第25話 おふろ?
「いっしょにお風呂!? ダメですなーさま危険すぎます!」
「なにが!?」
なにが危険なの!?
というか夏希の理性、崩壊しすぎでは?
「いやだ入る!」
「ダメです! せめて私と入りましょう!」
なにさりげなくいっしょに入ろうとしてんだ。
「ゆきちゃんとは昔たくさん入ったじゃん!」
「そうなの!?」
この五年間でそこまで!?
「当たり前です! 男同士ですよ?」
一応この二人、男だったな。
なら普通か……いや普通なのか?
「ならボクがコウくんと入ってもいいじゃないか!」
夏希の一言に、言葉がつまる海雪。
え、マジで俺いっしょに入るの?
ひょいっとベッドから降りる夏希。
俺の方へ向か……
「ちょちょ待っ」
俺の右腕をがっしり掴まれ引っ張られる。
ずるずると。
夏希、意地でも連れてく気だな!?
「なーさまダメですって!」
そう言い、海雪が俺の左腕をがっしり掴む。
ぐいーっと引っ張られ、このままでは組体操の扇をやれそうだ。
「いたたたたた!?」
折れるというか腕が引っこ抜けそう。
二人ともパワーはあるから余計にやばい。
傍から見れば美少女二人に取り合い状態だが男だ。
そう思っていると、不意に右腕が解放される。
そちらを見やれば夏希が地面に伏している。
「だ、大丈夫か? 夏希」
夏希の顔を見ると……。
「ね、寝てる……」
すやすやと寝息をたてて寝ていた。
*
「このように理性を解放することもあります」
夏希をベッドに戻し、海雪からそう聞かされる。
「毎日こんな感じなの?」
「いえ。月一で起きるぐらいです」
まぁまぁの頻度。
「ですが……ここまで強情なのは初めです。いつもはすぐに諦めるのですけど」
「へー……」
そう言いながら、海雪がぐいぐいと俺を押してくる。
「あの……なにを?」
「いまさらですけど部屋から出てってください」
いまさらすぎる。投げとばさないだけ優しいのだろうか。
けどもう十九時。
帰ってもいい頃合いだろう。
「じゃ、じゃあ俺帰るわ。またな」
扉を開け、部屋を後にした。
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