第17話 遊びたい私

 私達は超自然(略)部を去り、教室にてもう一度話し合いをしている。

「どうしましょう…振り出しですね…」

 香が切り出す。

 そうなんだよな~。

 まぁでも、最初に選んだ部活は私には論外だったから、事が進んでたとは思ってないんだ。香。

 振り出しに戻るも何もないんだわ。

 つまり、こういう時こそ自分の意見をはっきり言うべき!

「………私、正直言うとちゃんとした部活じゃなくて、ほぼ帰宅部みたいな部活とかを探してるんだよね…」

 私は高校では部活に時間を使うのではなく、みんなと過ごす事に時間を使いたい。

「そっか………でも、なっちゃんの言うような部活ってそもそもにあるのかな…?」

 清水よ。

 え?

「しーちゃん、甘い。いつの時代も法の目を潜り抜けるものは存在する。部活だって例外じゃない。帰宅部がないなら、必ず誰かが逃げ道を作っている…」

 栄夢は眼鏡をクイッとする動作をする。もちろんエアーで。

 そう。栄夢の言うとおり、帰宅部が無くても、ほぼ帰宅部な部活は存在するはず。

 しかし。

「問題はどこの部活かなんだよね………」

 そういう部活は表だった動きを見せないため、発見するのに苦労する。

 全員で頭を悩ませていると、ガラガラガラと誰かが教室に入ってきた。

「………あら?まだいたの?」

 入ってきたのは担任の小笠原先生だ。

「部活何にするか話してたんです。…先生はどうしたんですか?」

 香が答えて質問する。

 確かに。見回りにしては早すぎるような………?

「私は…集めたプリント忘れちゃって………あはは…」

 ………確かに教卓にはプリントが積まれている。可哀想に、誰も気づかずに放置されていたらしい。

「そ、そうなんですか………」

 香さん!そんな哀れみを含んだ返ししないであげて!!

 というより、小笠原先生って割りとドジなところあるんだ。見た目がピシッとしてるから意外だな。

 小笠原先生はため息を吐きながらプリントを持ってそのまま教室から出ようとドアにてをかける。

 だが、ピタリと止まって思い出したかのようにクルリとこちらに向かってきた。

「そうだ!もし部活決まってないなら、文芸部とかどう?私が顧問を務めてるんだけど部員が少なくてね………部長さんがかわいそうで…!だから、もし気が向いたら見学してみてちょうだい?場所は旧校舎の旧図書室の中だから!よろしくね!」

 そう言い残すと小笠原先生はご機嫌に教室を出ていった。

 これ、行かないと申し訳なくなるやつだ。

「どうする………?」

 私は皆に意見を聞く。

 私としては別に行ってみても良いのだが。

「私は行ってみても良いと思います。このままここにいても時間が過ぎるだけですし。なにより、行かないと、嬉しそうに去っていった先生に申し訳ない気が………」

「だよね………」

「異義なし」

 清水と栄夢も香の言うことに賛成のようだ。

 ならば話は早い。

「じゃあ、早速行こっか」

 私達は教室を出て文芸部のある旧図書室へと向かった。

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