幕間 ファルディア
「がはははははっ! 人の金で飲む酒は美味いなぁ!」
夏樹は立ち直った後、エインと共にガハルドのパーティにお礼と謝罪を伝えに行った。ガハルドは言葉より酒とのことで王都の居酒屋で奢ることになる。
「しかし、なんだぁ? 見ない内に随分と仲良くなったんじゃねぇか」
夏樹にピタッと寄り添うようにしてくっつくエインについて聞いてくる。
「悪いかよ、仲直りしたんだよ」
「ははははっ! そりゃ良かった! じゃあ、祝わないとな、店員さん! 新しい酒を頼む!」
「俺の金だろう……祝いとか言って」
「ふふふ……良いじゃないですか、緊急依頼で大金入ったんですし」
緊急依頼のゴブリンは買取金額が少し高く設定されている。その上、ゴブリン・キングやその他の亜種を売却したおかげで、しばらく困らない程度のお金が入っていた。
そこでふと夏樹は思い出す。
「そういえば、ガハルド。 お前が暴走している俺と戦った時、大剣を捨てて小刀使っただろう? あの時の技は何なんだ? 暗殺者アサシンみたいな動きだったけど」
「ん? あぁ、あれか、あれは兄貴の技だよ」
「兄貴?」
「あぁ、言ってなかったか。 兄貴の名前はガリウス・ファルディア。 クラウド王国の騎士団長様だ、で、俺の名前はガハルド・ファルディア」
「騎士団長!? あの人が兄なのか……。 いやいや、騎士団長の戦い方は全然違ったぞ?」
記憶を探り、ガリウスの騎士らしい真っ直ぐな剣術を思い出す。
「そりゃ、本気じゃないだけだ。 兄貴は元々、この国に仕える影のトップだ。 本気で戦ったら俺の比じゃねぇぞ」
「そんなに強いのか……見てみたいな」
「がはははっ! 素のお前じゃ瞬殺だろうよ。 それこそ、暴走した時ぐらい非常識な力を使わなきゃな」
非常識な力……確かに協力だがリスクが高すぎるのは身を持って知った。ーーーだから俺は
「俺はあの力には頼らない。 いつか素の状態で超えてやるさ。 だからさ、頼みがあるんだ、ガハルド」
「あ? なんだ、改まって」
「俺に剣術を教えてくれ。 暴走している時は無意識的に動いてる。 あの感覚を素で出せるようになりたいんだ」
「あのレベルを再現するのは、かなり厳しいぞ。 基本は徹底的に叩き込んでやる、それをどう発展させるのかはお前次第だ。 それと、俺達は冒険者だ、
「分かってる、ガハルドに正式な依頼として出すよ」
「私もユリンさんに魔法を教えて欲しいです!」
これまで沈黙を貫いていたエインが提案する。
「良いけど、私が教えられる範囲は広くないわよ?」
「構いません、よろしくお願いします!」
「よし、じゃあ決まりだな。 明日から訓練開始だ!」
ガハルドの宣言を機に解散となった。
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