第155話 訳あり物件?
ライトクエストは、曰く付きの物件をいくつもの持っていた。
霊障があると言われたとしても、こちらは魔女や魔術師が居るのだ。寧ろどんなのが居るのか、どうなっているのかと幽霊達もモルモットになる。
よって、曰く付きの物件は嬉々として買い漁った頃があったらしい。
その一つに、魔女達が案内してくれた。
「ここはね〜、人を喰う家とか言われてたの♪」
「「……大っきくないですか?」」
宗徳と寿子は、予想外の家の大きさに目を丸くする。
因みに、律紀達はここにはいない。治季の家で解散になった。美希鷹が律紀を自宅まで送ってくれると言うので、そのままお願いした。
そして、魔女達が廉哉と悠遠達を箒で運び、降り立ったのが間違いなくお屋敷と呼べる大きさの家だった。もちろん、徨流、白欐、黒欐も一緒だ。
「玄関前に噴水とか……マジないっスわ……」
「ホテルかしら? ホテルよね? まさか本当にここに住めと?」
上から見た所、広い庭もある。学校の運動場くらいありそうだった。そして、その庭を囲むようにコの字型の屋敷。
「え〜、いいでしょー。結界も張ってあるから、外から勝手に入って来る人もいないわ。因みに、その結界を無条件で通過できるのは、ライトクエストのこの腕輪をしてる人だけね」
「心配しないで。あなた達が門を開けて招き入れれば、他の人でも入れるわ」
魔女達は入りたい放題になりそうだ。しかし、もちろん、制限はあるようだ。
「無条件ってのも、この庭だけだけどね〜」
「あ、屋敷は違うってことですか?」
廉哉が指摘する。すると、魔女達が嬉しそうに答えた。
「そういうこと〜。賢いねえ」
「さすがにね〜、そこはちゃんと出来るわよ」
魔女達は、嬉しそうに笑いながら、宗徳の背中を押し出した。
「さあさあ、行きましょう♪」
「ほら、あの扉に丸い水晶みたいなのがあるでしょ?」
「触って魔力流してね〜」
「……はあ……」
嫌な感じはしないしと、宗徳は扉の取っ手があるべき場所に嵌められている透明の水晶に手を伸ばす。
「っ、ん?」
水晶は綺麗な澄んだ青に変わった。
すると、カタンと扉が自然に開き、中から執事のような服を着た青年と若いメイド姿の女性が出てきた。ただ、その二人の目が特殊だった。
「綺麗なオレンジだな」
「ええ。本当に綺麗」
「「っ……」」
瞳の色が、夕陽の色をそのまま集めたような、美しいオレンジ色だったのだ。
「ふふふっ。さすがね〜」
「普通は怖がるものなんだけど」
「まあ、この二人だからね〜」
「屋敷の封印もあっさり解いちゃうし」
「思った通りだったわね♪」
色々聞こえた。宗徳はゆっくり後ろにいる魔女達を振り返る。
「え……あの……封印?」
悪いものという感じはしないが、封印なんてちょっと不穏だ。しかし、魔女達は、戸惑っている宗徳を微笑ましく笑うばかりだ。
「あの子達、この土地にから生まれた精霊と屋敷から生まれた妖精の混血なの♪」
「もちろん、昔はこんな屋敷じゃなかったけどね〜」
「最初にここに建ってた屋敷とは外観は変わってるけど、もう五百年くらい、この子達はここで眠ってたのよ」
「自分達が主人と認められる人が来るのを待ってたの」
「時代から切り離されてね〜。誰にも気付かれずに」
ずっとライトクエストが管理してきたらしく、一般の人には意識できなくなる術が、この土地自体にかかっているという。
「じゃあ、そういうことで」
「ここよろしく」
「これ以降、管理者ってことで♪」
「「……っ?」」
宗徳達は、物凄く軽い感じで、とんでもない屋敷の管理を任せられたようだった。
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読んでくださりありがとうございます◎
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