13 今、すべての想いに決着を
「なるほど、面白いな」
「クロムくん……!」
ユーノが満面の笑みを浮かべた。
助かった、という安堵の表情だ。
「ありがとう。僕を許してくれるんだね。やっぱり僕たちは友だちだった。今までのことは一生をかけて償うよ。あ、僕の周りにいる女も全部、君に献上する。身の回りの世話をする女たちは粒ぞろいでね。誰でも好きなのを連れていって──」
「俺が面白いと言ったのは」
ユーノの長口上を俺は失笑交じりに遮った。
「お前のおめでたい考えが、だ」
「えっ……!?」
「俺が復讐をやめるとでも思ったか? 許すとでも思ったか?」
俺はユーノに向かって右手を伸ばした。
黒い鎖で奴を拘束する。
今、すべての想いに決着を──。
「受け取れ、ユーノ。お前に──お前たちに裏切られて宿った俺の【闇】を。そのすべてを」
そして。
スキルが発動した。
「ぐああああああああっ……!」
奴の左腕が黒く変色し、そして肘から先がボロボロになって消え去った。
右腕はすでに消滅しているし、これで聖剣を握ることさえできなくなったわけだ。
ユーノとて剣士としての生に対する充実感や自負はあるだろう。
だが、それらは──『剣士としての生』は失われた。
ファラが味わっているように。
「ファラと同じくお前はもう剣を使えない。いや、それだけじゃない──」
両足にもさらなるダメージを送りこむ。
すでに変色していた足は──膝から先が消滅した。
今後、二度と再生不可能になるよう、両手両足の切断面に【闇】を送りこみ、一切の回復を受け付けないように細工しておく。
「歩くこともできない」
「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ……」
四肢の動きを奪われたユーノが絶叫する。
「お前はもう剣士じゃない。世界を救うような活躍はできないな」
俺はのたうちまわるユーノに嘲笑を送った。
「いや、世界を救うどころか、お前の──お前たち勇者パーティの悪行は世界に知れ渡ったんだ。お前は未来永劫、汚れた勇者として人々から蔑まれ続ける」
マルゴが味わうように。
そして、その末に死ぬ。
お前は助からない。
「苦しみぬいたところを見届けてから、俺が【固定ダメージ】で殺してやろう。それが数年先か、数十年先かは教えない。死の恐怖におびえ続けろ」
ライオットが味わったように。
「だが、まずは極限の苦痛を味わわせてやる」
「ぐっ……!? あああああああああああああ、があああああああああああっ、ぎゃあああああああああっ!?」
動物じみた絶叫と苦鳴を上げるユーノ。
死ぬ一歩手前のダメージを延々と与え続ける。
ヴァレリーが味わったように。
「止めて止めて止めて止めて痛い痛い痛い痛い痛いいだいいいいいいいいいいいいいいいっ!」
「じゃあ、俺に従うか、ユーノ?」
「は、はい、あなた様のしもべになりまずううううううううううううううっ」
涙と鼻水を垂らしながら答えるユーノ。
「なら、今からお前は俺の【従属者】だ。そら、スキルを授けてやるぞ」
ぼこっ、ぼこっ、ぼこっ、ぼこぉぉっ……!
ユーノの全身がいびつに変形を始める。
「な、なんだ、これはぁぁぁぁぁぁっ!?」
奴の体はあっという間に魔獣と化した。
半強制的に俺の【従属者】となった奴に【魔獣化】のスキルをかけたのだ。
イリーナが味わったように。
「他のメンバーと同じ苦痛をすべて味わわせる。勇者パーティの絆を感じ取れて嬉しいだろ?」
俺は満面の笑みを浮かべた。
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