第19話 結局ロリータは最強かもしれない
帰宅後、私は自室の鏡の前で制服を脱ぐ。
「………はぁ……大きくなってるわけないか……」
私、香、清水、栄夢の四人で帰るようになってから、私はよく帰宅後にこうやって鏡の前に立つ。もはや日課だ。
なぜかって?
……考えてもみて?乳がでかい二人に毎日のように抱かれるんだよ?
そりゃ、少しは巨乳がうつってないかな、とか思うでしょ。
………思うでしょ?
「……………」
私はぎゅっと脇を閉めて胸の前で腕を寄せる。
すると、ほんの少しだけ浅い谷間ができる。
今、私が谷間を手にする唯一の方法。皺とか言うな。
私は腕を寄せるのをやめて、両手で自分の胸を触る。
………信じられない。あの二人は私がこうやってまで手にいれた谷間を常時装備しているなんて………!!
なぜ!?なぜなの!?太れば大きくなるとか言うけどさ!あの二人細いじゃん!!
何ならスポーツもしてたじゃん!私と何が違うっての!?
遺伝か!?遺伝なのか!?生まれ持ったものが違うってか!?
「………栄夢だったらな……」
栄夢も見る限りに胸は小さい。ただ奴(栄夢)の場合「ロリ」という項目に分類されるために貧乳がステータスに成りうる。
なぜだ!?おかしいだろ!?背が低いだけでなぜこうも違う!!
しかも巨乳だったら巨乳で「ロリ巨乳」だ!?ちくしょー……変態め……!!
くそ!!なぜ私の身長は平均的なんだ!!しっかり健康的だ!!
運動をそれなりにしてきたからか!?奴(栄夢)も陸上部だったではないか!!
はっ!まさか、これも……遺伝的な何か……?
くっ……!?どこまで私邪魔をするんだ……!!
せめて、せめて清水みたいに背が高ければ……モデル体型って思えたのに……!!
バスケ部だったのに……私。
でも、胸が大きいと肩凝りひどいって言うしな……あの二人くらい大きいと負担も増してくるんだろう。
え?だから何と?私にとっちゃその肩凝りは勲章のように思えるんですが!?
私はほら!!こんな、こんな回せちゃうよ!!
私は両肩を交互に鏡の前で回す。
自分で言うのもアレだが大分動かせている。若いからか、はたまた胸の負担が無いからか。
「………何やってるんのよ、私……」
ふと冷静になる。
あまりの嫉妬に気が狂い始めてるぞ。
帰って来たと思ったら、部屋で下着になって鏡の前でバカみたいに腕をグルグル回している。
華の女子高生が何やってるんだ。
親が見たら泣くぞ?
「そうよ。巨乳に罪はない。悪いのは小さく生まれてしまった私……」
声に出して自分に言い聞かせる。そう。あくまでも悪いのは自分ということにすれば、何となく心が落ち着いてくる。
「別に巨乳じゃなくたっていいじゃん。バカみたい、私……」
私は床の制服を手に取る。
……と、先程自分で言った言葉を反芻する。
胸が小さい自分が悪い?
となると栄夢はどうなる?
あの子も胸は小さいよね。
なのに、私とは違ってそれがステータスになる。
あれ?何だろう。何かだんだん栄夢に腹が立ってきた。
煮えてきている。私の嫉妬が。
………結局私はそこから30分もの間、服を着ずに自分の感情の消火活動に勤しんだ。
………ヘックシュッ!!
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