここからは、遠すぎる。だから、家を買ったんだけど、一人で一つはもったいないから、一緒に過ごしているんだ」
「わかりやすい、解説ありがとうございます。ですが、それとこれは違うますよね‼」
「同じだろ」「同じだよ」
「どうして、そうなる!」
僕は本当に、驚きと勢いでツッコミを入れてしまう。
「しかも、もう、住所変更したし。お母さんとお父さんには許可をもらったし」
「いつしたの!」
僕は慌てて、母さんに聞く。
「二週間前かな」
オーマイガー‥‥‥。もう手遅れだ。
「安心しな。お金はしっかり払わせてもらっている。それに、まだ、空き部屋があるだろ」
本当にすごい人だ。僕は仁先輩を別の意味で関心をした。
確かに、仁先輩の言う通り、開いている部屋は四つある。
「それに、ここは二週間前から、修正部と顧問のみの下宿先になったの」
と母さんは言った。なんで、僕に何も言わずに話を進める。
僕の意見を少しは聞いていくれよ。
「期間はいつまでなんだ?さすがに、僕が修正部を引退してもする気はないだろ?」
僕は母さんに聞く。母さんはすぐに
「そりゃあ、春樹が引退するまでよ」
それは、それでよかったような、よくないような‥‥‥複雑だ。
でも、そうなるといろいろと忙しくなっていく。
『ええ、速報です。先ほど、岸川市でアパートから、異臭がすると警察に通報があり、警察が調べた結果、二〇代女性の遺体が発見されました。警察は殺人とみています。ですが、その女性の家から麻薬が発見されたそうです。いま、現場にいる、千葉さんに現状を聞いてい見ましょう。千葉さ~ん』
と番組の途中でニュースが入った。僕たちは自然とテレビに注目をする。
「まだ、若いのにねぇ」
と母さんが悲しそうに言う。
『はい、今、私は遺体が発見された現場に来ております。警察の捜査をしたところ、女性は拳銃による、殺害だと分かっています。そして、女性は大量の麻薬を使用していたことが分かっているそうです。
警察は、麻薬犯が殺害をしたと仮説し、捜査中です』
『はい、ありがとうございます。この事件を聞いた岸川市民はどう思っているのでしょうか?』
と画面が切り替わる。
「あ、コロッケ屋のおじちゃんだ!」
とテレビに向かって指をさす、詩穂先輩。
『この事件を聞いてどう思いましたか』
とカメラマンが質問をする。コロッケ屋のおじちゃん、井川さんは
『ああ、そうりゃあ、びっくりだよ。しかも、若いんだろ?この辺の子供たちに被害がないといいんだがねえ』
井川さんは心配そうに言う。
『俺が死んでも、もう年だからいいけど、まだ、有望な子供たちが死んでしまうのは嫌だねえ。何かしら、対策を立てないとねえ』
カメラに向かって井川さんは続けて言った。
『対策とは具体的に何をするおつもりですか?』
カメラマンの男性の声がテレビから、なる。
『いや、最近は科学が昔より進歩しているとは言え、俺が出来るのは見守りくらいだよ。まあ、こんなの、あの坊主たちが解決してくれるだろうよ』
と井川さんは言う。そして、この場にいた、修正部は肩をビクッと反応させる。
僕もだ。あの、坊主たちって言われたら――嫌な予感しかしない。
『あの、とは?』
カメラマンが聞く。僕たち的に聞いてほしくない質問だ。
『知らんのかね。この辺じゃあ、有名だよ。雑誌にも載ってるほどだしな。ほら、あの殺人未遂と生徒に暴行をして、捕まった岸高、教頭。その事件を解決したのが、その岸高の問題児、修正部。ここらではそう呼んでるよ。で、その、二年の坊主がする、推理を無感情推理って言っているんだよ。その名の通り、その坊主には感情がなくて、推理をするんだよ。すごい、ずば抜けた才能を持った子たちが集まっとるよ』
と井川さんはなぜか自分の事でもないのに自信満々に言っている。
そして、僕たちは全員で
「「「「言っちゃったよ」」」」
と声を重ねて言った。
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