第31話 好きなこと2
俺の問いに、海雪は思い出すように言う。
「なーさまとやっているときに『海雪は上手だね、このゲーム』と言われ、その後四年ぐらいやり続け今みたいになりました」
夏希の一言でここまで……。
てか四年もやってたのかすごいな。
「他のゲームは?」
「ある程度やりました。これとか……」
「あ、俺もそれやったことある」
見知ったパッケージを発見し、そう口にする。
それを聞いた海雪がすこし笑顔になる。
「ほんとですか!? ではやりましょう!」
「お、おう」
急にテンションを上げる海雪。
いつもと違う雰囲気に俺はすこし驚く。
素っ気ない態度ではなく、心から楽しんでいるような。
なんだか俺まで楽しくなってくる。
その日は、一晩中ゲームをして過ごした。
*
「はっ……」
不意に目が覚める。
どうやら寝ていたようだ。
目の前の画面光っているのでつけっぱなし。
隣では海雪が床に寝っ転がり、寝息を立てている。
時計を見ると、朝の八時。
何時まで起きてたのかすら思い出せないしいつ寝てしまったのかも思い出せない。
とりあえず海雪をベッドに運ぶ。
お姫様抱っこみたいな感じで持ち上げる。
驚くほどすっと持ち上げることができた。
思ってたより海雪は軽い。
そっとベッドに寝かせ、布団をかける。
それと同時に、部屋にノックの音が響き渡る。
扉の方からだ。開けると……。
「や、やぁ……」
そこには申し訳なさそうな夏希が。
おもわず身構える。
「も、もう大丈夫だから!」
「え……いつもの夏希?」
「その……昨日は色々とごめん……」
どうやら昨日のことは覚えているようだった。
もう元に戻ったようだけど。
「なんで……海雪の部屋に?」
ちょっと声のトーンを落として夏希が聞いてくる。
「その……夏希のパパに言われて」
「そう……海雪、楽しそうだった?」
「楽しそうだったよ。いつもと違う雰囲気で」
「そっか……ならよかった」
安堵したかのような夏希。
「じゃ俺もう帰るよ」
「……うん。また学校でね」
そうして俺は、夏希の家を後にした。
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